【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

百均

2013-01-22 06:48:30 | Weblog

 結婚以来使っていた靴べらが折れてしまいました。25年以上ほとんど毎日使っていたわけですから金属疲労、じゃなかった、プラスチック疲労がついに来たのでしょう。家内がいろいろ探してやっと見つけたややクラシックな感じのお気に入りだったので、次がいつ見つかるかはわかりません。それではとりあえず今日から不便なので、百均で一つ適当に見繕うことにしました。
 さて、こいつは安かったのはありがたいのですが、どのくらい保つのかな? コストパフォーマンスが先代を上回ってくれれば嬉しいのですが。

【ただいま読書中】『50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?』林總 著、 ダイヤモンド社、2012年、1500円(税別)

 「東京経営大学」の学生ヒカリが管理会計ゼミの実習で配属されたのは、潰れかけたファミレスのアルバイトウエイトレス。そこが赤字で苦しんでいることを知り、ヒカリはあらためて「赤字って、何?」「赤字で何が困るの?」という初歩的な疑問を持ちます(これは“読者サービス”のための立問でしょうね)。そこで「損益計算書」の読み方の授業開始です。「固定費」「変動費」「限界利益」などについて解説され、一つの問題が出されます。「赤字のファミレスで、バイトを減らす、は正解か?」。
 損益分岐点を越えなければ利益は出ないわけですから、固定費を下げて損益分岐点を左側に移すのは「正解」のように見えます。しかしヒカリは実際に現場で得た実感からそのことに疑問を持ちます。ところが本社からやいのやいのと責め立てられた店長は、ヒカリをリストラの責任者に指名してしまいます。さあ、大変。“外野席”から適当なことを言うのと、実際に“グラウンド”でプレイするのとでは大違い。ただ、あくまで「ゼミの実習」ですから、ヒカリは特任教授にアドバイスを求めることができます。
 そこで「財務の視点」の限界が明示されます。特任教授は言います。「財務の視点は過去の数字を中心とした見方。それは重要なものだが、経営判断では数ある判断材料の一つに過ぎない。すべての答は現場にある」。そこで登場するのがバランススコアカードです。「財務の視点(決算書)」「顧客の視点(マーケティング、売り上げ)」「業務プロセスの視点(費用と資産、イノベーション)」「学習と成長の視点(人材教育)」の関連を頭に入れて決算書を読む必要があるのです。
 ヒカリはまず「顧客の視点」に注目します。顧客が満足しているところを伸ばし不満なところを減らせばリピーターが増える(=売り上げ増)というリクツです。しかしそれだけでは、売り上げは増え赤字は減りましたが黒字にはなりませんでした。そこで次の手は「イノベーション」です。
 ヒカリは大変ですが、読者も大変です。ここでタイトルの「50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?」が出題されるのですから。「限界利益の金額」で考えたら「100円の値上げ」の方が儲かりますが、「限界利益率(限界利益÷売上高)」で考えたら実は「50円のコスト削減」の方が儲かるのです。そして「コスト削減」とは「電気を暗くする」「アルバイトを減らす」「料理の原材料費をケチる」ことを意味しているのではありません。
 どこかで読んだことがある展開だと思っていて、あとがきを読んで腑に落ちました。ベースはドラッカーだったんですね。だから本書では「顧客を創造」していたんだ。
 私の商売でも「顧客満足度」「コスト削減」は重要です。私の領分に本書をそのまま応用はできませんが、基本発想は生かせそうに思います。ただ、私には「特任教授」はいないんだよな。残念。