水に降る雪

おもに宝塚、そして日々のこと

舞台「刀剣乱舞」禺伝矛盾源氏物語・余談

2023-03-26 | 日記

長々と刀ステ禺伝感想にお付き合い下さりありがとうございます

まあ感想と言うよりは、ごちゃごちゃになった頭の中をなんとか整理してみた、って感じですけど。

綺伝とか過去作を見てから見ると、また新しい発見があったりするんだろうな~

 

 

☆笹貫に会いに京博へ。

1月にゲームの刀剣乱舞に出て来る笹貫という太刀を見に京都国立博物館に行って来ました。

通常展示なので、すっごい安かったです

刀剣関係は刀より拵えとか刀装具の展示が多くて、それはそれで凄く面白かったです。

他に仏像とか日本画とか考古学関係とか、各室ごとに展示されてるのが見ごたえがあって行って良かったなと思いました

 

その中で一番印象に残ったのが実は、空海の絵巻物語で。

面白すぎて凄かったです

もうSFヒーロー物ですよ!日本人って昔から変わらないなぁ、漫画やアニメの源流はこれか?と思いました

イヤどこの国の人も同じなのかもしれないですけどね

あれを見せといて「物語は罪」と言われてもね~、説得力ないなと

宗教と一緒にするなバカ者!と怒られそうですが

 

 

☆TDCと永青文庫に行った話。

今回の禺伝はチケ運に恵まれなくて私自身は円盤先行で1枚押さえてたんですが、

大阪での公演期間が短かったせいもあるでしょうが、娘のチケットがどうにも出来なくて。

一般前売りに参戦、土日は勿論他の日もチケットが取れそうになかったので最終手段、

東京の平日を見に行ったらチケットがまだあったので、見切れ席でしたが行くことにしました

東京ドームシティホールがどんな劇場なのか行ったことがなかったので、つい好奇心もありましたし

 

でも初見で観る席じゃなかったな、というのが感想です

下手のバルコニー席で舞台にすごく近いので、リピートなら楽しむ自信がありますが

ほぼ真横から見る形になって舞台奥のスクリーンが半分見えず、舞台奥のお芝居も見えないので、

脳内補完してなんとか話についてはいけましたけど

次がもしあるなら、初見であの席はやめとこうと思いました

 

平日日帰り弾丸遠征で、観劇の前に永青文庫に行って来ました。

丁度歌仙兼定や古今伝授の太刀など細川の名刀の展示があったので

早稲田の街を通って行きましたがお洒落なお店がいっぱいで、さすが都会は違うな~、ってなりました

そして永青文庫は急坂の上にありました

「胸突き坂」って名前でした。そうでした、滅多にいかないので忘れてましたけど、東京は坂の町でしたね~疲れました

 

永青文庫の展示は素晴らしかったですけどね。建物の外観や内装、お庭も雰囲気あってワクワクしました。

歌仙くんは意外と実戦向きな印象を受けました。合ってるかどうかはわかりませんけど。

そして古今ちゃんの優美な姿形の美しさには、思わず見惚れてしまいました。

先日NHKの「英雄たちの選択」で取り上げられてましたね。詳しい話は知らなかったので面白かったです。

 

 

☆源氏物語について。

「物が語るゆえ物語」というのはシリーズを通して度々出て来る言葉です。

刀剣男士には逸話=物語があり、それによって存在し、強くしている。

「源氏物語」は日本文学史上最高傑作といってよく、つまりは物語として最強の存在なので、

源氏物語と対決するのは必然で、かなり初期からその構想が制作側にあったのかなと思いました。

宝塚OGを使うという発想がどの時点で出たのかはわかりませんけど

 

宝塚ファンならほとんどの人が「新源氏物語」や「あさきゆめみし」を履修済みなんじゃないでしょうか

公演をきっかけに現代語訳に挑戦された方もいるかもしれませんね。

「あさきゆめみし」は原作漫画の評価も高いので、受験生の時に読まれた方も多いのでは。

 

私自身は50年くらい前(!)与謝野晶子訳を読みました。

文体が美しくて内容も面白かったので最後まで読み切れましたが、どうにも主人公の光源氏に共感出来ませんで

友人は谷崎潤一郎訳を読んで、凄く良かったよ~、と言っててちょっと気を引かれたんですが

欠片も共感出来ない主人公で、あの長大な物語を読む気になれなくて、結局二度とは読みませんでした。

(最近の訳なら誰のがいいんでしょうね。娘が読みたそうにしてるので、おススメがありましたら教えて下さい

 

今考えたら浅かったな~と思いますね。子どもだったといいますか。

もしかしたら背伸びしすぎて、読むべき時期を間違えたのかもしれません

50年前でも今でも、光源氏がクズであることに変わりはないんですけど

 

禺伝を観てから、源氏物語ファンや中世文学を研究された方の感想をいくつか読んだんですが、

源氏物語受容の変遷とか、研究史にも触れられていて凄く勉強になりました。

劇中でも歌仙くんが「なぜ紫式部がこのような物語を書いたのか、興味深いね。」と言ったり、

光君を演じていた男が「作者はなぜ光君をこのような男として描いたのだろう」などと言ってましたが、

読んだ当時はそういうことはまったく考えませんでしたからね

 

この齢で読んだらもっと違った見方ができるかもと思いますし、

今中高生で禺伝を観たら、進路が変わっていたかもしれない、などと思いました。

 

来年の大河ドラマの主人公は紫式部ですね。いったいどんな物語になるのか、今から楽しみです

 

 

さて、禺伝関連の記事はこれで終わりです。だらだらと時間ばっかりかかっちゃいました

「応天の門/Deep Sea」の感想も書けよ!ってところですが、その前に綺伝の蔵出しBDを見よ~

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

舞台「刀剣乱舞」禺伝矛盾源氏物語③

2023-03-26 | OG

続き。ネタバレ全開ですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その名も無き男に「物語はいつかは終わる」どうするつもりだ?と、一文字則宗(綾凰華・98期)が尋ねると、

いつまでもこの世界が続くとは思っていない。だからこの源氏物語の世界がある間に、

自分は光源氏として生き、光源氏として死ぬつもりだと答えます。それから地中深く骨を埋めるのだと。

その骨が遥か未来に発見された時、物語は歴史になり、そうすれば紫式部様は地獄に落ちないで済む、と

 

「嘘を本当に、物語を歴史に」

トロイの遺跡が発見されて伝説が歴史になったみたいに

なんか急に話のスケールが大きくなったというか壮大に。

そしてもの凄く気の長い話だな~

 

 

部隊がこの時代に来た時、そこが物語の世界に変わっていると認識出来ていたのは大元である光君と、小少将の君、

多分藤壷女御、それに六条御息所だけでした。

本編でない隙間の時間(=行間)になると正気を取り戻し、物語の外へ行こうとした小少将の君。

式神を使ってそれを阻止しようとした六条御息所。

六条御息所はなぜそれを認識でき、そして光君を演じている男に協力するのかわからなかったのですが、

のちに六条御息所を演じていたのは中宮彰子とわかります。

 

物語の他の登場人物たちも、次第に自分が物語の中の人間だと理解できるようになっていき、

光君への恨み言やら、自分の設定に対する文句や愚痴を言うようになっていくのですが、

刀剣男士たちが来た時点で物語には矛盾が生じ、破綻が始まっていたから、のようでした。

歌仙兼定(七海ひろき)や大倶梨伽羅(彩凪翔・92期)が、一時的に光君に成り代わったのも影響したのかもしれません。

(そのくだりは同じ光君でも個性が違っていてだいぶ面白かったです

まあそもそも源氏物語の中に刀剣男士は存在しないですからね

 

一文字則宗と山長毛(麻央侑希・94期)に、藤壷女御を演じていた紫式部が、

物語の登場人物に現世と同じ様に、苦しみ悩み争いそして死を与えたことに対する後悔を話します。

物語ることを知った以上物語ることをやめることは出来ないと言っていた紫式部なのに

小説や漫画、映画・演劇など、物語ることをやめられない創作する人たちの業、のようなものを感じました

末満さんもそんな後ろめたさのようなものを感じることがあるんだろうか、なんて。

凡人には到底わからないですけど

 

それに対して彰子は物語への憧れ、源氏物語への熱い想いを少女のように目を輝かせて話すんですが、

それは現代に生きる少女たちと少しも変わらないんですよね

紫式部も中宮彰子も、現世の様々な制約や呪縛から自由になり、世界に空想を広げられたから物語を愛した。

でもそれは女性だけに限ったことではありません。

中宮彰子も源氏物語のファンだからこそ、光君を演じている男に共感してしまったのかもしれない。

 

そんな素晴らしい世界を私たちに与えてくれた、作者である紫式部が悩み苦しみながら

心を残しながら亡くなって行ったことが残念で仕方がない、と言う彰子。

って、エエッ今なんて

 

つまり源氏物語に変わる前の世界は源氏供養の世界で、どちらも現実(=歴史)ではない物語の世界、ということに

刀剣男士が歴史を守るために存在するように、六条御息所たちは物語を守るためにいるのだと

 

藤壷女御(=紫式部)の死を経て最後の戦いの場面に。

式神や時間遡行軍との闘いですが、いつものように刀剣男士一人ずつの殺陣の見せ場になります。

劇中に出て来るセリフの中には、ゲーム内で使われるているものがちょいちょいあるんですが、

戦闘シーンでは特に、ゲーム内で使われるセリフがてんこ盛りこんなにあったかなって思うくらい色々出て来ます

それに刀剣男士それぞれの殺陣は、刀種や逸話などの背景を反映していて個性があるので、

実際にゲームをやってみるとそれがわかって楽しいです

 

そして「雲隠」の帖での光君との最終決戦へ。

「雲隠が何もない物語なら、僕たちが語ってやろうではないか。物が語る、ゆえに物語と言うだろう!」

そう言い放ち部隊を率いて出陣していく歌仙兼定がカッコ良すぎ

 

そして迎え撃つラスボス光君あなた優雅な平安貴族じゃなかったの?

白いお衣装がなんか中華っぽかったです。「蘭陵王」の、かちゃ(凪七瑠海)のお衣装を思い出しました。

 

物語の世界が崩壊に向かっているとはいえ、さすが源氏物語の主人公。

刀剣男士の部隊全員を相手にしているのに一歩も引かない

それでも一人対六人ではさすがに分が悪く、次第に追い詰められていく光君。

 

歌仙兼定は最後のとどめを刺そうとして、突然止めてしまいます。

光君を演じている名もなき男がやろうとしていたことを思い出したから。

光君がここで華々しく死ぬことは、彼にとって計画通りだから

 

そこへ光君と関わった女性たちが現れ、恨みつらみを述べて殺そうとしますが殺すことができません。

恨んでいてもやはり光君を愛しているから。それでこそ「源氏物語」なのでしょう

最後に光君の元へ来た若紫にも出来ないと言われますが、愛するお前に殺されるなら本望だ、さあ、

と殺させようとするのがね~自分の望みのために幼い子どもも利用しようとする男にってなりました。

 

それは歌仙くんも同じ気持ちだったようで、結局最後のとどめを刺したのは歌仙兼定でした。

光君を演じていた男が死んだことで、役目を終えた女たちは消えていきます。

でも、それで終わりではありませんでした残っていた時間遡行軍が現れて男の遺体を持ち去ったのです

 

あっという間の出来事で、歌仙くんは追おうとはせず行かせてやります。

それに対して山長毛が「あの男に同情したのか」と僅かに咎めるような言い方をするのに、ちょっとヒヤッとしました。

歌仙くんは「土の下にはいろいろなものが埋まっている。」古代の神話から土地土地の伝説まで。

源氏物語が埋まっていたとしても大したことではない、と言い切るのが面白かったです。

 

まあ確かにそうかもしれません。今でも地方の蔵から新しい史料が発見されたり、

つい先日も4世紀くらいの古墳から、国宝級の蛇行剣と盾型の鏡が発見されて驚かされましたからね

ただ研究者の一人が、もし発見の経緯を知らなくて、その物だけ見せられたら偽物と鑑定するだろう、と話してましたから

真贋を見究めることは簡単ではないようです。

 

最後にもし自分たちのいる世界が(現実ではなく)物語だったらどうするか?と大倶梨伽羅に問われた歌仙くんは

源氏物語がそうであったように、この物語に心を寄せてくれる人たちがいるはずだから、それに報いたい、と答えます。

「僕は文系名刀だからね、風流の何たるかを教えてあげるよ!」

 

 

鶴丸国永が无伝で、三日月宗近にこの戦いが永遠に終わらなかったらどうする?気が狂わずにいられるか?

と訊いていたのを思い出しました

舞台を観ている私たち審神者が、彼らに終わりのない戦いを強いているのだと思うと、胸にちくっときます

そして時の政府もなかなか胡散臭い

源氏物語の世界に出陣した部隊が、実験用の擬似本丸だということが初めの方で明かされていて

」ってなりました。

 

更に元々持っていない逸話が付与されていて(そ、そんなことが出来るとは

歌仙兼定は細川忠興から妻ガラシャに譲られたという逸話、

大倶梨伽羅には伊達家に渡らず、徳川将軍家にあり続けたという逸話が

二振りとも戦いの中で本来の逸話を思い出し、結局元からある逸話の方が強いという結果に。

 

それを観察しているのが、一文字一家で彼らも本来無い別の刀剣男士の逸話を付与されますが、

刀としての逸話の他に一文字一家であることが彼らのアイデンティティの一つであるために、

惑わされることがなかったようです。

なんか闇ですよね

 

これからの展開に目が離せないです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする