1.何故、トタン屋根?
屋根材を何にするかは大いに迷った。
美しさや重厚さ,また耐久性の上では 何と言っても瓦が一番だが、
コスト、耐震性、施工性の点で、選択肢からはずした。
また海岸沿いということで金属も避けた。
残ったのが、コロニアルとアスファルトシングル。
コロニアルは、セメント,ケイ砂、天然パルプ(以前は石綿を使っていた)を固めたもの。
アスファルトシングルは、アスファルトと砂を練り固めたもの。
施工性を比べると、アスファルトシングルは、可塑性があって、断然扱い易い。シロウト向きだ。これにしよう
しかし、何か気になる。この島でアスファルトシングルを使っている家があるか。
車で走る度に、気をつけて屋根を見たが、どこにも使われていない。
どうも気候に合わぬようなので、とりやめることにして、コロニアルに変更した。
カタログや見本を取り寄せて詳細な検討をしている時に、
知り合いの屋根やさんが言った。
「以前コロニアルを施工した時、野地板がスギ板だったので、
日が経って板が乾燥してくると、収縮がはげしく、
釘止めしたコロニアルがガタガタに動いてしまって、
エラい失敗だった」と。
コリャ、イカン
我が家も野地板は15㎜のスギ板。
合板を張る気はないので、コロニアルもダメだ。
では、何にするのか。
錆びの点が気になって避けた金属を再考することに。
寺や神社に使われている銅版なら良さそうだが。
だがコストが非常にかかるし、金属加工がどうも難しそうだ。
色んな本を探して浮かび上がったのが、トタン波板だった。
それも今はやりの、ガリバリウム波板だ。
トタンは,鋼板に亜鉛をメッキしたものだが、
ガリバリウムは、鋼板にアルミと亜鉛をメッキしたもので、
耐久性はトタン板の3~6倍あるそうだ。
トタン板の耐久性を5年(海岸地域で)とすれば、
ガリバリウム鋼板は15~30年ということになり、結構な耐久性だ。
またコストが安く、波板なら、平板と違って、
そのまま釘止めするだけで良く、施工性はとても簡単だ。
ただし、波板は雨の音や太陽の熱がまともだ。
そのため、野地板を2重にして、空気層を設け遮音と遮熱をはかることにした。
「これで、屋根は完璧だ」と思った時
、妻が言った。
「トタン板なんて、みすぼらしいわあー。
ニワトリ小屋や豚小屋の屋根と一緒やん。
前は、コロニアルにすると言うたやん。
トタンなんて、絶対にイヤ!」
確かに、トタン屋根は仮小屋や動物小屋に使われていて、
台風や大風で吹き飛んだり、めくれ上ったりして、
とてもみすぼらしく、見苦しいものだという印象が強い。
ある知人は、
「京都の景観作りに関わった者なら、
仮説イメージの強いトタン屋根は止めて、ぜひ瓦にするべきだ」
と言った。
近所の人は、
「瓦は載せんのかねぇ。菊間の瓦は焼きしまっていて最高よ」と言う。
また、「柱や梁は太くて立派じゃが、なんでトタン屋根なんじゃろうね」 とも。
妻に限らず、多くの人が、今もってトタン屋根に反対である。
それでも、トタン屋根は出来上がった。張り上がった。
ガリバリウム波板は、白銀に輝きとてもキレイだと思った。
ある人が
「隣の島へ渡る橋の上から、白く光る屋根が、よく見えた」
と言ってくれた時はとても嬉しかった。
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非難ゴウゴウのトタン屋根を張り終えたのは、
コモンマローが満開の6月1日
2.アスファルトルーフィングを敷く
屋根の片面の野地板を張り終えてから、アスファルトルーフィングを先に張った。
早く雨よけをしたかった。
残りの片面の野地板を張り終えてから、
同じくアスファルトルーフィングを張った時には、本当にホットした。
これで、雨の心配がなくなる。
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2006年5月23日 アスファルトルーフィング張り、南面がもうすぐ完了
ルーフィングは、少し厚めのものを購入。
ロール状のルーフィングはズシリと重く、屋根へ持ち上げて敷くのが思ったより難しい。
じゅうたんを敷くように、真っ平に、敷けるかと思ったが、
敷くうちに辺が伸びてヒダが出来てしまい、
タッカーで止めても凸凹が残ってしまった。

アスファルトルーフィングを、真直ぐに敷くのは難しい
アスファルトに砂を入れて固めたルーフィング材は、
カッターナイフで切ることが出来るが、
一度切ると刃がボロボロになる。
表面はまだにサンドペーパーだ。
この上を歩くのは、野地板の上を歩くより、ずっと楽だ。
滑り止めが効いて歩き易い。
しかし作業手袋は半日で指先に穴があいてしまう。
また膝をついたり、座り込んでの作業なので、
ズボンの膝や尻はすり切れて穴があいてしまった。

2006年5月21日 アスファルトルーフィングの上は、歩き易い
3.ガリバリウム波板を張る。
波板を張る前に、しっかり基準線を出しておかないと,
真直ぐには張れないようなので、
ルーフィングに墨ツボとチョークで縦横の基準線を書き入れる。
波板は6尺物と7尺もの合わせて114枚。
上から6尺、7尺、7尺と3段張りになる。
縦の重なりは、20㎝、横の重なりは波山が2山半である。
釘は、28㎜のステンレススクリュー傘釘を、多めに打つことにして、
縦は50㎝ピッチで。
さて問題は、張る順番だ。
屋根の下から張るのか、上から張るのか。
一般的には、重ね合わせのことを考えて、当然下から張っていくものだ。
しかし、屋根勾配がきついので、最下段には足留め材をとりつけておきたいし、
下から張れば2段目3段目は張った波板の上に載って作業をすることになり、
滑り易くて危険だ。
作業の安全性を優先して上から張ることにした。
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トタン屋根を上から張り始める
これはやはり張りづらかった。
2段目を1段目の下へ差し込むのが、とても難しい。
波板があまり持ち上がらなかったり、ルーフィングの継ぎ目に当たったりする。
それでも、次の時には差し込み易くするために、釘をあとで打つようにしたりて、なんとか進めることができた。
波板は、横方向には伸び縮みが効くと書いてあったが、
実際には厚みがあったからか、ほとんど融通が効かなかったので、
基準線が大変重要な役目を果たした。
基準線なしでやれば、一度傾けば、どんどん斜めになってしまっただろう。
3段目の最下段を張るときは、
足留め材をはずして、安全ロープをはるこことにした。
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トタン屋根張り全景
トタン屋根と言えば、
台風が来れば、必ず吹き飛ばされるものだというイメージがあるので、
釘打ちにはとても気を使う。
釘は、ステンレススクリュー傘釘で抜けにくくなっているが、
野地板に打ちつけるので効き長は板厚の15㎜だけだ。
釘を打っていてスコッと抜ける感じがする時は、
板の継目の節穴にあたった時なので、倍量をずらしてもう一本打つ。
失敗をして何度か釘を抜かなければならない時があったが、大変な力が必要だった。
これなら大丈夫そうだ。
それでも心配なので、重ね部分や端部には、多めに釘を打った。

トタン波板の釘うちの様子
4,棟包み
当初棟包みの意味合いや役割が良く理解できなかった。
またその構造もよく解からなかった。
棟の両側に波板を実際に張ってみてよくわかった。
波板と波板の突きつけ位置にすき間ができる。
それをふさぐものが、棟包みなのだ。目の当たりにして,すべてが理解できた。
とても重要な役割を持つものだ。
構造は至って簡単で、波板の上から下地材を打ち付けて、その上から棟包みをかぶせて、釘止めするだけだ。
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棟包み施工途中
棟包みは、ガリバリウム鋼板に塗装した市販品を購入。
屋根の上で見るとボリュームあった棟包みだが、下から見ると細い帯に見えるだけだ。
瓦屋根では、棟瓦を高く積んで、一層屋根を立派に見せる。
銀桟の屋根には、この棟包みがシンプルでよく似合う。
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棟包み完成
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2006年5月30日 トタン屋根完成
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棟上から屋根のダイジェスト版も、覗いてみてください。
「堀内さんちの七曜工房」の
「大三島だより6」と「番外編 銀色の屋根」です。
付記 妻・ひろより
私は、夫に出来る限りの希望を述べた。
「ちょっとぐらい合板使ってもいいやん。スレート瓦にしよう」
しかし、合板を使いたくない。“家の作りは、すべて、ムク材を使う”
という、夫の主張は、揺るぎなかった。
ガリバリウム鋼板なら、海辺の家でも、錆び難いらしい・・・
夫が、質実剛健で 合理主義 なのは、充分、知っている。
夫の屋根材の選択は、
ガリバリウム鋼板でも、一人で施工できる
安価な、“波板”しかないようだった。
しかし、いくら質実剛健主義であっても、
トタン屋根を、「心から、銀色に輝いて、美しい」
と感じているらしい夫は、今もって理解しがたい。
「シンプルで、きれいな、銀色の屋根やなあ~」
「樋を付けたら、見違えるように、よく見えるから」
と、妻にも、トタン屋根を美しいと感じるように、強要する。
そして、建築中の家の中で作業し、古家に戻ってくると
「あっちの家は、全然、雨の音聞こえへんで」 とか
「あれつ、こっちの家のほうが暑いなあ~、
トタン屋根は、涼しいで」
と、ことさら、トタン屋根の優位性を、強調する。
夫に感化され、
「もしかしたら、シンプルでキレイかな」
と トタン屋根を見直すこともある。
しかし、
「なんで、トタン屋根にしたんです?」
「まあ~、そのうち、タンポポハウスのように、草でも生やしたらきれいですよ」
「ペンキでも、塗ればいいですよね」
と、本気で、慰めてくれる人に出会うと
「う~、やっぱりな」
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「一人で建てる木組みの家」のこれまでは、こちらからご覧いただけます。
カテゴリー「一人で建てる木組みの家」からでも、見れます。
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美しさや重厚さ,また耐久性の上では 何と言っても瓦が一番だが、
コスト、耐震性、施工性の点で、選択肢からはずした。
また海岸沿いということで金属も避けた。
残ったのが、コロニアルとアスファルトシングル。
コロニアルは、セメント,ケイ砂、天然パルプ(以前は石綿を使っていた)を固めたもの。
アスファルトシングルは、アスファルトと砂を練り固めたもの。
施工性を比べると、アスファルトシングルは、可塑性があって、断然扱い易い。シロウト向きだ。これにしよう
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しかし、何か気になる。この島でアスファルトシングルを使っている家があるか。
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どうも気候に合わぬようなので、とりやめることにして、コロニアルに変更した。
カタログや見本を取り寄せて詳細な検討をしている時に、
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「以前コロニアルを施工した時、野地板がスギ板だったので、
日が経って板が乾燥してくると、収縮がはげしく、
釘止めしたコロニアルがガタガタに動いてしまって、
エラい失敗だった」と。

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我が家も野地板は15㎜のスギ板。
合板を張る気はないので、コロニアルもダメだ。
では、何にするのか。
錆びの点が気になって避けた金属を再考することに。
寺や神社に使われている銅版なら良さそうだが。
だがコストが非常にかかるし、金属加工がどうも難しそうだ。
色んな本を探して浮かび上がったのが、トタン波板だった。
それも今はやりの、ガリバリウム波板だ。
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ガリバリウムは、鋼板にアルミと亜鉛をメッキしたもので、
耐久性はトタン板の3~6倍あるそうだ。
トタン板の耐久性を5年(海岸地域で)とすれば、
ガリバリウム鋼板は15~30年ということになり、結構な耐久性だ。
またコストが安く、波板なら、平板と違って、
そのまま釘止めするだけで良く、施工性はとても簡単だ。
ただし、波板は雨の音や太陽の熱がまともだ。
そのため、野地板を2重にして、空気層を設け遮音と遮熱をはかることにした。
「これで、屋根は完璧だ」と思った時
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ニワトリ小屋や豚小屋の屋根と一緒やん。
前は、コロニアルにすると言うたやん。
トタンなんて、絶対にイヤ!」
確かに、トタン屋根は仮小屋や動物小屋に使われていて、
台風や大風で吹き飛んだり、めくれ上ったりして、
とてもみすぼらしく、見苦しいものだという印象が強い。
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「京都の景観作りに関わった者なら、
仮説イメージの強いトタン屋根は止めて、ぜひ瓦にするべきだ」
と言った。

「瓦は載せんのかねぇ。菊間の瓦は焼きしまっていて最高よ」と言う。
また、「柱や梁は太くて立派じゃが、なんでトタン屋根なんじゃろうね」 とも。
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それでも、トタン屋根は出来上がった。張り上がった。
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ガリバリウム波板は、白銀に輝きとてもキレイだと思った。
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ある人が
「隣の島へ渡る橋の上から、白く光る屋根が、よく見えた」
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と言ってくれた時はとても嬉しかった。
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非難ゴウゴウのトタン屋根を張り終えたのは、
コモンマローが満開の6月1日
2.アスファルトルーフィングを敷く
屋根の片面の野地板を張り終えてから、アスファルトルーフィングを先に張った。
早く雨よけをしたかった。
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残りの片面の野地板を張り終えてから、
同じくアスファルトルーフィングを張った時には、本当にホットした。
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これで、雨の心配がなくなる。
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2006年5月23日 アスファルトルーフィング張り、南面がもうすぐ完了
ルーフィングは、少し厚めのものを購入。
ロール状のルーフィングはズシリと重く、屋根へ持ち上げて敷くのが思ったより難しい。
じゅうたんを敷くように、真っ平に、敷けるかと思ったが、
敷くうちに辺が伸びてヒダが出来てしまい、
タッカーで止めても凸凹が残ってしまった。
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アスファルトルーフィングを、真直ぐに敷くのは難しい
アスファルトに砂を入れて固めたルーフィング材は、
カッターナイフで切ることが出来るが、
一度切ると刃がボロボロになる。
表面はまだにサンドペーパーだ。
この上を歩くのは、野地板の上を歩くより、ずっと楽だ。
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滑り止めが効いて歩き易い。
しかし作業手袋は半日で指先に穴があいてしまう。
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また膝をついたり、座り込んでの作業なので、
ズボンの膝や尻はすり切れて穴があいてしまった。
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2006年5月21日 アスファルトルーフィングの上は、歩き易い
3.ガリバリウム波板を張る。
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真直ぐには張れないようなので、
ルーフィングに墨ツボとチョークで縦横の基準線を書き入れる。
波板は6尺物と7尺もの合わせて114枚。
上から6尺、7尺、7尺と3段張りになる。
縦の重なりは、20㎝、横の重なりは波山が2山半である。
釘は、28㎜のステンレススクリュー傘釘を、多めに打つことにして、
縦は50㎝ピッチで。
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屋根の下から張るのか、上から張るのか。
一般的には、重ね合わせのことを考えて、当然下から張っていくものだ。
しかし、屋根勾配がきついので、最下段には足留め材をとりつけておきたいし、
下から張れば2段目3段目は張った波板の上に載って作業をすることになり、
滑り易くて危険だ。
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作業の安全性を優先して上から張ることにした。
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トタン屋根を上から張り始める
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2段目を1段目の下へ差し込むのが、とても難しい。
波板があまり持ち上がらなかったり、ルーフィングの継ぎ目に当たったりする。
それでも、次の時には差し込み易くするために、釘をあとで打つようにしたりて、なんとか進めることができた。
波板は、横方向には伸び縮みが効くと書いてあったが、
実際には厚みがあったからか、ほとんど融通が効かなかったので、
基準線が大変重要な役目を果たした。
基準線なしでやれば、一度傾けば、どんどん斜めになってしまっただろう。
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3段目の最下段を張るときは、
足留め材をはずして、安全ロープをはるこことにした。
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トタン屋根張り全景
トタン屋根と言えば、
台風が来れば、必ず吹き飛ばされるものだというイメージがあるので、
釘打ちにはとても気を使う。
釘は、ステンレススクリュー傘釘で抜けにくくなっているが、
野地板に打ちつけるので効き長は板厚の15㎜だけだ。
釘を打っていてスコッと抜ける感じがする時は、
板の継目の節穴にあたった時なので、倍量をずらしてもう一本打つ。
失敗をして何度か釘を抜かなければならない時があったが、大変な力が必要だった。
これなら大丈夫そうだ。
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それでも心配なので、重ね部分や端部には、多めに釘を打った。
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トタン波板の釘うちの様子
4,棟包み
当初棟包みの意味合いや役割が良く理解できなかった。
またその構造もよく解からなかった。
棟の両側に波板を実際に張ってみてよくわかった。
波板と波板の突きつけ位置にすき間ができる。
それをふさぐものが、棟包みなのだ。目の当たりにして,すべてが理解できた。
とても重要な役割を持つものだ。
構造は至って簡単で、波板の上から下地材を打ち付けて、その上から棟包みをかぶせて、釘止めするだけだ。
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棟包み施工途中
棟包みは、ガリバリウム鋼板に塗装した市販品を購入。
屋根の上で見るとボリュームあった棟包みだが、下から見ると細い帯に見えるだけだ。
瓦屋根では、棟瓦を高く積んで、一層屋根を立派に見せる。
銀桟の屋根には、この棟包みがシンプルでよく似合う。
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棟包み完成
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2006年5月30日 トタン屋根完成
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棟上から屋根のダイジェスト版も、覗いてみてください。
「堀内さんちの七曜工房」の
「大三島だより6」と「番外編 銀色の屋根」です。
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私は、夫に出来る限りの希望を述べた。
「ちょっとぐらい合板使ってもいいやん。スレート瓦にしよう」
しかし、合板を使いたくない。“家の作りは、すべて、ムク材を使う”
という、夫の主張は、揺るぎなかった。
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夫が、質実剛健で 合理主義 なのは、充分、知っている。
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ガリバリウム鋼板でも、一人で施工できる
安価な、“波板”しかないようだった。
しかし、いくら質実剛健主義であっても、
トタン屋根を、「心から、銀色に輝いて、美しい」
と感じているらしい夫は、今もって理解しがたい。
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「シンプルで、きれいな、銀色の屋根やなあ~」
「樋を付けたら、見違えるように、よく見えるから」
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と、妻にも、トタン屋根を美しいと感じるように、強要する。
そして、建築中の家の中で作業し、古家に戻ってくると
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トタン屋根は、涼しいで」
と、ことさら、トタン屋根の優位性を、強調する。
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「もしかしたら、シンプルでキレイかな」
と トタン屋根を見直すこともある。
しかし、
「なんで、トタン屋根にしたんです?」
「まあ~、そのうち、タンポポハウスのように、草でも生やしたらきれいですよ」
「ペンキでも、塗ればいいですよね」
と、本気で、慰めてくれる人に出会うと
「う~、やっぱりな」
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