【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

一億総中流

2020-01-29 07:08:41 | Weblog

 高度成長期ころに言われていた言葉です。「みんな中流」と言ってはいましたが、そもそも「中流」の定義をきちんとせずにこの言葉は使われていました。結局は要するに「みんな貧乏人」だったのではないかなあ。経済格差の原則から言ったら、人数が「上流<<中流>>下流」になるなんて、不自然でしょ? 単に「上流と中流<<<<下流」だった、というのが私の解釈です。

【ただいま読書中】『新版“思考停止人生"から卒業するための個人授業』潮田滋彦 著、 ごま書房新社、2017年、1500円(税別)

 「難しいよね」「よくわからない」「仕方ない」などの「思考停止ワード」を使うことで人は容易に思考停止状態になり、しかもそれを正当化してしまいます。現状維持のためには便利な「思考停止ワード」ですが、自分や会社の進歩を止めてしまう困った言葉です。著者はこういった言葉を「使用禁止」にはしません。ただ、自分がそういった言葉を使っていることを意識しろ、と言います。認知療法ですね。「あいまいなままにする」「あきらめる」は思考停止としてわかりやすいのですが、気をつける必要があるのが「知っている」のようです。著者は「知っている」ではなくて「やっている」方を重視します。おやおや、これは日本の学校教育に対する挑戦ですな。
 そして、思考停止状態に陥っている人に典型的な行動パターンが10挙げられます。ああ、これは多いや。
 次は「自分の頭で考える」「理路整然と考える」。これは単なる習慣、と著者は軽く言います。たしかに私がものを考えるのも、単に習慣に従っているだけです。面白いことを考えついたら楽しい、という“報酬"もありますし。
 「プレゼンテーション」の話も面白い。「あがり症だから聴衆をカボチャだと思って……」なんてことばがありますが、これがいかにプレゼンテーションの本質から外れた「思考停止ワード」であるか、が極めてわかりやすく解説されます。たしかに「プレゼンテーション」は「情報のプレゼント」なんだ。私がプレゼンをする場合には、なるべく「笑い」を引き出そうとしていますが、相手が「カボチャ」だったら笑ってはくれませんよね。すると私のプレゼンも著者が言う「プレゼンテーションの本質」を少しはかすっているのかもしれません。
 優れたビジネス本は、平易な言葉で意識的に繰り返しを多用して理解を少しずつ深め定着させるように構成されていますが、本書もその王道から外れてはいません。ただ、読み終えてそれでおしまい、ではありません。本書で繰り返し主張されているように「知っているだけ」ではダメなのです。「実践」をして、そこからさらに学び、自分を成長させていく、それで初めて本書を「読んだ」と言えます。さてさて、私はいつになったら本書を読み終えたと言えるかな?