「あなたを愛していいですか」
「すべてを奪っていいですか」
79歳の爺さんが、照れもせず迫る。
我ながら少々、いや相当気色悪い。
いや、いい。
ここはスタジオ、「あなた」がいるわけではない。
どこの誰か知らない「あなた」を想像しながら、
布施明のごとく腹の底から声を上げる。
それだけで満足なのだ。
やはり、歌うのが好きなんだな。
自分でもそう思う。
昨年2月以来、休んでいたボーカルのレッスンを再開した。
厳密に言えば、7月初めに再開していたのだが、
運悪く再びコロナの感染拡大により
再度の自粛となっていたのだ。
ようやく緊急事態宣言が解けたのをみて、
再々度の再開となった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/93/9101d79ec3ef97c3deca83a04ba743cc.jpg)
この日、歌ったのはさだまさしの「無縁坂」、
それに「僕に任せてください」、
浜田省吾の「傷心」、これらは以前から歌っていたものだ。
これに新しく、布施明の「姉妹坂」を練習することにした。
なぜ、この歌を選んだのか。
格別、歌詞やメロディーが気に入ったからではない。
言うように、79歳の爺さんが歌うには
相当照れくさい歌詞だ。
なぜかと言えば、この歌は腹の底から声を出せることだ。
大きな声で歌えることだ。
コロナをはじめ、このところの鬱々たる気分を
全部吐き出してやる。
「姉妹坂」─初めて歌う。
それも長年レッスンしていただいている
大塚先生のギター一本の演奏でだ。
あちこちと間違ってしまう。
構わない。サビのところ
「あなたを愛していいですか」
「すべてを奪っていいですか」
ここさえ声を出せればよい。
臆面もなく声を張り上げた。
よし、よし。これでよい。
多少なりと気分は晴れた。
高まった気分を鎮めるように、
最後はサイモン&ガーファンクルの
「Sound of Silence」だ。
先生と気持ちよくハモった。
やっぱり歌っていいな!
ハスキーな声が聞こえてくるようです。
メロディーにのせて、声を出すっていいですね♪♪
心も体も満たされる気がします。
いいなあーー!
あなたもJunさんのギターで歌われたらどうですか。夫婦二人のそんな姿、あったかいですね。