【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

日立が一番/『シャーロックホームズ ベイカー街の幽霊』

2008-11-02 17:34:01 | Weblog
 パナソニックが三洋買収の交渉開始、とのニュースを見ていたら、電機大手の売上高の一覧が目を引きました。おやおや、日立が一番でパナソニックは2位ですか。三洋は載っている9社ではどんじりで、パナソニックと売り上げを単純合計したら日立を抜いてトップになるのね。
 意外でした。昭和に育った私の感覚では、ナショナル、もといパナソニックがダントツのトップで2位グループにソニー・東芝・シャープ・三洋がいる、ということになっていましたもので。
 ときどきは「世界と自分のすりあわせ」をやらないといけませんねえ。知らないうちに世界において行かれそうです。

【ただいま読書中】
シャーロックホームズ ベイカー街の幽霊』ジョン・L・ブリーン 他 著、 日暮雅通 訳、 原書房、2006年、1900円(税別)

 ホームズが活躍したヴィクトリア時代は、「心霊」が大流行した時代でした。そこにホームズは徹底した合理主義を持ち込んだのですが、それでも非合理的で理解に苦しむ事件がありました。ホームズはワトソン博士がそういった事件を公表することを禁止しました。そういった事件の数々が今明らかに……という前提で編まれたパスティーシュ短編集です。ホームズが好きな人でかつ当時の世相(やコナン・ドイルの行動)について予備知識がある人には大いに楽しめる本であることは請け合いです。

 目次
「悪魔とシャーロック・ホームズ」ローレン・D・エスルマン
「司書の幽霊事件」ジョン・L・ブリーン
「死んだオランウータンの事件」ギリアン・リンスコット
「ドルリー・レーン劇場の醜聞、あるいは吸血鬼の落とし戸事件」キャロリン・ウィート
「ミイラの呪い」H・ポール・ジェファーズ
「イースト・エンドの死」コリン・ブルース
「“夜中の犬”の冒険」ポーラ・コーエン
「セルデンの物語」ダニエル・スタシャワー
「セント・マリルボーンの墓荒らし」ビル・クライダー
「クール・パークの不思議な事件」マイケル&クレア・ブレスナック
「たしかに分析的才能はちょっとしたものだ」ケレイブ・カー
「『幽霊まで相手にしちゃいられない』か?」バーバラ・ローデン
「ホームズとのチャネリング」ローレン・D・エスルマン

 タイトルを見たらある程度想像できるでしょうが、登場するのは、悪魔憑き、図書室で本に印をつける幽霊、塔の壁をするすると昇るオランウータンの幽霊(ポーへの献げものも兼ねているのかな?)、ドルリー・レーン王立劇場の呪い(空中に消える人影)、動く死体、死体を食らうグール……ちょっと変わり種で心に残るのは「セルデンの物語」で、これの主人公は「パスカヴィル家の犬」で登場する脱走犯セルデンです。実は私はほとんど彼のことを覚えていないのですが、どんな役回りでしたっけ? 本作では、南アフリカでのボーア戦争で心に傷を負った人間として描かれています。戦争で傷、と言えばワトスンもアフガン戦争で傷を負っていますが、当時のイギリスは今のアメリカと同様に、世界のあちこちで戦争をやっていたんですね。そんなことまで思い出すことができる本です。