水に降る雪

おもに宝塚、そして日々のこと

ロジェ

2013-08-16 | 雪組
戦争つながりでもう一つ。

『ロジェ』

水さんの退団公演。ものすっごい暗くて重い話で、役が少なくて
ハリーらしく、およそ大劇場向きとはいえない作品

第2次大戦終戦直前、まだ子どもだったロジェは目の前で両親と妹を殺され、
成長した彼は育ての親バシュレとともに、犯人を追い続ける、というお話。
24年かかってやっと犯人にたどりついたロジェですが、彼に犯人を殺す事は出来ませんでした。

水ファンにとっては大事な作品なので、客観的な作品評価はできないです。
それ以外の宝塚ファンには、あまり評判はよろしくなかったような
何しろ暗くて小難しい、というか。戦争犯罪人やらヴィーゼンタール機関やら
耳馴染みの無い言葉も使われてましたしね。

それにどういうわけか、主人公のロジェに共感できない、っていう人が意外と多くて。
(逆にそれが私には理解できなかったんですが。)
何十年も執念深く犯人を追い続ける気がしれないとか、気持ち悪いとか
そう、なんでしょうか。だって目の前で、見てしまったんですよ。
忘れようと思っても忘れられないのが普通じゃないですかね。

山口県光市の母子殺害事件。被害者の夫が、死刑を求めて何年も闘い続けたのは気持ち悪い、でしょうか?
北朝鮮による拉致被害者の家族は、それこそ何十年も闘い続けて未だに解決していません。
私たちにとって20年は考えられないくらい長い年月ですが、
犯罪被害者にとっては時間が止まってしまうんでしょう。
家族を失った痛みは、たとえ事件が解決しても、完全には癒えることがなでしょうし。

ロジェに共感出来ない人は、共感力が足らないんじゃないかと思ってしまいます。
まぁバシュレ以外には心を開かないし、コミュニケーション能力はほとんどゼロに近くて、
付き合って楽しい人ではないでしょうけど
それでも彼なりに人として最低限の思いやり、みたいなものはありました。
戦争犯罪者の家族への対し方とか、リオンに罪が及ばないように手錠で動けなくしたりとかね。
だからこそ、シュミットを撃つことができなかったのかもしれない、と思います。

始まりから終わりまで、緊張感があり、普段は考えないようなことを考えさせられた作品でした。
一般的に評価される作品ではないかもしれませんが、私はやっぱりこの作品が好きです



今日は8月16日
水さん、お誕生日おめでとうございます
充実した一年になりますように
遠く離れた地から、お祈りしています















コメント
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