星月夜 露とわかぬも たまくしげ ふたをかへして 裏をこそ見め
*これはわたしの作です。
「たまくしげ」は「ふた」にかかる枕詞ですね。星月夜は月はないが星の明るい夜のことです。月が明るいと星もよく見えませんが、月のない夜は星が冴えて明るく見える時がある。
そういう夜はまた月夜とは違って、何かはてしないものをおもいたくなるものです。
宮沢賢治の表現に、星空を疱瘡のようだと言った詩がありましたが、あれなどぞっとするほど美しい。真砂なす星空を見て、まるで疱瘡のようだと感じた賢治の感性はすばらしい。大いなる神が何かに感じてぶつぶつと生んだ不思議な光の世界だとでもいうようだ。
そんな星明りを、時々人ははかない露と勘違いしてしまうことがある。そんなことがあったら、美しい箱のふたを開けるように、裏を見てみなさい。そうすれば真実がわかる。
何げない箱の裏などに、真実はあるものですよ。要するにものごとがうまくいかないときは、一度今本当と思い込んでいることを、逆に考えればいいのです。
美人は馬鹿なはずなのに、なぜか馬鹿ではない。そういうことは、自分の常識ではあるはずがないのに、なぜか美人なのにかしこい女がいる。馬鹿な人はいつも、固定観念にとらわれていますから、そんなはずはないと言って馬鹿な間違いをし続けるのですが、少しは頭を切り替える練習ができている人は、もしかしたら自分の考えのほうが間違っているのではないかと、思うのです。
蓋を返すように、ものごとを逆に考えてみる。
そういうことができるだけで、たいていものごとはうまくいくのです。