Toshiが行く

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はて 「エモい」とは?

2020年04月02日 06時10分09秒 | エッセイ
「エモい」と聞いて、思わず「えっ、エロい」と問い返しそうになる。
爺さんたちの発想は、ついそちらへ行く。
そんな意味合いではない。
「心に響く。感動的である」そのような意味だそうだ。
「emotion」(エモーション=感情)が語源となっているらしく
ここ数年、主に10~20歳代の若者が使うようになった、要するに若者言葉なのだ。
三省堂が昨秋、13年ぶりに改訂した国語辞書「大辞林」にも初めて収録されている。     

この「エモい」という言葉を切り口に
ある大手新聞が「国語力が危ない」という
企画を上・中・下3回連載していた。
その中に、こんな記述がある。
「絶景を目の当たりにした時、昔の自分の写真を見た時──。
エモいは、感動や懐かしさ、切なさなど様々な感情を一言で表すことができる」
一方で、「何でもエモいで片付けられると、こちらは相手の考えをつかめない。
若者にとって本当に言いたいことが伝わらず、困る場面が増えるのではないか」
そう指摘する。
                                   

「いつの時代も若者はつながりを求め
自分たちだけで伝わる形容詞を使って共感を高めてきた」
そんなことは今に始まったことではない。
もう、すっかり古くなってしまったが、「きしょい」「きもい」
「うざい」「ちゃらい」なども若者たちの間でよく使われた。
さらに古くは、石原裕次郎が映画の中で「イカす」と言ったら
たちまち若者たちの流行語となったのをご存じの方も多かろう。
時代は変われど……である。
                            
ある会社の社長さんが、似たようなことを言っていた。
「今の若い人たちは固定電話を使ったことがない人が多い。
固定電話での相手はほとんどが顔見知りではない人だと思う。
知らない人だと自然に敬語を使い、会話の礼儀も覚える。
ところが今は携帯電話ばかり。会話の相手は友人、知人、家族
といった気安い相手。それで馴れ馴れしい、要するにタメ口になってしまう。
社会ではそれは通用しない。会社の上司や取引先に対し同じタメ口で
話したのでは相手にされるはずがない。
実は、これが会社の人材教育における大きな課題になっているのです」

会社の上司に「エモい」なんて言ったら、上司は仰天するかもしれない。
若い人同士では通用しても、社会では受け入れてもらえないのである。

この連載企画で国立国語研究所の石黒圭教授は──
「人は言葉を頼りにして、物を考える。
自分の気持ちにふさわしい言葉、その場の文脈にあった言葉を
精度を高めて使う語彙力を持てば、より深く考え、伝えられる。
社会で生きていくために語彙の力は有効だ」
こう言っている。
この連載のサブタイトルは「『語彙力』の今」だ。


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