ハン権限代行はこの日午後9時3分から31分まで、トランプ大統領と電話会談を行い、韓米同盟強化▽貿易均衡など経済協力▽北朝鮮核問題などの両国の懸案を議論したと、首相室が明らかにした。

2025-04-09 14:19:54 | 韓国を知ろう
 

トランプ大統領、

「防衛費引き上げ」の砲門開く…就任後初めて韓国と電話会談

登録:2025-04-09 07:15 修正:2025-04-09 08:17
 
ハン・ドクス権限代行、トランプ大統領と28分間電話会談
 
 
ハン・ドクス大統領権限代行首相が8日、政府ソウル庁舎の執務室で米国のドナルド・トランプ大統領と電話会談を行っている=首相室提供//ハンギョレ新聞社

 米国が57カ国に適用を公言した高率の相互関税の発効(現地時間9日0時1分、韓国時間午後1時1分)の16時間ほど前となる8日夜、ハン・ドクス大統領権限代行首相が、米国のドナルド・トランプ大統領と電話会談を行った。相互関税の課税対象になった国々が発効直前まで激しい水面下での外交折衝戦を行っているなか、韓米首脳間の直接のコミュニケーションが行われたのは、1月のトランプ大統領の就任後では初めて。

 ハン権限代行はこの日午後9時3分から31分まで、トランプ大統領と電話会談を行い、韓米同盟強化▽貿易均衡など経済協力▽北朝鮮核問題などの両国の懸案を議論したと、首相室が明らかにした。

 首相室によると、28分間行われた今回の電話会談でハン権限代行は、造船、液化天然ガス(LNG)、貿易均衡の3大分野で、米国側と一段階高い協力の意向を強調したという。また、両国は相互にウィンウィンとなる方法を見つけるために、貿易均衡を含む経済協力分野について、閣僚級で建設的な協議を継続していくことにした。ただし、首相室は、最大の懸案である米国の25%の相互関税賦課に関して、どの程度の議論がなされたのかについては特に言及しなかった。

 トランプ大統領は、ハン権限代行との電話会談直後、自身のトゥルース・ソーシャルのアカウントに「韓国の(ハン・ドクス)大統領権限代行と素晴らしい電話会談を行った」とし、「巨大で持続不可能な韓国の(対米貿易)黒字、関税、造船、米国産LNGの大量購入、アラスカのガスパイプラインの合弁事業、そしてわれわれが韓国に提供した大規模な軍事的保護に対する支払いについて話し合った」と書き込んだ。

 トランプ大統領はこれと関連して、「彼ら(韓国)は私の初めての任期のとき、数十億ドルの軍事費用の支払いを始めたが、“スリーピング・ジョー・バイデン(前大統領)”がどういうわけかこの合意を終了させた」として、「それは誰にとっても衝撃だった」と主張した。その一方で、「とにかく今、われわれは両国ともに大いに役立てる素晴らしい合意の枠組みと可能性を持っている。韓国の最上級の交渉チームが米国に向かう飛行機に搭乗し、状況は非常に肯定的」だと述べた。さらに、「われわれは韓国だけでなく、他の多くの国々とも取引を進めており、どの国も米国と交渉することを望んでいる」として、「貿易と関税以外の他の懸案もあわせて協議している。これが、まさに『ワン・ストップ・ショッピング』という美しく効率的な方式」だと述べた。韓国に課した25%の相互関税問題を交渉する過程で、韓国の防衛費分担金(在韓米軍の駐留費用に占める韓国の負担額)の増額の再協議や、アラスカのLNG開発投資などをまとめて要求する協議に入る意向を表明したものと分析される。

 ハン権限代行はこの日、トランプ大統領との電話会談前に行った米国のCNNとのインタビューで、「米国と交渉したい」という意向を強く表明した。ハン権限代行は、米国の関税措置に「遺憾の意」を示しながらも、「韓国全域の工場ラインが閉鎖される前に両国が合意に到達できると信じている」と述べた。ハン権限代行は、「韓国が中国や日本などと連帯し米国の関税に対抗する可能性」を問う記者の質問に「われわれはそのような道を進まないだろう」と断言した。特に、先月31日にソウルで開かれた韓中日3カ国の経済通商閣僚会議についても、「特別な会談ではなく、定期的な会談」だったとして、「米国の政策の波紋を話し合うことはありうるが、正面から対抗する連合ではない」と強調した。トランプ大統領が、米国の相互関税に合わせて同水準(34%)の関税を課すことにした中国に向けて、50%の追加関税で脅している状況を考慮し、3カ国の経済通商閣僚会議に大きな意味を付与しないということだ。

 韓米が首脳レベルで会談したのは5カ月ぶりのことだ。トランプ大統領は昨年11月7日(現地時間)の当選直後、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領(当時)と12分間の電話会談を行い、韓米日の協力や韓米同盟、北朝鮮のウクライナ戦争派兵、両国間の造船分野での協力などについて議論した。当時、両首脳は早い時期に会合をすることを述べていたが、12・3内乱事態が招いた権力空白が長期化し、4カ月以上にわたり首脳間でのコミュニケーションを取ることができなかった。チェ・サンモク大統領権限代行副首相兼企画財政部長官の体制のときも首脳間での電話会談を推進したが、直接の対話は行われず、尹前大統領への弾劾宣告が出た後になって初めて電話会談を行ったということだ。

 12・3内乱事態で韓国の対米外交の空白状態が続いた間、相互関税賦課の対象になった他の国々は、すでに激しい水面下での外交折衝戦を繰り広げている状況にある。日本、ベトナム、台湾などは、自国の関税引き下げ、米国製品の輸入拡大など、多様な譲歩案を提示し、交渉テーブルに乗り出している。ベトナムは米国製輸入品に対して関税を0%に下げる案を提案し、日本の石破茂首相は前日夜、トランプ大統領と急遽電話会談を行い、交渉に総力を挙げている。欧州連合(EU)は、公式には交渉を望んでいることを明らかにしながらも、米国製品に対する報復対象の品目リストを最終調整中だと伝えられている。

チャン・ナレ記者、チョン・ユギョン記者、ワシントン/キム・ウォンチョル特派員

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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トランプ大統領は、4日に米国商品への34%の報復関税賦課を発表した中国に対し、6日(現地時間)に「中国の莫大な(対米)貿易黒字が続く限り、交渉はない」と断言し、市場の恐怖を煽った。

2025-04-09 07:50:02 | 韓国を知ろう
 

韓国-5%、中国-7%、日本-8%…

トランプ大統領の関税爆弾に「焦土化」

登録:2025-04-08 06:34 修正:2025-04-08 07:13
 
アジア証券市場の「ブラックマンデー」
 
 
                                               ゲッティイメージズバンクより//ハンギョレ新聞社

 米国のドナルド・トランプ大統領が67カ国に相互関税を課すと発表した9日が2日後に迫っている。世界経済への打撃を懸念する声が高まり、月曜日の7日の韓中日証券市場で株価が一斉に暴落した。トランプ大統領は、4日に米国商品への34%の報復関税賦課を発表した中国に対し、6日(現地時間)に「中国の莫大な(対米)貿易黒字が続く限り、交渉はない」と断言し、市場の恐怖を煽った。

 同日、ソウル株式市場で総合株価指数(KOSPI)は、先週末に比べ4.31%(106.17)下がった2359.25の始値から下落幅を拡大し、5.57%(137.22)下がった2328.20の終値を記録した。この日の終値は2023年11月1日(2301.56)以来の最安値であり、下落幅も昨年8月5日に米国の突然の景気後退の懸念で8.77%急落して以来最も大きい。有価証券市場で売り注文を5分間中断させる「サイドカー」も8カ月ぶりに発動された。

 
 
KOSPIが前場より137.22p(5.57%)下がった2328.20の終値を記録した7日午後、ソウル中区ハナ銀行で、ディーラーたちが業務を行っている。同日のウォン相場は前日より33.7ウォン安の1ドル当たり1467.8ウォンを記録した/聯合ニュース

 KOSPIはニューヨーク証券市場が急落した後に開かれた4日には0.86%の下落に止まったが、ニューヨーク証券市場のさらなる暴落に続き、この日も米国先物市場でナスダック100指数の先物が4~5%下がったことを受け、崩れるように下落した。SKハイニックスが9.55%、サムスン電子が5.17%、現代自動車が6.62%下落するなど、時価総額上位200銘柄のうち、韓国電力(2.05%上昇)を除いた全銘柄が下落を免れなかった。コスダック指数も5.25%(36.09)下がった651.30の終値を記録した。

 外国人投資家らは同日、有価証券市場で約2兆992億ウォン(約2108億6千万円)、コスダック市場では約1870億ウォンを売り越した。両市場で今月3日から同日までの3日間(取引日基準)にわたり、外国人投資家による累積売り越し規模は5兆6千億ウォンに達する。

 日経平均株価はこの日7.83%下落し、3万1136で取引を終えた。日経平均株価は3日に2.77%、4日に2.75%下落したのに続き、この日下落幅を広げた。午前一時は9%近く下落した。米国の景気後退への懸念でドル安と円高が進み、これまで円安の恩恵を受けていた輸出企業各社の業績悪化への懸念が、下落幅を拡大させた。

 
 
               先月31日、東京証券取引所の電光掲示板の前を市民が通り過ぎている/EPA・聯合ニュース

 3日の子どもの日の休場に続き、4日の清明節の休日で株式取引がなかった台湾証券市場と、4日の清明節の休場後の中国・香港証券市場の株価下落幅はさらに大きかった。台湾の加権指数は9.7%も暴落し、中国の上海総合指数は7.34%、中小型技術株中心の深セン総合指数は10.79%急落した。香港のハンセン指数の下落幅は13.22%に上る。

 韓中日3カ国は対米貿易収支黒字が多い。トランプ大統領は2日、中国に34%、韓国に25%、日本に24%の相互関税を課すと発表した。トランプ大統領は6日(現地時間)、大統領専用機エアフォースワンの機内で記者団に対し、「中国との貿易赤字は1兆ドルを超える。この問題を解決しない限り、中国との交渉はない」と述べた。そして、欧州とアジアの多くの国の首脳とも対話し、これらの国々とも交渉を望んでいるが、赤字が続く限り、米国はこれを受け入れられないと述べた。

 激化する貿易戦争の影響を反映し、米投資銀行のゴールドマンサックスは同日、米経済が今後1年内に低迷に陥る確率を35%から45%に引き上げた。同行は先月31日、確率をすでに20%から35%に上方修正している。

 外国為替市場でも大幅な動揺がみられた。ソウル外国為替市場で、ウォン相場は1ドル当たり27.9ウォン安の1462.0ウォンで取引を始め、33.7ウォン安の1467.8ウォンの日中(午後3時30分締め切り)取引を終えた。終値の水準は12・3内乱事態による市場不安の時よりは高かったが、一日の下落幅は新型コロナウイルス感染症が広がった初期の2020年3月19日(40.0ウォン)以来、約5年ぶりに最も大きかった。為替相場は4日、憲法裁判所の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領罷免にともなう政治不安解消への期待で32.9ウォン高になった。

チョン・ナムグ記者、ワシントン/キム・ウォンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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憲法裁は「非常戒厳は危機状況が発生する恐れがあるという理由のみで事前に、予防的に宣布することはできず、公共の福利の増進のような積極的目的のために宣布することもできない」と指摘している。

2025-04-08 13:29:04 | 韓国を知ろう
 

緊急措置違憲、

新軍部断罪…尹前大統領の罷免を導いた諸判例

登録:2025-04-08 01:37 修正:2025-04-08 07:24
 
 
尹錫悦大統領の弾劾審判の決定言い渡しを翌日に控えた3日の、ソウル鍾路区の憲法裁判所の大審判廷=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 4日に罷免された尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領は最終陳述で、「1993年の金泳三(キム・ヨンサム)元大統領による緊急財政経済命令も憲法裁判所は合憲と決定した」として、当時の憲法裁の決定によれば自身の12・3非常戒厳宣布も違法ではないと抗弁した。しかし尹前大統領の弾劾決定文では、この判例は逆に尹前大統領の罷免を決定する根拠として用いられた。

 7日に尹前大統領の弾劾決定文の17ページを確認したところ、憲法裁は「非常戒厳は危機状況が発生する恐れがあるという理由のみで事前に、予防的に宣布することはできず、公共の福利の増進のような積極的目的のために宣布することもできない」と指摘している。国家緊急権は厳格な要件の下で行使されなければならない、との趣旨だ。この一文は、金元大統領による緊急財政経済命令を合憲とした憲法裁の1996年の決定文から引用したものだ。憲法裁は当時、緊急財政経済命令は合憲だとしながらも、大統領による国家緊急権の行使は司法審査の対象になりうるため、その行使の要件を厳格に適用して判断しなければならないと判示している。

 尹前大統領の弾劾決定文には、この他にも過去の独裁政権による国家緊急権の行使、乱用の歴史を断罪した判決が引用されている。憲法裁は決定文の冒頭で、「憲法の定める国家緊急権の発動要件と事後統制、および国家緊急権に内在する本質的限界は、厳格に順守されなければならない」と述べている。この前提は、1971年に朴正熙(パク・チョンヒ)が制定した国家保衛に関する特別措置法(国家保衛法)の一部条項を2015年に違憲とした憲法裁の決定文から引用したものだ。

 憲法裁は、尹前大統領が12・3非常戒厳の布告令で集会・デモを禁止したことに対する違法判断でも、過去の判例を引用している。2013年の「緊急措置1・2号違憲決定文」がそれだ。憲法裁は「批判そのものを源泉から排除するための公権力の行使や規範の制定は、大韓民国憲法が予定している自由民主的な基本秩序に合致しないため、その正当性を与えることはできない」と判断している。

 尹大統領の弾劾決定文の結論部分では、朴正熙、全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)と続いた独裁政権の歴史を説明しつつ、彼らを処罰した最高裁判決から多くを引用している。全斗煥、盧泰愚らが12・12軍事反乱で軍の指揮権と国の情報機関を掌握し、その後、政権を奪取するために1980年5月17日に当時の崔圭夏(チェ・ギュハ)大統領らに迫って非常戒厳の全国への拡大を宣布させたことなどだ。

 国会の弾劾訴追手続きに対する尹前大統領側の問題提起についても、憲法裁は過去の判例で答えている。尹前大統領側は、昨年末に国会が弾劾訴追した際に法制司法委員会の調査手続きを経ていない、「内乱罪」撤回は訴追事由の変更に当たるとして、手続き的な欠陥を指摘していた。これに対し憲法裁は、似たような指摘が盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾審判でもあったと指摘しつつ、判例は手続き的問題はないとしていると述べている。

 国会による大統領の弾劾訴追は「弾劾訴追権の乱用」だとする尹前大統領側の主張は、「イ・ジンスク判例」によって棄却された。憲法裁判所は今年1月のイ・ジンスク放送通信委員長の弾劾事件で、イ委員長側の「弾劾乱用」主張に対して「たとえ弾劾訴追の議決に一部政治的な目的や動機があったとしても、そのような事情だけで弾劾訴追権が乱用されたとはみなせない」と述べている。

オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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。実業家イーロン・マスク氏に「政府効率化省」のトップを任せ、連邦政府職員の大量解雇、教育・医療分野や社会保障などの公共サービス削減を進め、広範な国民に不安を広げてきました。

2025-04-07 21:09:04 | アメリカの対応

2025年4月7日(月)

トランプ政権に抗議

全米1300カ所超 最大規模

“民主主義に手をつけるな”“退陣を”

 【ワシントン=洞口昇幸】米首都ワシントンで5日、トランプ政権に対する大規模な抗議デモが行われました。中心部に多数の市民が結集し、「(民主主義や大事な権利・制度に)手を付けるな」「トランプ(大統領)は退陣せよ」などのシュプレヒコールを繰り返しました。


写真

(写真)トランプ米政権への抗議デモに結集した市民=5日、ワシントン(洞口昇幸撮影)

 行動は、他の米主要都市でも行われ、国内外1300カ所以上で同様の抗議行動がありました。主催団体の事前の参加登録者数は約60万人で、第2次トランプ政権発足後では最大規模だといいます。

 トランプ大統領は1月20日の就任直後から大統領令を連発して、移民の大量強制送還、ジェンダー平等や多様性を否定する政策転換などを強硬に推進。実業家イーロン・マスク氏に「政府効率化省」のトップを任せ、連邦政府職員の大量解雇、教育・医療分野や社会保障などの公共サービス削減を進め、広範な国民に不安を広げてきました。

 対外政策では重要な国際協定や国際機関からの一方的離脱、国連や国際法を無視したウクライナ問題での停戦交渉や極端なロシア寄りの姿勢が、国内外から批判や危惧の声を浴びてきました。

 首都中心部のワシントン記念塔周辺では、「米国よ目を覚ませ、ファシズムが到来している」「差別する者は愛国者ではない」「富裕層に課税を」などの横断幕やプラカードが見られました。

 中西部ミズーリ州から参加した男性(35)は耳が不自由であることを明かし、「トランプ政権が医療や社会保障の制度、公共サービスを削減しようとし、マスク氏とともに寡頭制(少数の権力者の支配)のように政策を強行するのは許せない。高関税政策も物価上昇につながらないかと心配だ」と語りました。

 友人と参加したオルガ・ルーディさん(63)は「ウクライナの解放が米国をより安全にする」とのプラカードを掲げていました。「ロシアによるウクライナへの侵略戦争を早く終結させて平和になってほしい。しかしロシアの占領を容認するような合意を目指すなら国際社会の悪例となる。これからもトランプ政権に対し声を上げていくし、声を上げる人を増やしていきたい」と述べました。

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脅かされた憲法は主権者とともによみがえり、挑戦を受けた民主主義もふたたび立ち上がった。「主文、被請求人大統領尹錫悦を罷免する」。裁判官8人全員の一致だ。国民と憲法、民主主義の勝利だ。

2025-04-05 11:21:45 | 韓国を知ろう
 

憲法守った韓国市民の勝利、

これから新たな始まりだ【社説】

登録:2025-04-05 08:59 修正:2025-04-05 09:54
 
 
市民が4日午前、ソウル市鍾路区の安国駅近くで弾劾宣告を生中継する大型画面を通じて憲法裁が「主文、被請求人大統領尹錫悦を罷免する」と宣告すると、歓呼を上げている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 不正と混沌のトンネルを抜け、ついに正義に到着した。12・3非常戒厳という超憲法的な暴挙によって自滅を早めた尹錫悦(ユン・ソクヨル)は、就任からわずか2年11カ月で前大統領になった。脅かされた憲法は主権者とともによみがえり、挑戦を受けた民主主義もふたたび立ち上がった。「主文、被請求人大統領尹錫悦を罷免する」。裁判官8人全員の一致だ。国民と憲法、民主主義の勝利だ。

 憲法裁は4日、非常戒厳宣言は実体的・手続き的要件に違反し、国会に対する軍警投入、国会・政党活動を禁止した布告令の発令、中央選挙管理委員会の押収捜索、法曹人の所在地の確認の試みなど、5つの弾劾訴追理由すべてが憲法・法律違反だと明言した。憲法裁は「被請求人の違憲・違法行為は、国民の信任を裏切ったものであり、憲法守護の観点から容認できない重大な法律違反に該当する」と厳しく判示した。

 急速な産業化と民主化を同時に達成した経済・文化強国である大韓民国が、尹錫悦という非民主的、反文明的、前近代的な統治者を保有したという事実は、恥ずべきことだ。彼の任期中は退行を続けた。経験も準備もなしに大統領職に就いた彼は、国政を検察組織のように運営した。市民社会、国会、野党、メディアなどの批判勢力は、共存・妥協ではなく排除・処断の対象だった。公正と常識を掲げたが、実状は不公正と非常識だった。「反国家勢力の一挙清算」と「不正選挙」という狂気と妄想から始まった12・3戒厳は、このような退行の結晶体だった。

 2017年の朴槿恵(パク・クネ)元大統領に続き、8年後に2回目の大統領罷免となったことは、国家的な不幸だ。しかし、2回の大統領弾劾は、市民の常識と憲法的熱望の勝利という点で、われわれの誇りであり希望でもある。反動を勝ち抜いた源泉は、主権者である国民だ。尹錫悦や極右勢力、与党政治家たちが詭弁と扇動で惑わしても、国民は揺らぐことなく、「憲法守護」の声を上げた。民主主義が危機に直面するたびに、これを救ったのは、いつも市民だった。

 独断と狂気の統治者尹錫悦の罷免は、終わりではなく、国家正常化に向かう新たな始まりだ。深刻化した社会分裂と対立から、まず収拾しなければならない。戒厳・弾劾局面を経て、「心理的内戦」と言えるほど政治二極化が深まった。憲法裁の決定後、物理的衝突に対する懸念も強い。全員の自制と包容が切実に求められる。敵対と嫌悪を活用して政治的利益を得ようとする邪悪な行為はあってはならない。尹錫悦は、憲法裁の決定に「承服」するという言及はせず、「期待に応えられず非常に残念で、申し訳ない」とだけ述べた。国家的混乱を引き起こしたことについて真摯に謝罪し、支持層にも自制を要請しなければならない。

 合理的保守を立て直すことも必須だ。戒厳・弾劾の過程で、陰謀論と嫌悪に陥った極右勢力の急浮上と巨大保守政党の極右化を目撃した。与党「国民の力」が尹錫悦と極右から決別し、立ち位置を再確立しないのであれば、保守全体の存立が揺らぎ、韓国政治は足を引っ張られるだろう。

 包容と統合は追求しても、内乱勢力の清算は徹底しなければならない。内乱首謀の被疑者である尹錫悦は、内乱罪の刑事裁判で、ふたたびあらゆる法的手段を動員しようとするだろう。司法当局は、内乱の中心的な加担者を一寸の寛容なしに断罪し、歴史に教訓を残さなければならない。尹錫悦と夫人のキム・ゴンヒ女史の不法選挙介入と国政壟断、キム・ゴンヒ女史による株価操作疑惑などにも、司法的審判を下さなければならない。検察や高級官僚などの内乱擁護行為についても、責任を問わなければならない。国会が選出した憲法裁判官3人の任命を拒否し、憲法裁の正常な運営を阻害したハン・ドクス大統領権限代行とチェ・サンモク経済副首相の違憲行為を、そのまま見過ごしてはならない。検察・司法システムの改革の必要性も忘れてはならない。

 さらに、米国のドナルド・トランプ政権の関税圧力など、内外の国民生活・通商・安全保障の危機にも力を入れなければならない。60日以内に早期大統領選が行われるだろうが、そのときまで、国政の空白を放置してはならない。政界と行政府が、「内乱事態」で疲弊した国民の生活を適切に見直すことこそ、これまで国民に犯した誤りを少しでも減らすことができる道だ。

 尹錫悦罷免は政治改革の機会を開いた。戒厳は尹錫悦個人の暴走だったが、帝王的大統領に対する国民的な疑問がよりいっそう強まった。大統領選とあわせて、多種多様な改憲議論が出てくるだろう。6月初めに行われる早期大統領選は、内乱清算と政治改革を通じて、新しい大韓民国を設計し、ビジョンを競う場にならなければならない。遅れても間違いなく春は来るように、われわれは苦痛と傷をいやし、明日へと進むだろう。

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