以前ここでも紹介した中国発のSF小説、
「三体」劉慈欣作(早川書房)
去年は2巻の終わりまで読んで中断していたのですが・・(2023年8月29日の記事参照)
何しろ2巻の終わりでは、強力な三体星人の攻撃をかわして地球防衛に成功。やれやれとホッとしたので、この後どんな展開になるのかわからないけど、3巻は退屈だというネットの評判もあり、しばらく読むのを保留していました。
ところが、
今回も病院の待合室で3巻のサンプル版を読み始めたら止まらなくなり、帰宅後即「三体Ⅲ上巻」Kindle版を購入。
5日かけて読了し、すぐにまた下巻を購入しました。
3巻目は退屈だ、なんて言ったの誰だ!
一番面白いじゃないか!
というわけで、私的にはこの3巻「死神永世(上下巻)」が最高に面白かった。
何しろぶっ飛び方が凄いのです。
1,2巻もけっこうぶっ飛んでいたけど、3巻はもう宇宙全体まるごとひっくるめて、さらに時間も飛び越えてその先に行くのだから、壮大さは1,2巻の比じゃない。
物理学の用語がいっぱい出てきて科学音痴の私には少々きつかったけど、この辺は噛み砕いて説明してくれるサイトもあるので、わからない時はネット先生に聞きながら、何とかストーリーについていきました。
物理学用語がわからなくても大丈夫なのです。
なんたってストーリーそのものが面白いのだから。
たとえば、下巻で登場する雲天明のおとぎ話なんて、それだけでも面白い。
(少しネタバレ)
おとぎ話というのは、物語のない王国の王位継承をめぐるお話です。王位を狙う王子が一人の絵師を雇うのですが、この絵師は魔術師で、彼が絵に描いた人物は現実世界から消えてしまう。また、何でも食い尽くす魚に囲まれた島に閉じ込められた王子とか、ホーアルシンゲンモスケンという奇妙な名前の国から取り寄せた特殊な石鹸とか、絶えず回転していないと魔法に侵されてしまうので回転させ続けないといけない傘とか、遠近法を無視した存在とか・・もう魅力的な要素がいっぱいのお話なのです。
しかもそのお話の中に、地球人類を救うメタファーが、しかも二重のメタファーが隠されているという仕組み。
他にも、前の巻で登場した人物が、おお、ここで再会できるとは、という驚きもあり、
宙を漂うカード大の薄い紙が、実は恐るべき武器で宇宙を丸ごと呑み込んでしまうほどの威力があったりと、
それはもう想像のはるか向こうを行く、凄さなのです。
というわけで、しばらく「三体」の世界にハマっていました。
そうだ、早く地球を脱出せねば!
太陽系を脱出してはるか彼方の銀河に移住するのだ・・なんて思い始めたりするのですよ。
この続編として、「三体」ファンが書いたという「三体X」もあるので、また折を見て読もうと思っています。
「三体」シリーズは面白過ぎるので、他のことに手がつかなくなるのが欠点です。夏休みなど時間がたっぷりある時に読むことをお勧めします。
くれぐれも寝不足、現実感の喪失、妄想等にはご注意を!!
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