蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演「ISHIN version.2024」

NPO法人劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演
タイトル 『ISHIN ~狼たちは最果てに~ version.2024』
脚本・演出 青木由里
出演 青木賢治/栗生みな/村松沙理亜/清水まなぶ/井田亜彩実/導星ゆな 他

日時 2022年9月8日(日)11:00~/15:30~
会場 飯山市文化交流館 なちゅら 大ホール
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/ishin2024

皆さまへ感謝を込めて晴れやかに開催‼
どうぞお楽しみに‼

合同公演稽古始動―午札騒動考―

2015年10月16日 23時37分38秒 | 日記
来春予定している合同公演の稽古が始まった。

【演劇グループ21&劇空間夢幻工房 合同公演】

■タイトル
 大幸がしだした札は馬のまら知事こまるまで騒動をする
 ─午札騒動考─

■脚本・演出/村上雅人

■夢幻工房からの出演決定者
 青木賢治・坂本真由美・青木由里

というわけで、私はキャストとして参加させていただく。
演出をせずに舞台に役者として上がるのは
実に16年ぶりのこと。

私の演劇人生は10歳で始まり通算すると44年―
が、ブランクが6年ある。

役者だけをしていた期間が約21年
演出を始めてから17年

いつの間にか演出家としての期間が
役者時代を上回ろうとしていて、ビックリ!

年数を滅多に数えないしなぁ…
自分の年齢すら忘れるくらいだ(笑)

しかし節目と言うのは大切にしたいほうがいいよね。

演劇人生45年目、役者人生に
一区切りつけたいと思っている。

役者をやめるということではありません(笑)

これまでの演劇人生で培ってきたものを総動員して
どこまで役者として表現できるか―

一つの区切りとして悔いのない演技が出来たら…と。

ただ合同公演のため、制作面や広報面
衣装製作等、担当部署があるので
本当の意味で役者オンリーというわけにいかず
どこまで芝居に集中できるか…というところ。

それでも演出をせずに役者を出来るというのは
私にとっては有難いことだ。

夢幻の役者陣にとっても、私以外の人に
演出をつけてもらうのは貴重な機会。
色々な意味で良い経験になってくれれば…
と、思っている。

この作品は、江戸幕府が崩壊し明治が産声を上げた頃の話。

明治政府による新紙幣発行に伴い
それまで使用許可されていた藩札の発行が禁止となり
藩札は不利な条件で新紙幣に交換されることになった。

流通貨幣改定による相場の高騰に
農民が騒ぎ出し暴動化していった。

その中心となったのが小平甚右衛門の動きで
藩の改定布告後、悪租法反対の一揆を起こしている。

これが午札騒動の引き金となった。

上山田村で起こった一揆は、周辺の村人を巻き込みながら
約3万人もの村人が松代城下を襲撃し、甚大な被害が出た。
松代大英寺で、藩知事真田幸民と一揆代表者が会見し
結局藩が折れ、相場を元どおりにし、紙幣藩札交換に
割引をしないことで折り合いがつき、一揆は終息した。
小平甚右衛門が一揆の首謀者ということで
一人だけ斬首の刑に処された―

小平甚右衛門は罪人と呼ばれたが
後に義民と呼ばれるようになった。

義民:飢饉などで人々が困窮しているときに
   一揆の首謀者などとなって私財や生命を賭して
   活躍した百姓のこと。
   義人とも言う。

つまり、上山田に伝わる“義民伝説”の舞台化です。

義民伝説は、色々な地域に残っていて
小布施町に伝わる興味深い義民伝説もあります。

なぜ甚右衛門さんは、罪人から義民になったのか。

ここが今回の舞台の大きなポイント。
色々な説があるけれど、村上説は
信憑性があるように私は思う。

昨夜は演出の村上さんと私の二人だけの稽古。
稽古場が取れなかったため
村上さんのお店の座敷で行った。

まずは本読み。

私の役、一番大変なのは方言(汗)

方言はやるならきちんとやらないと意味がない。

夢幻は、敢えて方言を使っていない。

現代人が聞きとりやすい言葉を使用することで
出来事や役者の葛藤をすんなりと
受け止めていただきたい、というのが狙い。

ただ、どうしても方言を使わねばならない芝居もある。
今回の舞台がそれだ。

方言習得には膨大な時間が必要なんだよね。

言語は環境と習慣により培われるものだから
頭で音程を捉え、それを発声しているうちは
自分の言葉とは言えない。

朝飯前で方言を発することが出来るようになるまで
慣れ親しむ必要があるのだ。

方言をしゃべる人と一カ月でも一緒に暮らせば
相当覚えられるだろうけど
日常は標準語だから、体に浸透するまでに
最低3カ月は必要だろう。

役の肉付けは、まず方言を習得してから―

それまでは、役の置かれた環境や人間関係を
しっかり叩きこもうと思っている。

演技の立ち上げ方は色々な方法がある。

私などは感情移入がしたくなるほうなので
今回は極力感情を入れないで作ってみようかと―

以前、くるま座に在籍していた頃
似たような実験をしたことがある。

あの時は、くるま先生から

 もういいから、やめなさい

と言われて、普通の芝居に戻した。

今回も村上さんが

 もういいよ

というのを待つことにする。

それまで徹底的に感情を排除する。

あくまでも一つの実験です♪