4500キロ飛んだ北朝鮮の弾道ミサイル…
日本を越えて米国まで狙った「実験」
技術力を高め、日米同時に狙うための布石
「安保理麻痺している中、武力示威続ける見通し」
韓米軍当局の初期分析を総合すると、4日午前に北朝鮮が発射したミサイルは、今年初めに「検収射撃テスト」(品質検証)を行ったと明らかにした中距離弾道ミサイル(IRBM)「火星12型」と推定される。今回の発射は、ミサイルが日本はもちろん、米国領グアム以上まで届くよう技術力を高めることに目的があると見られる。
北朝鮮が初めて火星12型の発射実験を行ったのは2017年4月。 同月実施した3回の発射実験(5・16・29日)はいずれも失敗したと見られる。しかし同年5月14日の発射実験は最高高度2111キロメートルで30分間飛行し、787キロメートルを飛んだ。さらに8月28日と9月14日に行われた実験では飛行距離が各々2700キロメートルと3700キロメートルまで伸びた。
合同参謀本部は同日、北朝鮮弾道ミサイルの飛行距離が4500キロメートルと推定した。 有事の際に朝鮮半島に展開される米軍戦略資産が駐留した米国領グアムは、平壌(ピョンヤン)から約3400キロメートル離れている。同日の発射が日本だけでなく米国まで狙った可能性があると見られているのも、そのためだ。北朝鮮は2017年8月9日、キム・ラクギョム戦略軍司令官が火星12型4発を同時多発的に発射するいわゆる「グアム島包囲射撃案」を発表した。
専門家らはミサイル発射の主な目的がグアムまでの距離以上に射程を延長するなどの技術向上にあると見ている。北韓鮮大学院大学のキム・ドンヨプ教授は「金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は火星12型の発射実験が成功した当時、『米国本土と太平洋作戦地帯が我々の打撃圏内に入った』と述べた」とし、「今回の発射は2017年のように単純にグアムを目標にしたというよりは、火星12型の改良で射程をさらに伸ばすためかもしれない」と指摘した。平壌から米国アラスカとハワイはそれぞれ約5700キロメートルと7200キロメートル離れている。世宗研究所のキム・ジョンソプ副所長も、「今は緊張局面を作って何かを得られる状況でもなく、ジョー・バイデン米政権を動かして交渉を試みる局面でもない」とし、「最近、北朝鮮が最近弾道ミサイルを発射した後、その意味について説明をしていないのも『実力』を伸ばす技術的側面に集中しているためとみられる」と述べた。
このような中、米国と中ロの対立によって分裂した国連安全保障理事会(安保理)はこれといった役割を果たせないものと見られる。安保理は5月29日、対北朝鮮追加制裁決議案が中国とロシアの拒否権行使のため否決された後、北朝鮮の弾道ミサイル発射関連会議を開くことができなかった。