ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

いとうひろし だいじょうぶだいじょうぶ大型版 講談社

2015-06-12 23:47:11 | エッセイ

 いとうひろしさんのとぼけたタッチの絵が表紙。おじいさんと孫。右下にカエル、右にかわいい人面蜂(妖怪ではない)。

 見開きの左ページに

 

 「ぼくが いまより ずっと あかちゃんに ちかく、

  おじいちゃんが いまより ずっと げんきだった ころ、」

 

 そして、右ページに

 

 「ぼくと おじいちゃんは、

  まいにちのように、おさんぽを たのしんでいました。」

 

 一行につき一枚の絵。

 赤ちゃんではなくなったばかりの小さな男の子と、おじいちゃんが登場人物。

 

 おさんぽは、「とおくの うみや やまを ぼうけんするような たのしさに あふれていました。」さまざまな出会うものに「ふるくからの ともだちのように おじいちゃんは こえを かけていました。」

 でも、「あたらしい はっけんや たのしい であいが ふえれば ふえるだけ、こまったことや、こわい ことにも、であうようになりました。」

 絵は、もちろん、こまったことやこわいことの8つの場面。

 

 「だけど その たびに、おじいちゃんが

  たすけてくれました。

  おじいちゃんは、ぼくのてを にぎり、

  おまじないのように つぶやくのでした。

  「だいじょうぶ だいじょうぶ」」

 

 そして、実際に大丈夫な8つのケース。絵は、8つのほぼ倍くらい。

 

 そして、もうすこしおおきくなった「ぼく」は、その後としを重ねたおじいさんに、こんどは自分の方から「だいじょうぶ だいじょうぶ」と、手を握って語りかけるようになる。

 

 「だから こんどは ぼくのばんです。

  おじいちゃんの てを にぎり、

  なんどでも なんどでも くりかえします。

  「だいじょうぶ だいじょうぶ。」

  だいじょうぶだよ おじいちゃん。」

 

 おじいちゃんに「だいじょうぶ」と声をかけたこの男の子は、もっと大きくなったら、こんどは、じぶんの子どもたちに、そして、もっと年を重ねたら、たぶんその子どもたちの子どもたち、つまり、孫に「だいじょうぶ だいじょうぶ」ということばをかけるようになるに違いない。

 おじいちゃんから贈られた言葉を、子に、孫に、再び贈りかえしてくれる。贈られた言葉が、その次の世代に贈られ、引き継がれていく。

 実は、この絵本は、妻が、階上小学校の毎月の読み聞かせに、先日取り上げたもの。4年生の子どもたちが、「だいじょうぶ だいじょうぶ」というリフレインを喜んで聴いてくれたらしい。

 絵本というものは、なんというか、良い絵本がたくさんある、と言ってしまえば当たり前のことだが、良い絵本は、やはりずいぶんとたくさんある。

 これも、本吉図書館の蔵書。実は、見返しに、いとうひろしさん自筆の絵とサイン入り。震災以降、図書館にもほんとうにたくさんの支援をいただいている、そのうちのひとつ。有難いことである。


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