越川芳明のカフェ・ノマド Cafe Nomad, Yoshiaki Koshikawa

世界と日本のボーダー文化

The Border Culture of the World and Japan

ハバナの12月(2)

2012年02月13日 | キューバ紀行

 

 12月4日(土)が聖女バルバラの日であることもあり、その週末には行事が相ついだ。

 カトリックの聖女バルバラは「ルクミ」のオリチャ(守護霊)の一人である雷・火・太鼓などを司る「チャンゴ」と習合している。

 守護霊が「聖女バルバラ(チャンゴ)」であるガビーの腹違いの妹イリス・カリダーの家で、夜遅くまでフィエスタがあった。

 そこは対岸の街レグラやカサブランカへ向かうフェリの渡しがあるハバナ湾のちかくにある集合住宅。

 黒木和夫監督の映画『キューバの恋人』(1969年)で、若い頃の津川雅彦がハバナの街で引っかけた(と思った)女性を訪ねていくアパートによく似ていた。

 四階の部屋の入口に立っていると、洗濯物が干してある中央の吹き抜けの部分を、テレビの音や、

 誰かが人を呼ぶ声などにまじって、他の部屋で行なわれているタンボールの演奏や歌声が、

 まるで火山の噴火のように勢いよく下から突きあげてくるのだった。

 フィエスタの前に、チャンゴに捧げるタンボール(太鼓)の儀式があるという。

 ガビーの妹の知り合いの家に行ってみると、演奏はバタと呼ばれるルクミの儀式のための太鼓ではなく、

 カホン(木製の打楽器)と、へちまのような形のグラと、鉦だった。

 オリエンテ(キューバ東部)のやり方だという。

(つづく)


 


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