夕暮れの紙屋町電停にサンフレッチェ電車がやってきた。良く見ると5連節車だ。
宇品線を往く1系統は、広島駅と繁華街、市役所と港を結ぶ。輸送密度が高いのだろう。
平和記念公園を訪れるには、本通電停か袋町電停か。今日も祈りを捧げる人が絶えない。
LRTって云うのだろうか、低床でバリアフリーな電車は、渋滞する車を横目に軽快に走る。
中心街から40分、終着の広島港(宇品)は、フェリーターミナルに隣接した近代的な電停だ。
ターミナルを抜けて埠頭に出る。東京に遅れること30分、陽が今まさに沈んでいく。
徐々にシルエットになっていく瀬戸内の島々が美しい。
広島港(宇品)から広島駅にダイレクトアクセスする5系統、比治山通りを皆実線で往く。
この線を潰すと広島電鉄も全線完乗、っとその前に宇品三丁目電停脇の「美和」を訪ねる。
大皿料理が並ぶ長いカウンターが店の奥まで延びる。 すでに常連さんでいっぱいだ。
基本の "ポテトサラダ" を頼む。店の力量が窺えるからね。クリーミーで美味しい一品だ。
今宵は呉の酒でいく。"雨後の月 純米酒" は県産八反錦で醸した旨みのある酒だ。
この "数の子" の塩辛さが酒をすすめる。すぐさま二杯目の "宝剣 純米酒" を求める。
こちらも呉の八反錦で醸した正に地酒、さらりとした旨みの酒だ。
〆は "焼き餃子" をいただく。この店、元々餃子がメインだからね。敬意を表して。
まるで揚げ餃子のような一品は、酒の肴にもピッタリだ。
ちょっとほろ酔って皆実六丁目電停へ。5系統の電車はここから皆実線を北へ走る。
電停を6つ数えて的場町、皆実線はここまで。これで広電の全路線を完乗になる。
電車は本線に合流して、ガタゴトと夕闇の荒神橋を渡って行った。広島駅まではあと少しだ。
広島電鉄・宇品線 紙屋町東~広島港(宇品) 5.9km
広島電鉄・皆実線 皆実六丁目~的場町 2.5km 完乗
きみの朝 / 岸田智史 1979