【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

前照灯故障/『五つの星が列なる時』

2008-11-11 19:13:15 | Weblog
 先月マイミクさんの日記でバイクの前照灯が切れた話を読んだと思ったら、伝染したのか、昨夜退勤時にバイクの前照灯が切れました。しかたないので「対向車にはごめんごめん」と言いながらハイビームにして走りました(40wのハロゲンランプなので、まともに照らしたら眩しいのです)。で、15分くらい走って一番最初に見つけたバイク屋に飛び込んで修理を依頼。ところがその日はそこは千客万来のようでつぎつぎバイクを押して客が来る。おじさん、大忙しです。でも大もうけはできません。パンクかと思ったら単に空気が抜けていただけとか、常連がお茶を飲みに来たとか。私も部品代だけで2100円でした。それでも助かりました。
 そこの常連さんとちょっと話をしたら、前照灯が切れたまま走っているバイクが意外に多い、とのこと。う~む、そういう目で道路を見たことがありませんでしたが、こんど気をつけて見てみることにします。そうそう、そこで痛んだシートは交換するほかにメーカー純正のシートカバーを掛ける手がある、と教わりました。それだと相当安くつくそうな。これはお得な情報でした。

【ただいま読書中】
五つの星が列なる時』マイケル・ホワイト 著、 横山啓明 訳、 早川書房、2007年、1800円(税別)

 イギリスのオックスフォードで若い女性の連続殺人事件が起きます。一人目は胸をきれいに切り開かれて心臓を抜かれ、二人目は脳。どちらの現場にも古いコインの模造品が残されていました。
 本書ではそれと同時に、17世紀にアイザック・ニュートンが不思議な力を秘めた「ルビー球体」を探索している姿が描かれます。
 オックスフォードで犯罪現場の写真撮影を仕事にしているフィリップとその元ガールフレンド(現在アメリカに在住、作家)のローラは、コインが紀元前400年古代エジプトのもので、そこには錬金術の思想が反映していることを知ります。錬金術を深く信仰する人は「賢者の石」(卑金属を貴金属に変える魔法の物質)を求めていました。ローラは占星術と錬金術の関係から、連続殺人は占星術を理解することで阻止できるのではないか、と考えます。最初の殺人は太陽が牡羊座に入った時刻に、次は月が牡羊座に入った時刻に行われました。ところが金星・火星・木星が次々牡羊座に入りる、占星術では特別な時期の始まりだったのです。もし二つの殺人が占星術によるものなら、あと3つの殺人が続くはずです。
 警察は当然ローラの話を信じません。占星術だって? そういう「怪しげな話」を持ち込むだけで(ローラたちが占星術の信者ではないと言うことなど無視して)うさんくさい人間扱いです。警察には警察の捜査をしてもらうことにして、ローラたちは別の観点から事件に取り組むことにします。歴史的に5つの星が会合したときに何か起きていないか、の探索ですが、その年の一つ1851年にもオックスフォードでは連続殺人が起きていました。さらにその前、16世紀にも。そしてそこで“主役”だったのは、あのニュートンだったのです。過去の連続殺人が現代に蘇ったのです。

 タイトルからは「惑星が一列に並ぶと、宇宙に大変動が」という内容のトな本を思い出します(タイトルは忘れました)が(なぜトかというと、太陽系ができてからそんなことは日常茶飯事で定期的に起き続けているのに太陽系が壊れていない、と言う事実と、ニュートン力学から「惑星直列」は別に奇異な現象ではない、という論理からの結論です)、本書ではニュートンが持つ科学者以外の、錬金術やオカルトに傾倒したもう一面に注目して、彼を魅力的な“悪役”に仕立て上げています。ついでですが、ニュートンはもう一面「聖書の研究家」も持っていましたけど、それは本書では省略されています。著者が知らなかったわけではなくて「ニュートンは立派な科学者」という思いこみを持つ人を、これ以上刺激したくなかったのかもしれません。ただ、解説では「ニュートンは錬金術に熱中していたからこそ自由な発想で科学に取り組むことができて、あれだけの業績を残せたのではないか」とも著者は述べています。これは確かにあると思います。頭が固い人は、たとえ「正義」の側にいようが「悪」の側にいようが、結局大したことはできないでしょうから。