今日から月組東京公演が始まりました。無事に初日の幕が下りたようでほっとしています
世の中が騒然としていて綱渡りの毎日ですが、西の地から応援しています
さて、かなとくん(月城かなと)の初めてのオリジナルショー「FULL SWING!」
オーソドックスで大人なジャズのショー。
東京のお稽古場情報で、海ちゃん(海乃美月)がフィナーレ大階段の燕尾の、かなとくんが好きと言ってくれて
「気が合うわね~、私もあそこが一番好き」って心の中で握手しました
トンチキ衣装も無くて十分楽しめるショーになっていますが、お芝居仕立ての場面が多すぎたかな、とは思います
芝居仕立ての場面が悪いわけではないんですが、ショーの中でも“月城かなと”ではない誰かを演じることになりますし、
疾走感爽快感みたいなのをもう少し足しても良かったのではと思いました。
フィナーレは役としてではない“男役・月城かなと”、としての魅力を振りまいてくれるので楽しいんですよね
お芝居仕立ての場面の中では、第4景のカフェの場面が好きなんですが、初見の時から気になっていたことがありまして。
戦場で、ひらひらと舞う蝶に手を伸ばすと、銃声が響いて飛んで行ってしまいます。
そこから休暇なのか、戦争が終わったのかで帰還した、かなとくんを故郷のカフェの人たちが迎えてくれてダンスが始まります。
ひとしきり踊ったあとで、ふと気づくとまた蝶が高いところを舞っていて手を伸ばして捕まえようとするのを、
海ちゃんが必死に引っ張って止めようとするんです。連れていかれまいとするように。
プログラムには蝶を「死の使い」と書いてありました
蝶は春の訪れの象徴なので、喜びのニュースとか復活とか、いい意味に使われることが多いようですが、ここでは「死の使い」。
どこかで、かなとくんがいた戦場は西部戦線と書いてあるのを目にしたと思ったんですが、違いましたっけ?
西部戦線と言えば「西部戦線異状なし」という映画の原作者レマルクは、宝塚ファンにはお馴染みの「凱旋門」の原作者です。
「凱旋門」は第二次大戦前夜のパリ、ナチスから逃れようとする人々を描いた作品でしたが、
「西部戦線異状なし」は第一次世界大戦末期のドイツ兵の若者を主人公にした作品で、作者自身の実体験が投影されているそうです
その映画のラストシーンは塹壕にいた主人公が、蝶を捕まえようと手を伸ばし、撃たれて戦死するところで終わったかと思います。
ちゃんと映画を見たことは無い気がするのに(見たのかもしれないけど)そのシーンだけは不思議と何十年経っても、心に残っているんですよね
「復活」にはキリストのように死者が復活するという意味もあるでしょうし、蝶には亡くなった人の化身を意味する国もあるそうなので、
無事に死の世界から戻ってきたジャンゴを、こちら側の世界に繋ぎとめようとする恋人との場面だと思っていましたが、
ジャンゴ自身が蝶になって愛する人、愛する世界に戻ってきた、という解釈も出来るのかもしれません
コロナだけでも十分鬱陶しいのに、そんな世界で戦争を始めるとは
第一次世界大戦はスペイン風邪によって終結したと言われてますが・・・。
本当に劇場の中だけでも、幸せな気持ちになりたいですね