【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

叙勲の騒動

2015-01-26 06:41:16 | Weblog

 親戚が叙勲したときには大変でした。商売人が集ってくることくること。その勢いはすごいものです。「おめでたい」と言えば商売人の言い分はなんでも通る、と言わんばかりの勢いでしたっけ。当人はもう大喜びで舞い上がっていましたら本人と家族には言いませんでしたが、「名誉」が「商売」とセットになっていることには、何か釈然としない思いでした。私は幸い勲章とは絶対に縁がない人生ですから、安心なのですが。

【ただいま読書中】『勲章と褒賞』佐藤正紀 著、 内閣府賞勲局 編集協力、全国官報販売協同組合、2014年、2273円(税別)

 もともと勲章や恩給は、軍人と官吏のためのものでした。今勲章は民間人にも門戸が開かれましたが、それでも明らかに官民格差はつけられています。それはともかく、写真がずらりと並んでいますが、ぴかぴかときれいです。
 勲章だけではなくて、銀杯(勲章に替えて授与されるもの)もきれいです。菊や桐の紋がついているから、これでお屠蘇を飲んだら不敬罪になるのでしょうか?
 勲章は「その人の生涯の功績」に対して授与されますが、褒賞は「特定の表彰されるべき事績」に対しての表彰です。そういえば紫綬褒章はよく聞きますが、そのほか、紅・緑・黄・藍・紺と全部で6色あります。お金持ちだと、どんと寄付をしたら「公益のため死罪を寄附した者」への紺綬褒章を受ける資格あり、となりそうです。
 勲章をどこにつけていくか、と言えば「国、地方公共団体その他の公の機関の行う式典には、勲章等を着用するを例とする」と「勲章等着用規定」に定められています。制服も、燕尾服とか紋付き羽織袴とか、けっこう詳しく定められています。
 勲章を製造しているのは、通り抜けの桜で私には馴染みのある大阪の造幣局です。そして、勲記を製造するのは国立印刷局。
 外国の勲章制度や、文化勲章の受章者一覧とかも載っていて、資料としても面白いものですが、笑ったのは巻尾です。メモ欄があって「経歴」とか「今回の受賞にあたって」なんて書いてあります。おやおや、この本も勲章と“セット販売”されることが前提のものだったのね。