ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

小春日和

2015-02-20 23:20:54 | 肯定する

小春日和

 

冬の日差し

ガラス戸の内側の縁側で街を見下ろす

新しい橋がある

古い橋を撤去した両岸をパワーショベルが土木工事している

暖かい

寒くはない

昼の南の空からの陽射しが

縁側に射し込む

ぬくぬくと暖かい

川が海に向って流れていく

満潮なのか

昨夜の雪の雪解け水があるのか

水量は多く

細かな波に光も映り

水が流れ下っている有様も明らかだ

河口自体は屈曲に突き出た丘に遮られて見えないが

(屈曲は通称ざわざわのところ)

ほんの少しだけ海は見える

ほんのかすかに気仙沼湾が見える

そのさきは

大島の亀山

 

あちらにもこちらにも

工事現場があり重機が動いている

 

川は

この橋のあたりまで

海の影響を受ける

たぶん

この橋から上は中流域

この橋かあるいは百メートルほど東の屈曲

(だからざわざわのところ)から下が下流域

なのだろう

あの日

水はこのあたりまで川岸を超えたのだ

という

 

なぜかずっと

水が超えたのはその屈曲(だからざわざわのところ)より下流だけ

と思い込んでいた

ざわざわを超えて家屋に浸水があったことを知ったのは

つい数ヶ月前のこと

 

あの日

遅く日付が変わった頃に戻ってきて

川岸に

河川敷の中に

燃えている枕木のような材木を発見したが

だから

川岸をほとんど溢れるところまで水が来たことは知っていたが

なぜか

川岸は超えず

住居には浸水していないと思い込んでいた

 

スーパーで

よく会う親戚の女の子

(いやいやその娘もすでに成人しているから女の子とは言えないか)

と立ち話した時にその話になった

その自宅はまさしくそこにある

(ざわざわのすぐ西側)

彼女の家も浸水したのだと

 

うかつなことである

そのことをわたしは知らなかった

 

ざわざわの付近まで浸水した

という情報は正しい

私はほぼ正しい情報を把握していた

しかし

私は詳細を知らなかった見逃していた

あえて詳細を知ることを避けていた

のだろうか


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