なぜ 娘はこんなに可愛いのだろう。
息子も自分の分身のようで可愛いに違いなのだろうが、
娘に対するような愛情の表現はしない、できない。
小さい頃、娘から「パパ大好き」と言われたり、
「パパのお嫁さんになる」などと言われて、
恋を打ち明けられたようにメロメロになってしまう。
男親というのは、何とも純な奴だ。

そして、いつかは泣かされる。
「嫁に行く日が 来なけりゃいいと
おとこ親なら 誰でも思う」
芦屋雁之助の「娘よ」という歌は、
まさに父親の気持ちをストレートに語る。
吉幾三の「娘よ」は、嫁ぐ娘に
「幸せになるんだよ」と語りかけ、
「みんな想い出持っていけ 写真一枚あればいい」
切なさをたっぷり込めている。
あるいは永六輔作詞の「娘よ」は、
「素敵な若者が お前をほしいと
申し込んだぞ お前の恋人だ
あとで泣けてきた」
やはり涙を拭いている。

南阿蘇にて妻が撮影した写真を使用
同じ職場のちょうど二回り違う後輩が、
関西の大学に進む娘の入学式に出るため
足取り軽やかに福岡から後を追っていった。
まるで恋人に会いにでも行くように……。
地元の大学に合格した兄の時はそうではなかった。
「ちょっと仕事がありまして」と
当然のように欠席したくせに。
「娘は可愛いだろう」と聞けば、
「当然です」とためらわない。
かく言う僕も娘が二人だ。
もう20年、25年ほど前に同じ思いをさせられた。
今は、孫たちに理屈なしの可愛さを抱く。
皆 皆 幸せです。