横浜市のマンションで建物を支える杭のデータが改ざんされていた問題です。データを改ざんした「旭化成建材」の現場代理人が、「当時は残業の量が相当多かった」などと話していることがJNNの取材で新たにわかりました。
横浜市の傾いているマンションが建設された風景。販売元の三井不動産レジデンシャルが、購入を検討する人に配ったものです。杭が固い地盤に届いていない1棟の杭打ちの様子も映っていました。「後になって分かるクオリティ」とうたわれたマンション。なぜデータは改ざんされたのでしょうか。
杭打ちを担当した旭化成建材の親会社旭化成は・・・
「『少しでも早く』という部分はあるかもしれないが、非常に強いプレッシャーになったかはじっくりヒアリングしていきたい」(旭化成 平居正仁副社長・20日)
データを改ざんしたとされる現場代理人は、「プレッシャー」を感じていた可能性を示唆しました。パンフレットに写された杭打ちの工事期間。問題の1棟の杭工事は、全4棟のうち最後の工事でした。さらに固い地盤に十分に届いていない8本の杭は、その中でも「終了直前の2週間」に行われたものでした。関係者はこの時期に杭の長さが足りないことが判明しても、杭を追加で発注すると、工事期間が1か月以上長くなってしまう可能性があると指摘。現場代理人には「工期を延長させられない」とのプレッシャーがかかっていた可能性があるといいます。
こうした中、この現場代理人が旭化成側の聞きとり調査に対し、次のように述べていたことが、JNNの取材でわかりました。
「杭打ちの作業をしていた当時は、次から次に仕事の発注があった。残業の量は相当多かった」(現場代理人)
問題のマンションの工事が行われた2005年から2006年ごろは、首都圏を中心にマンションの建設が相次いでいて、会社側は現場代理人の勤務や工期をめぐるプレッシャーにつながっていないかを調べています。
この問題は他のマンションにも波及するのでしょうか。
「必ずしもこういったことが(別の物件で)ないとは、現物件でこれだけの数(データ改ざん)があった訳ですから言い切れません」(旭化成建材 前田富弘社長・20日)
旭化成建材はこれまでのおよそ10年で3000件の建物の工事を行っていて、その内訳について22日、国土交通省に報告します。(21日17:25).
データ改ざんマンション傾斜、現場代理人「残業多かった」