「それ 確かですか」詰問するように尋ねた。
医師は顔色を変えることなく、
「このX線写真をご覧ください」むしろ笑みを
浮かべながらそう言った。
医師は顔色を変えることなく、
「このX線写真をご覧ください」むしろ笑みを
浮かべながらそう言った。
前日、マンション一階の我が家の
小さな庭で草むしりをしたところ、
情けないことに1時間もしないうちに腰が痛み出した。
やがて、その痛みは臀部、脚のつけ根あたりに広がり、
寝相をいろいろ変えてみてもいやな疼痛は消えなかった。
鋭く痛むのではないが、圧迫されるような痛みに
結局よく寝れずじまいで夜が明けた。
普段は痛むこともなく医者通いすることはないが、
情けないことに1時間もしないうちに腰が痛み出した。
やがて、その痛みは臀部、脚のつけ根あたりに広がり、
寝相をいろいろ変えてみてもいやな疼痛は消えなかった。
鋭く痛むのではないが、圧迫されるような痛みに
結局よく寝れずじまいで夜が明けた。
普段は痛むこともなく医者通いすることはないが、
もともと腰が悪い。
そのうち痛みも引くだろうと思ったが、
そのうち痛みも引くだろうと思ったが、
なんだか嫌な感じがする。
膝が悪い妻と同じ整形外科へ行くことにしたのだった。
医師に状況を説明すると、
「草むしりがいけませんでしたね」と笑うばかり。
ついでに「実は学生時代、椎間板ヘルニアで
膝が悪い妻と同じ整形外科へ行くことにしたのだった。
医師に状況を説明すると、
「草むしりがいけませんでしたね」と笑うばかり。
ついでに「実は学生時代、椎間板ヘルニアで
1カ月間病院通いしましたし、
2年ほど前には圧迫骨折していると言われました」と言うと、
医師の表情がちょっと変わった。
2年ほど前には圧迫骨折していると言われました」と言うと、
医師の表情がちょっと変わった。
この圧迫骨折と診断されたのは、
膀胱がん手術の術前検査の際だった。
X線写真を見ながら泌尿器科の医師が、
「弱りましたね」と言うのである。
「腰が圧迫骨折しているんですよ。
これだと、腰から麻酔注射ができないかもしれません。
場合によっては全身麻酔になるかもしれません
X線写真を見ながら泌尿器科の医師が、
「弱りましたね」と言うのである。
「腰が圧迫骨折しているんですよ。
これだと、腰から麻酔注射ができないかもしれません。
場合によっては全身麻酔になるかもしれません
のでご了解ください」そんな話なのである。
ゴルフをした後など、腰が痛くなることはあったが、
それは学生時代の椎間板ヘルニアの古傷のせい
ゴルフをした後など、腰が痛くなることはあったが、
それは学生時代の椎間板ヘルニアの古傷のせい
だとばかり思っていた。
それが圧迫骨折しているというのである。
痛むのは、そのせいだったのか。
手術自体は当初予定通り局所麻酔で済んだが、
これによって圧迫骨折が規定事実となってしまった。
いや、してしまっていた。
整形外科の医師が表情を変えたのは、
それが圧迫骨折しているというのである。
痛むのは、そのせいだったのか。
手術自体は当初予定通り局所麻酔で済んだが、
これによって圧迫骨折が規定事実となってしまった。
いや、してしまっていた。
整形外科の医師が表情を変えたのは、
そんな話をしたからだった。
「その時、がんの骨転移の検査もしましたか」と言うのである。
「それはしたと思います」と答えると、
「ちょっとX線を撮ってみましょう」となった。
そのX線写真を見て、医師はこう言ったのである。
「圧迫骨折はしていませんよ」
「えっ、それ 確かですか」
「このX線写真をご覧ください」となったのである。
そして、X線写真を見ながら
「その時、がんの骨転移の検査もしましたか」と言うのである。
「それはしたと思います」と答えると、
「ちょっとX線を撮ってみましょう」となった。
そのX線写真を見て、医師はこう言ったのである。
「圧迫骨折はしていませんよ」
「えっ、それ 確かですか」
「このX線写真をご覧ください」となったのである。
そして、X線写真を見ながら
「椎間同士の衝撃を吸収する、つまりクッションの役割をする
椎間板がつぶれてしまっていますね。
おそらく、これは若い頃の椎間板ヘルニアの古傷でしょう。
骨折しているわけではありません」
こんな話なのである。
医師は「がんが骨に転移し、それで圧迫骨折した
のではないか」と懸念したのだという。
椎間板がつぶれてしまっていますね。
おそらく、これは若い頃の椎間板ヘルニアの古傷でしょう。
骨折しているわけではありません」
こんな話なのである。
医師は「がんが骨に転移し、それで圧迫骨折した
のではないか」と懸念したのだという。
椎間板ヘルニアで曲がった腰
専門外の泌尿器科の医師による「圧迫骨折」を受け入れ、
ゴルフも止め、未練を残さぬようにと道具も処分してしまった。
それが、圧迫骨折ではなかったとは……。
泌尿器科の医師を恨む気はないが、
整形外科の医師の前で「今度会ったら何と言ってやろう」
ゴルフも止め、未練を残さぬようにと道具も処分してしまった。
それが、圧迫骨折ではなかったとは……。
泌尿器科の医師を恨む気はないが、
整形外科の医師の前で「今度会ったら何と言ってやろう」
と語気を強めた。
実は近々、再発した膀胱がんの術前検査が予定されているのだ。
実は近々、再発した膀胱がんの術前検査が予定されているのだ。