中国の供給過剰に…「韓国経済の中枢」製造業が傾く
資産規模80兆ウォン(約8兆4670憶円)のLG化学が今年上半期の石油化学事業で上げた営業利益は約12億ウォン(約1億2700万円)。上半期の会社の利益全体の0.2%に過ぎない。2022年には同事業利益は1兆ウォン(約1060億円)に迫る規模だったが、業況が180度変わった。
サムスンSDIは10日、偏光フィルム事業を中国メーカーに1兆1210億ウォン(約1190億円)で売却することにした。中国企業の攻撃的な低価格競争で収益性が悪化し、事業売却を決めたのだ。ポスコの子会社であるポスコフューチャーMも先日、OCIと合弁で設立した二次電池の素材企業であるP&Oケミカルの持分をすべてOCI側に売却することにした。中国の供給過剰などによって本業である鉄鋼と二次電池の業況に影が差し、経営を引き締めることにしたのだ。
韓国経済の中枢を支える「重厚長大」産業が一斉に危機に直面しているという警告音が大きくなっている。中国企業の生産過剰および輸出拡大で、韓国の相当数の製造業種にネガティブな影響が及んでいるというのが骨子だ。このような中国の供給過剰は外部の構造的な問題であるため、その衝撃も長期化しうるという懸念も大きい。
韓国の信用評価会社「ナイス信用評価」は11日、「深まる中国の供給過剰と信用危機」と題するセミナーを開き、「中国の供給過剰が続き、韓国の主要事業の環境も厳しくなるものと見通される」と指摘した。具体的に、鉄鋼・石油化学・太陽光・ディスプレイ・電気自動車(EV)・二次電池など6つの主要業種の需要と供給条件が韓国企業に不利だと予想された。中国製を含めた製品の過剰供給が需要を大幅に上回り、価格下落など企業の実績に悪影響を及ぼすだろうという話だ。特定の要因が国内の製造業全般に衝撃を与えるという懸念が提起されるのは異例のことだ。
ハナ金融経営研究所も6月、報告書を通じて「中国が2024年に入り半導体、自動車、造船、太陽光など主要品目の価格をさらに引き下げたことで、当該品目の輸出量が前年同期に比べ40~60%急増した。多くが韓国の輸出品目と重複しており、韓国が最も大きな打撃を受けるものと予想される」と述べた。中国の事情に詳しいある証券会社の研究員は「最近は中国の内需が崩壊しているが、中国政府は内需浮揚の代わりに製造業育成に政策焦点を合わせ、過剰供給がますます激しくなっている」とし、「すでに中国製品の品質がかなり高くなっているため、相当数の品目で韓国製との競争が避けられない状況」だと指摘した。
実際、LG化学やロッテケミカルなど石油化学企業の実績悪化を招いたのは、中国が「自給率の向上」を掲げて自国製品の生産を大きく増やし、韓国製品の輸入が減ったことが大きく影響した。この5年間、中国の石油化学の基礎原料であるエチレンの増設規模は約2600万トンで、韓国の生産能力の2倍に達する。中国政府の補助金のおかげで高速成長した太陽光とディスプレイ、内需の消費規模の2倍余りにのぼるEVバッテリーの余剰生産量などもグローバルな価格下落を招き、ハンファソリューション、LGディスプレイなど韓国企業の業績悪化につながっている。
先日、構造調整に着手したドイツのフォルクスワーゲングループとは異なり、実績好調を見せている現代自動車・起亜など韓国の自動車部門も「安全地帯」ではない。ナイス信用評価のホン・セジン研究員は「内燃機関自動車の電動化が加速し、中国車のグローバルシェアが高くなれば、新興国を中心にEV部門の競争が激しくなるだろう」とし、「長期的に原価競争力を備えた中国製のEVがグローバル競争を深める危険要因として作用しうる」と指摘した。
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