いつはりの あをき実をなす 幻想の 暗きばおばぶ 伏すよしもがな
*これはかのじょの忘れられない歌から来ていますね。覚えていると思いますが一応また
あげておきましょう。こういうわたしのやり方はわかってきたでしょう。
花の実の 朱をあざむきて ことごとく あをきにしたり 阿呆の宴
歌の意はあきらかだ。本当は朱いはずの実を、嘘をついてことごとく青い実にしてしまった。それが阿呆の宴、すなわち馬鹿ばかりが栄えている今のこの世の中だと。
この歌が発表されたころは、何にもわかりませんでしたから、頭から馬鹿にしていたでしょうが、今ならしみじみとわかるでしょう。実際、人間世界は今まで、本当にさかさまになっていたのです。
いいものは悪いものに、悪いものはいいものになっていた。美しいものが醜いと言われ、醜いものが美しいとほめられていた。真実を見抜く目を持つことができるようになったら、そういう真実の姿がわかるでしょう。
かのじょは若いころからそれがわかっていましたから、なんとかあなたがたに伝えようとしていたのですが、何も伝わらなかった。数少ない理解者も、美しいとは思ってくれたが、真意を理解できるはずもなかった。
それがまあ、この時代の人間の姿というものです。
ばおばぶには罪はありませんが、星の王子さまの話に、星を壊す木として出てくるので、使わせてもらいました。
ありえるはずのない、幻想の青い実をつけるばおばぶの木を、倒す手段が欲しい。
「よし」は「理由」という意味のほかに、「手段、方法」とか「縁」とか「情趣」の意味がありますね。こういう文字数が少なくて意味に広がりのある言葉は押さえておきましょう。使いやすい。「ほど」「かた」「きは」「もの」などです。意味はそれぞれ調べてください。
星を壊すほど大きな偽りの木も、栄えに栄えていた時は、こんなものを倒すすべなどないとさえ思えたものだが。
さて、今はどうでしょう。