派遣法改正が大問題!正社員になれない改正案を森永卓郎が解説!
キャリアラダーとは、キャリアアップのための“はしご(ラダー)”という意味です。仕事を難易度や賃金に応じて複数の職階に細分化。それぞれの職務内容や必要なスキルを明確にし、下位職から上位職へ、はしごを昇るように着実に移行できるキャリア向上の道筋と、そのための能力開発の機会を提供するしくみをいいます。
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雇用の二極化と中間職階の減少で キャリアアップの“はしご”喪失
キャリアラダー創出の必要性がいち早く論議されたのはアメリカでした。かつてのアメリカは、「アメリカンドリーム」の言葉どおり、社会の最下層で働く人々でも、努力と才覚しだいで上昇移動の途が開ける社会でした。しかし1980年代の新自由主義の台頭に伴って労働市場が激変し、雇用や賃金の二極化が進みました。高度教育や国際的・知的労働が求められる「ハイエンド雇用」と、さほど高度な教育を要しない労働集約型の国内向け「ローエンド雇用」が増加。一方で、IT化や雇用の海外移転により、それらの中間に位置する「中間職」が大幅に減少しました。
ピラミッド型だった職業構造は中間の細い“画びょう型”へと変容。スキルの乏しい労働者が、より賃金のいい仕事を目指したくても、上昇するためのラダーがなくなってしまいました。結果、彼らの多くは「デッドエンド・ジョブ(dead-end jobs)」(dead endは“袋小路”の意)と呼ばれる、先のない低賃金の非正規労働にはまり、貧困から脱け出せなくなってしまったのです。格差の固定化は、急速に進行していくことになりました。
ジョーン・フィッツジェラルド著『キャリアラダーとは何か』によると、こうした状況を打開するため、アメリカではここ10数年の間に何十ものキャリアラダー・プログラムが立ち上げられました。企業の側から見ても、「ローエンド雇用」の人材は短期離職率が高いため、定着を促す施策が求められていたのです。
日本では外食・小売・流通業を中心に、各企業が若年の非正規従業員を正規雇用に切り替えてキャリアアップへの道を開くなど、企業単位でキャリアラダーを導入するケースが増えています。その先駆はアパレル業界のGAPだといわれています。GAPでは、本社スタッフを除いて正社員の新卒採用は行っていません。マネジャー=正社員の多くは、時給契約の非正規雇用(同社ではセールス・アソシエイトと呼ぶ)からスタートし、経験とスキルを身に付けるたびに職階を昇り、キャリアを積み重ねていくシステムです。そこには、正社員へのキャリアラダーを意識させることで、非正規従業員のモチベーションを高めつつ、優秀な正社員も確保しようというねらいがうかがえます。
前掲した『キャリアラダーとは何か』の共訳者の一人である京都女子大学の筒井美紀准教授は、同書の前書きにこう記しています
「キャリアラダー」~雇用の二極化と中間職階の減少で キャリアアップの“はしご”喪失~
生活に困っている人に寄り添い、働いて自立できるよう手助けする「生活困窮者自立支援法」が先月施行された。最後のセーフティーネットと呼ばれる生活保護の手前の第2のセーフティーネットである。
新制度は生活困窮者からの相談に応じる「自立相談支援事業」の実施と、失業などにより住まいを失った人向けの「住居確保給付金」の支給を自治体に義務付けている。
期待が大きいのは、自立相談支援事業により全国約900の自治体に設置されるワンストップ型の相談窓口だ。専門の支援員が一人一人に合わせたプランを作り、ハローワークや病院など他の機関にもつなぎながら自立を促していく。
働く人に占める非正規の割合が4割近くに増えるなど、雇用環境が悪化する中、生活が苦しい人の割合を示す「相対的貧困率」は2012年時点で16・1%に上っている。
失業によって、苦しい生活に陥るというのは、特別なことではない。そのきっかけはリストラや病気、親の介護など誰にでも起こり得るものだからだ。
新制度では、社会との関わりに不安がある人を対象にした「就労準備支援事業」や、貧困の連鎖を断ち切るための「子どもの学習支援」などのメニューも用意。しかしこれらは地域の実情に応じた任意事業で、メニューの充実は欠かせない。特に県内では、ひとり親世帯が多く、若者の失業率が高いなど全国とは違う事情も考慮しながら、第2のセーフティーネットに息を吹き込みたい。
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新年度から市町村に生活困窮者の相談窓口が設置されるなど事業が動きだしている。
うるま市では昨年7月、先行する形で「就職・生活支援パーソナル・サポート・センター」を開所。生活再建の手助けを始めた。
生活相談支援員など5人の支援員が、3月までに受け付けた相談は291件。就労に関するものが最も多く、次いで住まいや家族、借金、税金に関する相談が目立ったという。必要に応じハローワークまで付き添い一緒に仕事を探すなど「伴走型」の支援が特徴で、これまで16人が就職した。
生活困窮者が抱える問題は仕事だけにとどまらない。時に健康や家族のことなどが複雑に絡み合っている。
鍵となるのは、個別的かつ継続的な支援だ。
■ ■
不正受給対策を強化した
社説[生活困窮者支援]試される第2の安全網
新制度は生活困窮者からの相談に応じる「自立相談支援事業」の実施と、失業などにより住まいを失った人向けの「住居確保給付金」の支給を自治体に義務付けている。
期待が大きいのは、自立相談支援事業により全国約900の自治体に設置されるワンストップ型の相談窓口だ。専門の支援員が一人一人に合わせたプランを作り、ハローワークや病院など他の機関にもつなぎながら自立を促していく。
働く人に占める非正規の割合が4割近くに増えるなど、雇用環境が悪化する中、生活が苦しい人の割合を示す「相対的貧困率」は2012年時点で16・1%に上っている。
失業によって、苦しい生活に陥るというのは、特別なことではない。そのきっかけはリストラや病気、親の介護など誰にでも起こり得るものだからだ。
新制度では、社会との関わりに不安がある人を対象にした「就労準備支援事業」や、貧困の連鎖を断ち切るための「子どもの学習支援」などのメニューも用意。しかしこれらは地域の実情に応じた任意事業で、メニューの充実は欠かせない。特に県内では、ひとり親世帯が多く、若者の失業率が高いなど全国とは違う事情も考慮しながら、第2のセーフティーネットに息を吹き込みたい。
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新年度から市町村に生活困窮者の相談窓口が設置されるなど事業が動きだしている。
うるま市では昨年7月、先行する形で「就職・生活支援パーソナル・サポート・センター」を開所。生活再建の手助けを始めた。
生活相談支援員など5人の支援員が、3月までに受け付けた相談は291件。就労に関するものが最も多く、次いで住まいや家族、借金、税金に関する相談が目立ったという。必要に応じハローワークまで付き添い一緒に仕事を探すなど「伴走型」の支援が特徴で、これまで16人が就職した。
生活困窮者が抱える問題は仕事だけにとどまらない。時に健康や家族のことなどが複雑に絡み合っている。
鍵となるのは、個別的かつ継続的な支援だ。
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不正受給対策を強化した
社説[生活困窮者支援]試される第2の安全網