考古学者のこの発見により、長江中流域における初期の水田の出現時期が2000年近く早くなった。これまで同じ澧県にある城頭山遺跡で、今から6500年前の水田が発見された。

2025-02-01 14:49:29 | 中国を知ろう!
 

8000年以上前に稲作が行われた

湖南省の遺跡を発見

人民網日本語版 2025年01月24日14:25
 

湖南省文物考古研究院はこのほど、「湖南省常徳市澧県にある李家崗遺跡で、彭頭山文化時代の古代水田遺跡2ヶ所を発見した。これは早くも8000年以上前に、現地の先住民が稲作を始めていたことを物語っている」と発表した。新華社が伝えた。

考古学者のこの発見により、長江中流域における初期の水田の出現時期が2000年近く早くなった。これまで同じ澧県にある城頭山遺跡で、今から6500年前の水田が発見された。

李家崗遺跡北部古代水田の用水路及び農地。新華社配信

李家崗遺跡北部古代水田の用水路及び農地。新華社配信

湖南省文物考古研究院の李意願研究員は、「李家崗遺跡で発見された2ヶ所の古代水田は遺跡の南北の濠周辺に位置する。南部古代水田の堆積地層は、上から下へ灰褐色から黄褐色を示しており、あぜと田んぼなどの地層関係と結びつけると、ここには早期から晩期の三期水田があったと推定される」と説明した。

考古学専門家が李家崗遺跡の水田地層から取得した多数の稲プラントオパールは、古代水田の存在の確固たる証拠となった。李氏は「稲プラントオパール濃度の測定分析結果によると、大半の土壌サンプルの含有量は1グラム当たり5000粒以上、さらには一部は1万粒以上に達し、いずれも古代水田の判定基準を満たしている」と述べた。

李家崗遺跡から出土した炭化米。新華社配信

李家崗遺跡から出土した炭化米。新華社配信

8000年以上前の先住民は、どのような稲作技術を持っていたのか?

李氏は取材に、「北部の古代水田で灌漑用水路と推定される、水田とつながった狭く浅い灰溝(遺物のたまった溝)が発見された。また水田北部と早期濠の間に明確な共生関係が発見されたことから、この濠は水を引く機能を果たしていたと推定できる」と述べた。

李氏は、「この濠は少なくとも前後3回の浚渫と開削が繰り返された。ここが水資源利用の重要な地域であっただけでなく、これらの用水路の開削が古代水田と密接に関連していたことも示している。はっきりした田んぼや用水路などの構造からは、先住民が成熟した稲作管理を行っていたことが分かる」と述べた。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年1月24日

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複数の調査で表れている最近の世論の地形は、国民の力の支持率の上昇、弾劾反対論と政権延長論の拡大だ。大統領が軍を動員して親衛クーデターを試みたという事実に照らしてみれば、到底納得しがたい流れだ。

2025-02-01 14:36:41 | 韓国を知ろう

【ニュース分析】

トランプは勝ったが尹錫悦は負けるだろう

登録:2025-01-31 23:48 修正:2025-02-01 09:11
 
「不正選挙論」というポスト真実は韓国でも通用するのか
 
 
尹錫悦大統領の弾劾審判第4回弁論が行われた23日午後、ソウル鍾路区の憲法裁判所付近で、尹大統領を支持する保守団体の集会が行われている=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 驚くべきファクトだった。目を引くには十分だった。文化放送(MBC)がコリアリサーチに委託して先月29~30日に実施された世論調査での質問の一つだ。「不正選挙があったと思う」という回答が29%を占めたのだ。与党「国民の力」の支持層では実に65%に達した。まさか。

 私たちは、事実や真実がありのままに受け入れられない新たな時代を生きている。特に党派性に関する事案であればあるほど、互いに異なる事実が衝突する。2022年の米国の世論調査には「現職のジョー・バイデン大統領が勝利した2020年の大統領選挙は操作され、盗まれた」という主張に同意するか、との問いがあった。実に40%が同意した。2022年の別の世論調査には、1年前にあった議会暴動についての問いがあった。民主党支持者の85%は「政府を転覆するためのデモ」だったと評した一方、共和党支持者の56%は「自由を守るための行為」だったと答えた。異なるトーテムを信じる部族も同然だ。

 不正選挙論は全世界において普遍的な極右ポピュリズムの言説だと言える。不正選挙論は敗北した選挙に対する承服の拒否にとどまらず、選挙を歪曲し、選挙外的手段を積極的に用いることで、選挙を通じて作動する代議制民主主義を傷つけ、否定する反体制的言説だ。既成の秩序を拒否して廃止することを目指す極右としては、魅力を感じざるを得ないものだ。今や彼らの汎用兵器となっている。

 複数の調査で表れている最近の世論の地形は、国民の力の支持率の上昇、弾劾反対論と政権延長論の拡大だ。大統領が軍を動員して親衛クーデターを試みたという事実に照らしてみれば、到底納得しがたい流れだ。保守系の回答者の割合が増えたせいでもあるだろうが、大きく見れば政治的両極化の効果だ。理念や政策に同意できないからではなく、単に相手を嫌う感情的両極化、ある人のことが好きだからそのライバルを嫌うという肯定的愛着ではなく、相手に反感を抱いているから、その相手と対立する味方を無条件に擁護するという否定的党派主義の作り出した、作られた現実だということだ。

 しかし、このような両極化、党派主義は、春に花が咲くように自然に発現したわけではない。意図的で執ような扇動の結果だ。扇動の主体は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と政府内の尹一派、国民の力、極右ユーチューバー、プロテスタント右派などの極右カルテルだ。扇動の内容は「ポスト真実キャンペーン」だ。ポスト真実(post-truth)とは、客観的な事実よりも信念と感情に訴えた方が、世論形成に大きな影響を及ぼす現象をいう。「ポスト真実にマニュアルのようなものが存在するとしたら、おそらくこう記されているのではなかろうか。『真実を語る者を攻撃せよ。どのような話題であれ、うそで言い繕え。逆の情報を作り出せ。不信と両極化を助長せよ。混乱と冷笑を誘発せよ。そして独裁者の言葉こそ真実だと主張せよ』」(リー・マッキンタイア『誰が真実を転覆しようとしているのか』、原書は『On Disinformation: How to Fight for Truth and Protect Democracy』、日本語版未刊)

 ポスト真実キャンペーンの最も代表的な成功例はトランプだ。2016年の大統領選挙で勝利したのも、4年で華やかに再起したのも、すべてポスト真実キャンペーンを通じて世論を引き付けるのに成功したからだ。だが、成功した米国のプレイブックに従ったからといって、無条件に成功が保障されるわけではない。一見似ているようでも、韓国は米国とはかなり異なる。

 トランプの2度の大統領選での勝利は、いずれも挑戦者の時のものだ。挑戦者としての、8年間のオバマ政権、4年間のバイデン政権に対する審判の枠組みにおける勝利だ。一方、2020年に大統領として戦った選挙では敗北している。ポスト真実キャンペーンは、誰かの過ちを指摘したり、過酷な現実から生じる怒りと敵意を動員したりするには、非常に効果的だ。しかし、政権担当者として臨む対決においては異なる。批判の主体ではなく対象となるため、感情的な訴えの効果は限定的にならざるを得ない。

 より決定的な違いは、社会経済的弱者の態度にある。米国のトランプは、グローバル化とそれにともなう製造業の空洞化によって生活の質が悪化した労働者の剥奪感と怒りにフォーカスしたことで、彼らを巨大な支持層として動員することができた。低学歴の貧しい白人労働者たち、長きにわたって民主党の主力支持層だった彼らの強い支持は、トランプ連合の最も強力な主軸だ。彼らが民主党に背を向けたのは、同党の無能と無関心がその理由だった。

 アンガス・ディートンとアン・ケースが指摘するとおり、1999~2017年に白人中年は自殺率が上昇し、健康が悪化し、期待寿命が縮んだ。仕事を失い、実質賃金も下がった。45~54歳の大卒以上の学歴を持つ人の死亡率は40%も下落したのに対し、高卒以下の白人の死亡率は25%上昇した。絶望、剥奪感、疎外感などに押しつぶされたことによる自殺、薬物の過剰摂取、アルコール性肝疾患による「絶望死」が増加したからだ(『絶望死のアメリカ 資本主義がめざすべきもの』)。このように民主党は、白人労働者の暮らしの改善に対して無能であったし、ある意味では関心すら傾けなかった。

 人種民族主義も強く作用した。白人の地位が揺らいでいるという危機感、移民の大量流入と雇用の喪失によって、かつて内戦まで引き起こした人種政治が再び活性化したのだ。「トランプの人種民族主義は常に階級的視点を内包していた。トランプは、グローバル化に乗ったエリートたちによって周辺へと追いやられた米国の内陸地方に住む庶民(白人)男性を自分は代弁していると考えた。彼のみるところ、これらのエリートが自由貿易を追求した結果、米国は製造業の雇用をすっかり奪われ、わずかに残されたブルーカラーの労働者たちは賃金を削減されなければならなかったということだ」(ゲイリー・ガーストル『新自由主義の終焉』)

 トランプの成功を生んだ労働者たちの社会経済的な不満と怒りは、韓国では尹錫悦政権へと向かっている。発足以降、緊縮財政、研究・開発予算の削減などで「民乱」直前にまで至り、彼らはあきれたことに民生ではなく戒厳を選択した。引き継ぎ委時代の大統領室の移転から戒厳に至るまで、彼らは終始一貫して民意に抗った。そのうえ国民の力は金持ちの政党、強者の代表だという、強く鮮明な認識がある。食べていくこともままならない社会経済的弱者が尹大統領と国民の力を支持する理由はない。

 戒厳賛成や弾劾反対の世論は、60代以上の高齢層で最も強い。1月21~23日に実施された韓国ギャラップの世論調査における国民の力の支持率は、38%だった。世代別に見ると、60代で55%、70代以上で61%だった。残りの世代では27~31%にとどまった。60代と70代以上の年齢層では弾劾賛成より反対の方が、政権交代より延長世論の方が強かった。世論調査で確認できる国民の力の主力基盤は、世代では60代以上の高齢層、地域では嶺南(ヨンナム:慶尚道)、政治傾向では保守だ。彼らをこのように動かしているのは「地位脅威(status threat)」だ。追いやられ、衰えることに対する恐怖だ。彼らがポスト真実キャンペーンに呼応する理由でもある。

 このところオーバーサンプリングが物議を醸していることを考慮すると、自らを保守または進歩だとする回答層を除いて中道だけを見るのも、よい読解法だ。中道層における政党支持率は44%対24%で、民主党の方がはるかに高い。次の大統領選挙についても、27%対60%で政権交代論の方がはるかに強く支持されている。弾劾についても、賛成が71%で反対の21%を圧倒している。保守が結集するかどうかはおくとして、ポスト真実キャンペーンが世論を逆流させたり、情勢を根本的に再編したりしているとは考えられない。反対側にいる人々を敵と感じさせる感情的な訴えと偽りの語りを無限に繰り返すキャンペーンに、国民の力の伝統的支持層が呼応し、動員されている局面にある。そう考えるのが適切だ。

 よって立つ社会経済的な支持基盤の狭さ、米国のような人種や移民をめぐる争点の不在、民生失敗の責任が自分たちにあることを考慮すれば、ポスト真実極右キャンペーンの成功は容易ではない。直ちに極右によって大統領選挙で勝利すると主張するとしたら、それもまた妄想だ。もちろん、それでも変数はある。それは何だろうか。

 
//ハンギョレ新聞社

イ・チョルヒ|放送での政治評論を経て政界入り。第20代国会議員、文在寅(ムン・ジェイン)政権における最後の政務首席を務める。2020年「大統領弾劾の決定要因の分析:盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾過程の比較」で政治学の博士号を取得。著書に『第一人者を作った参謀たち』、『政治は私の人生を変えられるのか』など、訳書に『進歩はどのように多数派となるのか』などがある。韓国政治はどうしてこのように悪化したのか、何が問題なのか、どうすれば良くなるのか、などについて率直に語りたい。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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軍艦島と呼ばれる端島をはじめ、多くの場所が日帝強占期に朝鮮人が強制動員されて働かされた場所であるため、登録の過程で韓国などの周辺国の反発を受けた。

2025-02-01 12:16:41 | 韓国文化
 

韓国の要請無視し「強制動員」

またも隠した日本の軍艦島後続措置報告書

登録:2025-02-01 08:56 修正:2025-02-01 09:24
 
 
                                     日帝強占期の朝鮮人強制労役の現場、軍艦島/聯合ニュース

 日本が朝鮮人強制労役の現場である端島(軍艦島)炭鉱を含む「明治日本の産業革命遺産」を2015年に世界文化遺産に登録した際におこなった約束の履行について、依然として誠意を示していないことが、またも確認された。

 ユネスコ世界遺産委員会(以下、委員会)は31日(現地時間)、日本が提出した明治日本の産業革命遺産に関する後続措置報告書をウェブサイトに公開した。それによると、日本は強制動員された朝鮮人の証言などを展示してほしいなどの韓国の要求事項を無視し、むしろ韓日強制併合は合法だと主張する展示をおこなっていた。

 明治日本の産業革命遺産は日本国内の8つの県に散らばる明治時代の鉄鋼、造船、炭鉱産業の現場で、2015年にユネスコ世界遺産に登録された。軍艦島と呼ばれる端島をはじめ、多くの場所が日帝強占期に朝鮮人が強制動員されて働かされた場所であるため、登録の過程で韓国などの周辺国の反発を受けた。日本はこれを考慮し、犠牲者を追悼する情報センターを設置することを約束した。しかし産業遺産情報センターは遺産の現場ではなく東京に建てられたうえ、展示で朝鮮人に対する差別や人権侵害があったことを示していないため、歴史を歪曲しており、約束も守っていないという批判を浴びてきた。

 韓国をはじめとする加盟国は、一貫して日本の約束不履行を批判しつつ、後続措置を要求してきた。昨年9月にサウジアラビアのリヤドで開かれた第45回世界遺産委員会で韓国政府は、韓国人強制動員被害者の証言の展示▽「多数の韓国人らが本人の意思に反して動員され、過酷な条件の下で強制的に労役」させられた全体の歴史の説明▽日本が昨年9月に一方的に東京のセンターに設置した韓日強制併合が合法であることを主張する展示の即時撤去▽韓国人強制動員被害者の証言の展示および真の追悼▽ナチスによる強制動員の事実を加減なく明らかにしたドイツのツォルフェアアイン炭鉱の展示のような国際的な模範事例を参考にすること、などを反映するよう日本に要請した。委員会はこの時、遺産登録の後続措置について関連国と対話したうえで、約束の履行が重要だとする決定を採択したほか、日本に追加措置の進展について報告するよう要請した。今回の報告書はそれを受けてのものだったにもかかわらず、韓国の要求事項がまったく反映されていないことが確認されたのだ。

 逆に日本は、2020年6月に東京都の新宿にオープンした「産業遺産情報センター」に、「『韓国併合再検討国際会議』において、国際法の権威である欧米の法学者から、日韓併合条約は当時の国際法慣行に照らして『無効』だったとは言えないという見解が示された」という韓日併合の合法性を主張する展示を設置し、運営してきたことが明らかになった。「朝鮮人強制動員被害者の証言」についても、公開展示せずに、韓国語の資料集の本棚に参考資料としてしまっていたことが明らかになった。

 さらに日本は、遺産の卓越した普遍的価値(OUV)に関する共通解釈の説明▽解説者の力量を高めるための訓練▽東京のセンターの開館日の拡大などを「後続措置」として打ち出している。そして、第2次大戦時と戦後の苛酷な労働環境を示す一次史料の収集のための地域の博物館や政府機関などとの協業▽日本政府の徴用政策に関する一次史料の展示▽韓国人ら鉱山労働者の給料や福祉の比較研究の支援、などの間接的措置を取るにとどまっている。日本は「意味のある対話」をしようという韓国側の要請に対しては、報告書で「第45回世界遺産委以降、韓国政府と対話を続けてきており、韓国政府と当該報告書の解釈政策の説明を含む対話を続けていく意志がある」という趣旨の回答をおこなっている。

 韓国外交部は報道官の論評で、「世界遺産委員会の度重なる決定と日本が自ら約束した後続措置が、忠実に履行されていないことに対し、改めて遺憾を表明する」として、「政府は、日本が国際社会に自らおこなった約束に沿って、関連する後続措置を速やかに誠実に履行するよう再度求める」と述べた。外交部の当局者は「日本には誠実に(韓国との)対話に臨むことを求めるつもりであり、政府レベルで今後、韓日両国だけでなくユネスコの枠組みの中でも日本の約束不履行について問題を提起していく」と述べた。

 しかし、佐渡鉱山に続いて軍艦島でも日本の「強制動員」隠ぺいが行われたことで、日本に歴史を反省する誠意がないことが再確認されたと評する声があがっている。とりわけ、軍艦島の展示施設について日本の後続措置がない中で、昨年、韓国政府が日本政府による佐渡鉱山の世界文化遺産登録に同意したことは、自らテコを放棄する行為だったと指摘されている。韓国の外交当局には、日本の決定に同意したうえで善意を望むのではなく、今後は日本の近代遺産がユネスコに登録される際、反対の立場を明確にする、すでに登録されている世界遺産の廃止を主張する、などのより強い対応が必要だという声もあがっている。外交部の当局者は「登録取り消し提案」も考慮するのかという取材陣の質問に対し、「強力に対応しうる様々な措置をすべて検討しなければならないだろうが、今の状況で具体的に何をすると述べるのは難しい」と答えるにとどまった。世界遺産委員会の規定上、登録の取り消しは、遺産そのものが傷つけられるか、保全がきちんと行われていない場合にのみ可能となっている。

 外交部の当局者は「日本が今後も合意事項を誠実に履行しないなら、韓国人強制動員の歴史をもつ遺産のさらなる登録は難しいということをわかるべきだ」と述べた。日本はまた、やはり朝鮮人強制労役の現場である足尾鉱山と黒部ダムについても、世界遺産への登録を推進していることが知られている。

シン・ヒョンチョル記者、パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「非核化」問題をめぐり全く異なる認識を示した朝米が、まず「核能力の凍結」と制裁緩和および関係正常化の推進などをまとめて「段階的包括交渉」を試みるまでは、少なからぬ時間を要するというのが大方の見解だ。

2025-01-31 13:39:20 | アメリカの対応
 

朝米首脳の熾烈な駆け引き…対話の接点見出せるか

登録:2025-01-31 06:40 修正:2025-01-31 07:23
 
 
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記兼国務委員長が「核物質生産基地と核兵器研究所」を視察し、「今年の兵器級核物質生産計画を超過遂行し、国の核の盾を強化することで画期的な成果を成し遂げなければならない」と指示したと、労働新聞が29日付で報じた/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長とドナルド・トランプ米大統領が熾烈な駆け引きを繰り広げている。トランプ大統領がメディアとのインタビューで「金正恩(国務委員長)に連絡する」と述べ、対話のシグナルを送ったが、金正恩委員長は「核の盾の強化」を掲げ、それを無視した。「絶対に核を放棄しない」という態度を維持し、「非核化交渉はない」という従来の路線を再確認したのだ。二人はまだ対話に乗り出す接点を見出せずにいる。

 北朝鮮官営「労働新聞」の29日付の報道によると、金委員長は「核物質生産基地と核兵器研究所」を視察し、「今年の兵器級核物質生産計画を超過遂行し、国の核の盾を強化することで画期的な成果を成し遂げなければならない」と指示したという。同紙は金委員長の訪問した日付と施設の具体的な位置については明らかにしなかった。

 北朝鮮が金委員長による核物質生産基地・核兵器研究所の視察を報道したのは、昨年9月13日の「労働新聞」の初報道以来だ。特に今回の報道は、トランプ大統領が23日(現地時間)のFOXニュースのインタビューで、金委員長は「宗教的狂信者ではなく『賢い男』(smart guy)」だとし「彼に連絡する」と述べた後に出てきた。そのうえ、トランプ大統領は就任当日(20日)にも、「金正恩は核を持っているが(nuclear power)、我々はうまく行っていた。彼は私の復帰を歓迎すると思う」とし、「会って話したい」という意向をほのめかしている。

 金委員長が訪問した両施設は、北朝鮮の核能力の頭脳や心臓に匹敵するだけに、今回の報道が発信する政治的シグナルであることは明らかだ。金委員長が北朝鮮の安全保障について「最も奸悪な敵対国との長期的対決が避けられない状況」だとしながらも、「核の盾の不断の強化」を強調した部分で、簡単に交渉テーブルに座るつもりはないという意向が読み取れる。金委員長は「力による平和、力による安全保障」を強調し、「核対応態勢を無限に進化させることは確固たる政治・軍事的立場」だと明らかにした。金委員長はトランプ大統領の再選が確定した直後の昨年末、労働党中央委員会第8期第11回全員会議(2024年12月23~27日)でも、米国を「反共を国是としている最も反動的な国家的実体」だとし、「最強硬対米対応戦略」を掲げた。

 ただし、「これまで歩んできた道を突き進む」という金委員長の態度が「頑なな拒否」とは限らない。核物質の生産基地を視察した事実を公開することで、「今この時間にも北朝鮮の核能力は強化されている」という無言の示威を行い、「追い込まれて焦っているのは、私ではなくトランプの方」であることを知らしめようとしているともいえる。

 こうした中、米国家安全保障会議(NSC)のブライアン・ヒューズ報道官は28日、「聯合ニュース」のインタビューで、「トランプ大統領は政権1期目と同様、北朝鮮の完全な非核化を目指す」と明らかにした。トランプ大統領が北朝鮮を「核保有国」(nuclear power)とし、「現実」に焦点を合わせたとすれば、NSC報道官は「原則」を強調し、一種の「役割分担」をしているとみられる。

 「非核化」問題をめぐり全く異なる認識を示した朝米が、まず「核能力の凍結」と制裁緩和および関係正常化の推進などをまとめて「段階的包括交渉」を試みるまでは、少なからぬ時間を要するというのが大方の見解だ。ご飯を食べるためには、苗を植えて夏の間に育てて収穫をし、米を洗って釜で炊くという長い忍苦の時間が欠かせない世の理と変わらない。元政府高官は30日、「核問題をめぐる朝米の交渉の試みを韓国は積極的に支持・鼓舞し、その中で韓国の役割を拡大しようとする戦略的アプローチを考えなければならない」と語った。

イ・ジェフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「20~30代の男性は政策、認識、社会的に孤立しているが、そうなったことには(国会議員)全員に責任があります」

2025-01-30 08:59:16 | 韓国を知ろう
 

怒れる韓国の20~30代男性に必要なもの【記者手帳】

登録:2025-01-27 10:50 修正:2025-01-30 08:05
 
キム・チェウン|政治チーム記者
 
 
ソウル市長補欠選挙が行われた2021年4月7日、ソウル銅雀区の投票所に市民が並んでいる。放送3社の出口調査の結果、当時20代以下の男性の72.5%が「国民の力」のオ・セフン候補を支持した。これは60代以上の男性(70.2%)より高い数値だった/聯合ニュース

 「20~30代の男性は政策、認識、社会的に孤立しているが、そうなったことには(国会議員)全員に責任があります」

 6日、ソウル市漢南洞(ハンナムドン)の大統領官邸前の弾劾反対集会に参加していた33才の男性は、こう言って大統領の非常戒厳宣布を擁護した。本来の役割を果たせていない国会に向けた「警告性の戒厳」は理解できると語った。彼のような30代男性たちは漢南洞の官邸前の弾劾反対集会の現場を率いた。それから2週間後、ソウル西部地裁を破壊し警察に暴力を振るった「1・19暴動」で逮捕された人の半分以上が20~30代男性であることが明らかになった。

 記者は4年前の大学生時代、「20代男性現象」を研究したことがある。ソウル市長補欠選挙を経て「20代現象」が急浮上した時だった。当時の出口調査で、20代以下の男性の73%が保守側のオ・セフン候補(「国民の力」所属)を支持したという事実(60代以上の男性の70%より高い数値)にショックを受けた。彼らは2カ月後、国民の力のイ・ジュンソク最高委員を憲政史上初の「30代・議員経験なしの党代表」に当選させる気炎を吐いた。

 何か尋常でない動きだという点は明らかだった。だが、メディアや政界のいう「イデナム(20代男性)」ではなく、同時代を生きる平凡な同年代の男性たちの話を聞いてみたかった。1989~2002年生まれの男性240人をアンケート調査し、そのうち10人を深層インタビューした。結論は二つだった。彼らが階級・地域など伝統的な政治変数を超越した新しい政治集団になったということと、生涯の過程(学校・軍隊・恋愛)で累積した「剥奪感」を「怒り」で表しているということだった。「反フェミニズム」に代表されるこの怒りは、ジェンダー問題を越えた全方位的なものだった。そして4年後、彼らの一部は投票所ではなく「アスファルト(街頭)」に姿を現した。

 同年代の男性たちに向き合いながら切実に感じたのは、若い男性たちには「言語」がないという点だ。正確には、個人の苦痛を共同の問題として、そして構造的な解決策を要求する「連帯の言語」がない。代わりに「誰が刀で脅してるって?(=脅されていないのだから自分の選択だ、という意味の一種の流行語)」や「市場主義」の言語だけが溢れる。「イデナム」でひとまとめにできないそれぞれが生きる上でのつらさを抱えているはずなのに、これを全て個人のせいにして自嘲する。同年代の女性たちが、個人の性差別の経験をフェミニズムを通じて「私たちの問題」として言語化し、街頭に出て制度の変化を作りだしている間、男性たちは例えば軍の強制徴集制度や軍の人権問題に関してなんの言説も生みだすことができなかった。20~30代男性全体として決して一般化できない一部の「極右的な行動隊長」らの集会と暴動も、個別の怒りを表出しただけで、互いの痛みを分かち合う連帯の性格ではなかった。

 4年前の報告書はこのように結んでいる。「生存競争と未来の展望が暗い時代の状況に加え、生計扶養者、強い男性という伝統的な家父長モデルを要求される二重の圧迫の中で、若い男性たちがこれを効果的に表現する『言語』を見つけられず『怒り』だけを噴出させているという分析に耳を傾ける必要がある。彼らの省察と変化を引き出すことが、今後の韓国政治の緊急課題になるだろう」 。若い男性たちが「イデナム」などの呼び名でひとまとめにされず、自分の生きづらさを主体的に言語化できることを、連帯を通じて人生の峠を乗り越えられることを、心から願う。

キム・チェウン|政治チーム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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