ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

「青ノ果テ・花巻農芸高校地学部の夏」伊予原新著

2024-10-17 14:00:51 | 

たまたまTVで見たドラマ「宙わたる教室」が面白かったので、原作者(伊予原新)の別の小説

「青ノ果て・花巻農芸高校地学部の夏」(伊予原新著 新潮文庫 Kindle版)

を読んでみました。

これ、思いがけず宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にまつわる話でした。

しかも花巻農芸高校の生徒たちの青春ストーリーです。

以前、ここで紹介した「この夏の星を見る」辻村深月著(2023年7月24日の記事参照)

にも共通するテーマで、私はよく宇宙とシンクロするなあ、と思ったのですが、それはさておき、

私も若い頃、宮澤賢治にハマっていた時期があって、何度か花巻も訪れています。

当時はまだ宮澤賢治記念館のようなものはなく、まだ健在だった宮沢清六氏のお宅を訪ねて、当時の写真など見せていただきました。

「銀河鉄道の夜」に登場する「天気輪の丘」とはどこなのか、そして、「天気輪」とは何なのか、という話も散々友人たちとしました。個人誌「天気輪」を出していたのもこの頃のことです。

この本の中で圧巻なのは、やはり宮澤賢治論でしょう。

天気輪の丘はどこで天気輪の柱とは何なのか、イーハトーブとはどこからどこまでをいうのか、カンパネルラが死なない世界はあるのか・・

花巻農芸高校地学部員たちは、こうした疑問を胸に、夏休みに宮澤賢治の足跡をたどる旅を始めるのです。

その旅の中で、主人公壮多、壮多の幼なじみ七夏、転校生深澤の3人の関係が明らかになっていく、というストーリーで、最後の方はかなりドキドキさせられます。

「銀河鉄道の夜」の登場人物たちと重なる彼らの運命や如何に?

という感じでね、なかなか面白かった。

宮澤賢治の童話や詩のエピソードがいっぱい散りばめられていて、賢治ファンにはたまらない小説だと思います。

「宙わたる教室」は、これもまた理科の先生が登場する話なのですが、舞台は定時制高校。私も昔定時制高校に勤めていたことがあるので、なつかしいなあと思いました。

というわけで、伊予原新の他の小説も読んでみようと思っています。

 


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