ナカナカピエロ おきらくごくらく

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

Voodoo Chile

2017-12-28 22:03:59 | 日記

Voodoo Chile

Voodoo Chileとは1960年代に登場したギターの神様、Jimi Hendrix(1942/11/27 - 1970/9/18)が1968年に発表した曲の一つである。曲作りへの異常なまでのこだわりとともにドラッグに傾倒し、Jimi Hendrixの曲は三次元音楽などと称され、今でも異彩を放つ音源となっている。Jimiの死は今でも謎めいたものがあるにしろ、ドラッグ中毒で死んだのは間違えない。死の直前のJimiは痩せ細って頬が痩け、どうみても20代の若者には見えなかった。

Jimiは黒人ミュージシャンだったが、実際にはあらゆるジャンルを越えていた。ロック、ブルース、ジャズ、ファンクなど、現代のあらゆる音楽のルーツがJimiの中から生まれた。実際にJimiの音楽を聞けば、それは容易く分かる。同時代のビートルズやローリング・ストーンズなど、遙かに凌駕したJimiの音楽性を垣間見せるものがJimiにはあった。

Jimiのカリスマ的な曲にはPurple HazeやHey Joeなどの名曲がある。(PrinceのPurple Rainは、もろJimiの影響と言っていいだろう。)その中でも曲名が一番謎めいているのが、Voodoo Chileである。(Childとも言われているが、Jimiはいつもdの音を発音していなかったらしい。Chileとはメキシコ人という意味が含まれているという説もある。)JimiがVoodoo教の信者かどうかは分からないが、Jimiの底に眠った血がこの曲を作らせたのだと、私は思っている。

Voodoo教はアフリカに起源を持つと言われ、奴隷制とともに南米の黒人たちの間で広がった密教である。その真実を明かした者は死ぬと言われ、今でも全容は解明されていない。Voodoo教には白魔術と黒魔術に分かれ、白魔術は人を活かすために、そして黒魔術は人を呪い殺すために使われた。今でもそれは密かに行われている。

20世紀末、オウム真理教によるサリン事件(1995年)が起こるまで、世の中は混沌としていた。世の中には裏と表があり、裏の世界は人知が及ばぬ闇の世界と思われた。現代思想が論じられ、世の中の仕組みの根本的基盤を明らかにすべく、あらゆる分野に議論が及んだ。宗教も例外ではなかった。インドはまだIT大国ではなく、まだ人間の神秘を宿す桃源郷だった。そうなのだ。あの頃はまだ人間の闇が深く世の中を覆った最後の年代だったのだ。呪文を唱えれば、人は宙に浮くこともできるし、姿を消すこともできると信じられた。その一任者が宗教学者の中沢新一だった。博識な中沢は現代思想の概念や言葉をうまく宗教に取り混ぜながら、巧みな話術で皆を興奮に駆り立てた。そしてオウム真理教によるサリン事件後、世間の批判に上げられ、表舞台から姿を消した。

しかし私は思う。あの頃、議論された思想や哲学が世間の白い目に晒され一蹴されてしまったことへの悔いがある。あのときもっと闇に踏み込んでいたら、こんな白けた世の中にはならなかったのではないかと。しかし今の世は必然だった。あの頃の闇は最後の足掻きだったのだと。。。

今21世紀を迎えて随分と立ったがグローバル化の波は世界から闇を奪った。今や全ての物が白日の元に晒される時代になった。ありふれた音楽、ありふれた芸術、ありふれた国家紛争。何もかもがありふれてしまった。もう人間の祖先の血が蘇ることはなくなった。Voodoo Chile。もうこの世に桃源郷はない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

12月27日(水)のつぶやき

2017-12-28 04:23:06 | 日記
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする