「邪魅の雫」京極夏彦 2006講談社NOVELS
「僕は君が嫌いだ」
まあ、嘘じゃないだろう。
展開を見守る中で、誰が誰に言ったのか。
そこからどれだけの真実が読み取れるだろうか。
それを意識していないと迷ってしまう。
そして、忘れた頃にそれを思い出させられる。
その名前は、本当にその人なのか。
折り返し点の直前まで来て、
つい、最初から読み直してしまう。
だが、その必要はないのだった。
だって、
ちゃんとその迷いの部分も含めて解説してくれるのだから。
このシリーズで一番感情移入しやすいのは関口なんだけれど、
今回は大鷹と江藤という楽な奴らもいた。読みやすい。
- 澤井健一 (防疫給水部隊)アル中恐喝強姦魔
- 来宮早百合「おねーちゃんに手を出すな!」
- 宇都木実菜「親戚縁者、うぜー」
- 赤井大輔「女たちを俺が守るぜ!」
- 江藤徹也「頭が重い。すっきりしてー」
- 大鷹篤志「殺してしまいました(誉めて~)」
連続じゃなくて、連鎖。
仕向けたんじゃなくて嘘を吐いただけ。
犯罪者は居る。法を犯したものは、遍く犯罪者である。しかし、犯罪者の多くは、困った人であり、愚かな人であり、間違った人なのだ。
悪人ではない。
悪い奴は―多分何処かに居るのだろうが、そういう奴は法の網に掛からないらしい。
『雑貨屋に行けば箒が売っているかもしれないな』
ああ、京極先生も使うんだ。