10数名の施設の利用者さんが集まっている 昨日は入所の方は参加はされていない
施設でのうたごえは 私の場合は 見る 聴く では無く 自らか歌うこと これが楽しさを増し 意欲が起きる
歌うことによって いろいろのことが思い出されたり 連想のきっかけとなり 周りの方との連帯感も湧く
トークでは笑いが起きるような話をする 時には懐かしい想い出を共有する
私の強みは 施設を利用する皆さん方と 年齢も近く 激動の時代を生き抜いてきた共通の時があることだ
あんなことが有ったね こんな暮らしが・・・疎開も空襲も 戦前戦後を通じて話が合う皆さんである
軽い認知症の方は多い これには音楽療法がかなりの効果があるが ひとりひとりと個別にできないことは仕方がない
歌うことが楽しい 笑う時もある 僅かな時間であるが そんな余韻が残るようにしてして行きたいと思う
特に思い出すことは大切である 忘れることが多くなる中で ある接点が想い出の糸を手繰ることも出来るのだ
わろてんか いよいよ最終回も近い 年代は太平洋戦争に入って行く前後 普段の暮らしは軍部によって制限
自由なんてどこにもなくなり すべてがお国の為 国家高揚でなければ逮捕もされる時代だ
そんな中でも映画があり 小説も書かれ 歌も歌われてきた 軍部の検閲下を生き抜いたのである
『旅の夜風』を施設では歌う 皆さんの愛唱歌にも等しい歌だ
映画 「愛染かつら」の主題歌である 川口松太郎さんの原作 田中絹代さんと上原謙さんが主役
上映されたのが 軍部色が一段と強くなる1938年 昭和13年である もちろん検閲をすり抜けた映画だ
恋愛なんて国の非常事態の時に許されるか しめつけが一層強くなる時代に 良く認められたものだ
『旅の夜風』も 歌詞について 相当配慮したと後に語っているのを聞いたことがある
ちょっとでも 男が涙したり弱いところを見せると 女々しい奴が バカめっ と決めつけられるのだ
花も嵐も踏み越えて 行くが男の生きる道 泣いてくれるなほろほろ鳥よ 月の比叡を独り行く
加茂の河原に秋たけて 肌に夜風がしみわたる 男柳がなに泣くものか 風に揺れるは影ばかり
信州のある都市の医師が 易しさと美貌に溢れる看護婦に恋して 一緒にならないかと迫る
しかし 彼女には前夫との子供が居て結婚は出来ないと断るが本心は別である
それでも 周囲の反対も押し切って 京都で開業しようと約束して 出発の日 新橋駅で落ち合うことにした
汽車が出る時間になっても彼女は現れず仕方なく一人で乗車 やがてホームを去る列車
そこへ彼女が息せき切って辿り着くが走り去る汽車を見るだけ 実は娘が急に熱を出して遅れてしまったのだ
遅れて京都へ着いた彼女に 彼の親友が現れ 彼の出世を願って諦めよと説得する
加茂の河原で 憔悴しきって彷徨う彼 ここで主題歌が流れたら 観客はみんな涙を流したに相違ない
歌手を夢見た彼女が 後にコンクールに出場 見事優勝した その時の歌が「悲しき子守唄」
それを聴衆と一緒になって見守る彼の姿があった
こんな簡略ストーリーを笑いに変えて部分的に話すことがある 私も時にはエンターティナー(笑)
なお 検閲の話はうたごえでは話すが 施設では触れない
男柳がなに泣くものか~ 軍部はなんと女々しいと怒るが それは既に想定済み これは柳が泣いているのです・・・
信州・別所温泉にある北向き観音 境内のかつらの樹と愛染明王に作者の着想があった
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