Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

行き交う人たち

2023年10月03日 09時14分55秒 | エッセイ


ランニングシャツ、今風にはタンクトップと言えばよいか、
それにショートパンツ姿が軽快にやって来る。
10月に入り、さすがに朝夕はぐんと涼しさが増してきた。
それで、当方は長袖に変え短パンもやめたのだが、
なのにこの人は、腕も脚もむき出しなのだ。
足取りもジョギングというほどではないが、かなりの早歩きだ。
元気のよいお兄さんだなあ。
そう思っていたら、いや違った。
近づいてみると年の頃70歳前後の、結構な年配ではないか。
右手を軽く上げ「おはよっす」とすれ違っていった。

       

どうやら、奥さんは膝かどこかが悪いらしい。
少しばかり右足を引きずるように歩かれるから、当然歩みは遅い。
そのすぐ後ろにご主人がつかれている。
支えるように、守るように、気遣うように。
お年はお2人とも70歳後半とお見受けする。
夫婦は幾つになっても夫婦である。

愛犬のサクラちゃんとの早朝散歩を日課としている老婦人。
毎日、会うわけではない。
散歩コースはサクラちゃん次第だそうで、
今日はこちら、明日はあちらと変わるそうだ。
たまたま今日はこちらが歩いている川沿いでぱったり。
「お久しぶり」のあいさつになる。
サクラちゃんとも顔見知りになっており、
鼻をクンクンさせながらやってくる。
頭を、喉元をナデナデ。尻尾を振りながら体をすり寄せてくる。
しばらくの談笑の後、突然サクラちゃんが走り出した。
引っ張られるように老婦人も走り出す。
70歳と聞いたが、いやーお元気、お元気。
「また、お会いしましょう。サクラちゃん」

       

2組のご夫婦が右から、左からやって来る。
どちらも定年を迎えられた頃の年齢とお見受けする。
そして、「おはようございます」の挨拶を済ますと、
すぐに早朝の談笑時間となる。
毎朝、毎朝何を話されるのやら。話の花が咲いているようだ。
もちろん、その中心は奥さん方。
ご主人方は、2歩も3歩も退いておられる。
お2人共手持ち無沙汰の様子で、
胸中「おい、まだか」と言われているに違いない。
これが、ごく普通の夫婦のありようだろう。
「おはようございます」と声をかけながら側を通り過ぎる。
後ろからまだ奥さん方の話声が聞こえてくる。

        

いつものママチャリだ。
懸命に漕いでいるのは、70歳前後のおじさんだ。
短いながら上り坂も漕ぎ上がる。
毎朝どのくらい走っているのだろうか。
ジョギングやウオーキングにも勝る運動かもしれない。
その壮健さには恐れ入る。
あれっ。
よく見れば、くわえタバコではないか。
すれ違う際、その香りがかすかに漂ってくる。
「タバコはおやめなさい」聞こえぬ程度の声をかけたものの、
素知らぬふうに、そして軽快に走り続けていった。



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