由緒ある神社仏閣は、古色蒼然とした厳かな雰囲気の中にある、と普通はイメージする。
近場のどこそこと思い浮かべても、造ったばかりの新しい社殿よりも、古びた褐色の柱や板壁のほうが、有難みは増す。
伊勢の神宮には、一度だけ行ったことがある。それが、内宮には足を伸ばさず、外宮だけだった。まあ、うかつというか、徒歩だったので、歩くには遠いとか、見た目にはそんな変わりはないだろうとか、そのうちには、お参りして見たいものだとは思っている。
さて、外宮の境内を奥まで歩いて、本殿が目に入ったとき、大きな衝撃を受けた。社殿が新しい。古びていない。もちろん、知識として、式年遷宮のことは知っていたのだが、日本で最も由緒ある、歴史の古い神社である伊勢の神宮が、こんなにも新しいということに衝撃を受けた。
日本らしさ、神社仏閣の日本らしい雰囲気というものの常識が覆された、というような思い。
真っ赤な極彩色のお寺、などというと、中国風とイメージしたりもするが、日本の昔のお寺も、創建時には、色鮮やかに塗りたてられていた。
あをによし奈良の京は咲く花のにほふがごとく今さかりなり、とうたわれた奈良の都は、古びた木造の渋い街並みなのではなくて、色鮮やかに塗りたてられた建物が立ち並んでいたのに違いない。塗りたてられてはいなくとも、真新しい無垢の木材の色だった。
ふーん、日本というもののイメージねえ。
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