Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

LONLY

2021年05月03日 16時39分59秒 | エッセイ

     岸恵子さん、あの映画「君の名は」がすぐに思い浮かぶ大女優だ。
     すでに88歳になっておられるそうで、今は女優はもちろん、
     さらには文筆家として幅広く活躍されている。
     1957年にフランスの映画監督
     イヴ・シャンピと結婚し渡仏(後に離婚)。
     長年日仏を行き来する生活を続けていたが、
     2000年にパリ在住の娘と二人の孫息子と離れ、
     現在は横浜の実家で一人暮らしをしているそうだ。

        

     その岸さんが、『徹子の部屋』に出演し、
     一人暮らしを決断した理由をこんなふうに語っていた。
     「とにかく孫が可愛くて、可愛くて。
     でも、これ以上関わり過ぎてはいけないと思ったんです。
     孫の様子を見ても、ちょっと煩わしそうにしたりしていましたし、
     これ以上関わったらいけない、離れようと思ったんですね」
     これが一人暮らしの直接のきっかけなのだが、
     「孤独の裏には果てしない自由があり、夢がある」
     「一人じゃないと自分らしくできない」
     こういうことに気付いたのだという。
     そして、岸さんは〝孤独を取り込む〟という言い方をする。

     料理を美しく仕上げるには「灰汁とり」が大切だが、
     老後の一人暮らしは人生を美しく仕上げるための「灰汁とり」
     そういう意味合いなのもしれない。
     「言うは易し」のように思えるのだが……。

        五月晴れのLONELY
      
      釣り糸を垂れているわけでもなし、ただ川面を見つめるばかり

      
 
        なぜ一人ぼっちでいるのだろう?

      
          ただただ黙々と走るだけ


一大事

2021年05月02日 08時38分20秒 | エッセイ

      「キャー」という声とともに、どたどたと倒れ込む音。
      それに棚から何かが落ちる音が混じっている。
      「おい どうした」見れば、妻が床で苦悶の表情だ。
      何かにつまずいたのは明らか。
      「頭を打ったか」と聞けば、首を振り、
      「痛たっ」左足の甲あたりをしきりに触っている。
      外傷はない。足首を捻ったか。あるいは倒れる際強く打ったか。
      とりあえず湿布薬を貼って様子をみる。
      少しだけ痛みは軽くなったようだが、
      それでもかなり痛がっている。
      やはり病院へ行くことにする。
      とはいえ、土曜日の午後4時過ぎだ。
      膝治療のためのかかりつけ整形外科医院はあるが、
      すでに診療時間を終えており、留守電となっている。
      急ぎ、救急病院を探し出し、駆け込んだ。


      レントゲンを撮ったところ、
      何と「左足指3本の骨折」だった。
      完治までに6週間、1カ月半かかるという。
      ギブスで固定し、松葉杖の生活を強いられることとなった。

               
      
      帰宅すると、慣れぬ松葉杖に悪戦苦闘。
      つい、骨折している左足をついてしまって、
      「痛っ」と悲鳴を上げる。
      トイレに行くのさえ四苦八苦だ。
      出来るだけ、身を挺して支えにはなるが、
      それにも限度がある。
      体重はこちらより5、6キロは重いのだ。

      本人がいちばん大変なのは当然だが、
      これからしばらくは諸々の家事を
      こちらが担わなければならないだろう。
      炊事、洗濯、掃除……。
      掃除はともかく炊事、洗濯は重荷に違いない。
      とはいえ、音を上げるわけにはいかない。
      教えを乞いながらこなしていくしかないだろう。

            
      
      何と言っても気がかりは、
      こちらが11日から1週間ほど入院しなければならないことだ。
      その間、妻は一人になる。
      止むを得ない。
      2人の娘に救援を仰ぐことにしよう。
      子にはできるだけ面倒をかけまいと思っていたが、
      素直に助けてもらうことも親子だからこそであろう。