ブリンケン氏は「北朝鮮に対するアプローチと政策を再検討する予定で、この過程で韓日などとあらゆる方策について話し合う」と述べた。

2021-01-27 10:11:08 | アメリカの対応

[記者手帳]

米「対北朝鮮新戦略」に大げさに反応する韓国保守メディア

登録:2021-01-26 03:01 修正:2021-01-26 06:49
 
バイデンはトランプ外交を捨てると言うが 
文大統領だけが「夢想」に陥っていると非難 
「言いたい放題」報道から脱却すべき 

新政権が新戦略を練るのは当然
 
米ホワイトハウスのジェン・サキ報道官が22日(現地時間)、メディアへのブリーフィングで記者の質問に答えている=ワシントン/AP・聯合ニュース

 外交・安保分野についてのメディアの論評は、ある程度「言いたい放題」が許される領域ではないかと思ったりもする。国内の懸案については、不正確な報道に対する後続措置が比較的明確に行われるが、機密性が重視される外交・安保分野については、当局は明確な誤報に対しても対応を控えることが多い。特に、外国の外交・安保政策についての解釈の領域ともなるとさらにひどくなり、同じテキストに対する解釈が正反対になることも多い。韓国の記者の勝手な解釈に米日の政府が「抗議電話」をかけてくることもないため、この「言いたい放題」構造は続くことになるわけだ。

 こうした考えが固まったのは、米ホワイトハウスのジェン・サキ新報道官が23日の記者会見で言及した「新戦略(new strategy)」についての25日の保守メディアの解釈を確認してからだ。「東亜日報」は社説で、バイデン政権が「対北朝鮮『新戦略』に言及したのは初」とし、これは「バイデン政権によるトランプ政策払拭において、対北朝鮮政策も例外ではないことを公式化したもの」と分析し、「中央日報」も「バイデン政権が発足から二日で北朝鮮の核に対する立場を明らかにした」と述べ、文大統領は米国と「北朝鮮の核の脅威に対する認識をまず共有」しなければならないと主張した。つまり、米国はトランプ政権の対北朝鮮政策を廃棄して「新たな戦略」を構想しているというのに、文在寅(ムン・ジェイン)政権だけが夢想に浸っていると言っているのだ。だがこの発言は、そこまで軽はずみに騒ぐほどのものだろうか。

 その日の会見の模様は、ユーチューブのホワイトハウス・アカウントにアップされている61分42秒の動画で確認できる。午後1時3分に始まったその日の会見で、くだんの質問は最後の方に出た。ホワイトハウスのブリーフィングルーム後方に座っていた日本人記者とみられる男性がまず「東京五輪」開催の可能性についてのホワイトハウスの見解を聞き、その後、バイデン政権のインド太平洋政策に話題を移した。サキ報道官は2つ目の質問に対し「北朝鮮に関する対日政策について尋ねているのか」と確認した後、「北朝鮮の核や弾道ミサイルなどは深刻な脅威」と前置きし、「我々は米国人と同盟を守る新たな政策を導入する」とし「徹底した政策の見直しを行う過程で、韓日と緊密に協議する」と答えた。

 この発言は、実際には次期国務長官に指名されたアントニー・ブリンケン氏の上院人事承認公聴会での発言を、サキ報道官が「自分の言葉」で整理したものに過ぎない。ブリンケン氏は「北朝鮮に対するアプローチと政策を再検討する予定で、この過程で韓日などとあらゆる方策について話し合う」と述べた。そして「北朝鮮が交渉のテーブルにつくために圧力を強化した方が効率的なのか、それとも他の外交的アプローチも可能なのか」検討するとも述べている。米国が政策の見直しを通じて導き出す戦略が「新戦略」であって、いずれにせよ失敗した「昔の戦略」ではないはずだ。

 韓米が政策を調整する過程で多少の摩擦は予想されるものの、北朝鮮の核という難題にはっきりとした答えがないのは互いに同じだ。主張すべきことは主張し、受け入れるべきことは受け入れればよいだけで、何もないうちから「新戦略」の一言に恐れる必要はない。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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 文大統領とバイデン大統領の電話首脳会談は、実務調整が終わり次第行われる見通しだ。

2021-01-26 02:53:48 | アメリカの対応

ホワイトハウス「北朝鮮核問題で新たなアプローチ模索」…

韓米首脳、近く電話会談

登録:2021-01-25 06:36 修正:2021-01-25 07:43
 
前日のソ・フン-サリバンに続き 
韓米防衛相、初の電話会談で「堅固な同盟を再確認」 
 
文在寅大統領が昨年11月12日午前、大統領府でジョー・バイデン米大統領当選者と電話で話している。バイデン氏の勝利宣言から4日後に行われた初の通話会談だ=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 ジョー・バイデン米政権の発足により、韓米外交安保当局間の公式接触が始まった。ソ・フン国家安保室長とホワイトハウスのジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安保担当)が23日、初の電話協議を行ったのに続き、24日には両国防衛相が電話会談を開いた。韓米が同盟の強化や朝鮮半島の非核化、平和定着などを模索するための対話に乗り出したのだ。まもなく文在寅(ムン・ジェイン)大統領とバイデン大統領も電話首脳会談を行うものとみられる。

 ソ室長は23日、サリバン補佐官と初の電話協議を行い、「韓米同盟の堅固さを再確認し、朝鮮半島とインド太平洋地域の問題だけではなく、新型コロナウイルスや経済回復、気候変動、サイバーなど、グローバルイシューでも共に積極的に協力していくことが緊要だということで認識を共にした」と、大統領府が発表した。サリバン補佐官は「韓米同盟はインド太平洋地域内の平和と繁栄の核心軸(リンチピン)」だとしたうえで、「米国側は韓国と多様な事案について緊密に協議していく」と述べた。大統領府の発表によると、双方は朝鮮半島の非核化と平和定着という目標達成に向けて、共同で協議して努力していくことにしたという。

 ホワイトハウスも報道資料を発表し、「サリバン補佐官がソ・フン室長との電話会談で韓米同盟を一層強化するというバイデン政権の約束を強調した」と明らかにした。ホワイトハウスは「二人は北朝鮮問題だけでなく、新型コロナと気候変動への対処を含め、他の地域的・国際的課題に対する緊密な協調の重要性について話し合った」と付け加えた。

 韓米防衛相の初の電話会談も行われた。ソ・ウク国防部長官は24日、ロイド・オースティン米国防長官との会談で「韓米同盟の堅固さと両国防衛当局の緊密な協調体制を再確認した」と、国防部が明らかにした。同会談でオースティン長官は、韓米同盟を北東アジアの平和と安定の核心軸であり、最も模範的な同盟と評価すると共に、今後の同盟関係をさらに堅固に発展させるために緊密に協力すると強調した。両長官は近いうちに直接会って、多様な懸案について協議を深めることにした。米国防総省も同じ時刻に資料を発表し、ソ・ウク長官とオースティン長官が電話で話したことを伝え、「オースティン長官が韓米連合防衛態勢と米国の拡大抑止力による韓国防衛の約束を強調した」と伝えた。

 文大統領とバイデン大統領の電話首脳会談は、実務調整が終わり次第行われる見通しだ。大統領府は23日、ソ・フン室長とサリバン補佐官の電話会談で、「早期に両国首脳間のコミュニケーションを始めることが重要であることに共感した」と明らかにした。大統領府の関係者はハンギョレとの電話インタビューで、両首脳の電話会談日程について「まだ調整中の状態」とし、「早期の会談開催に向けて努力している」と述べた。

 両首脳は、バイデン大統領が大統領選勝利を宣言して4日後の昨年11月12日に電話で会談した。当時、文大統領は会談後、ツイッターに「確固たる韓米同盟と平和と繁栄の朝鮮半島に向けたバイデン当選者の固い意志を確認できた」とし、「バイデン当選者と新型コロナや気候変動への対応を含む世界的な挑戦課題に対処するために積極的に協力する」と明らかにした。

 文大統領は今回の電話会談が実現すれば、韓米同盟が堅固であることを再確認し、朝鮮半島の非核化と平和体制の定着に向けて緊密な協力を強調するものとみられる。文大統領は今月21日、国家安全保障会議(NSC)全体会議で「朝米対話と南北対話に新たな突破口を開き、平和の時計が再び動くように最善を尽くすよう」指示した。

 一方、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は22日(現地時間)のメディアブリーフィングで、北朝鮮政策と関連し「米国民と同盟を安全に守るための新しい戦略を採択する」とし、「このアプローチは現在進められている(北朝鮮)圧迫オプションと未来のある外交的可能性について、韓国や日本、他の同盟と緊密な協議の中で、北朝鮮の現在の状況に対する徹底的な政策検討から始まる」と述べた。

パク・ビョンス先任記者、イ・ワン記者、ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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弾劾を求めた対象は、近く退職予定のソウル高裁のイ・ドングン部長判事と釜山高裁のイム・ソングン部長判事だ。彼らは朴槿恵(パク・クネ)前大統領の「セウォル号7時間疑惑」関連コラムを書いて、・・・

2021-01-25 07:12:56 | 韓国を知ろう

韓国国会議員107人、

産経記者の裁判に関わった「司法壟断判事の弾劾」を提案

登録:2021-01-23 07:11 修正:2021-01-23 08:44
 
弾劾訴追案の発議の定足数3分の1を超える 
退職控えたイ・ドン判事とイム・ソングン判事が対象
 
(右から)正義党のリュ・ホジョン議員、共に民主党のイ・タンヒ議員、基本所得党のヨン・ヘイン議員、開かれた民主党のカン・ミンジョン議員が今月22日、国会コミュニケーション館で「司法壟断裁判官の弾劾」を提案している/ 聯合ニュース

 共に民主党のイ・タンヒ議員が民主党や正義党、開かれた民主党など国会議員107人の意見を集め、「司法壟断」に関与した判事の弾劾案議決を政界に提案した。107人は裁判官の弾劾訴追案の発議に必要な100人(国会在籍議員3分の1)を上回る数だ。弾劾を求めた対象は、近く退職予定のソウル高裁のイ・ドングン部長判事と釜山高裁のイム・ソングン部長判事だ。彼らは朴槿恵(パク・クネ)前大統領の「セウォル号7時間疑惑」関連コラムを書いて、名誉毀損の疑いで起訴された産経新聞記者の裁判に関与した。

 同日の記者会見には、イ議員とともに正義党のリュ・ホジョン議員、開かれた民主党のカン・ミンジョン議員、基本所得党のヨン・ヘイン議員が出席した。彼らは記者会見で、「裁判所が一審の判決で反憲法行為者と判断した判事がいる。イム・ソングン判事とイ・ドングン判事だ。全国裁判官代表者会議は、彼らのような裁判介入行為を弾劾対象と議決することで国会の訴追の必要性を認めたが、国会は彼らに対する訴追手続きを履行しなかった」とし、「その間に彼らは裁判所に辞職届を提出した。来月になれば名誉退職して弁護士として活動を始め、前官礼遇を受けられる」と述べた。イ部長判事は辞職届を提出し28日に裁判所を去ることになり、イム部長判事は2月末に任期満了で辞職する。

 イ議員は同日の記者会見を終えた後、弾劾訴追案発議定足数100人を超えたが、発議の代わりに提案をした理由について、「裁判官の弾劾について共感を確認した後、政党別に内部の意思決定手続きを踏むことにした。その方針に従って段階的に推進する過程として理解してほしい」と述べた。また、提案に参加した107人の名簿を公開しなかったことについては「弾劾訴追は国会法に基づき議決時に秘密投票を行う。その旨を尊重し、名簿を公開しないことにした」と説明した。弾劾対象に二人の判事が挙げられた理由については「裁判所の判決で反憲法的な行為をしたと認められた判事」だとし、「全国裁判官代表者会議でも訴追が必要だと宣言した行為に該当する判事だが、二人の判事の退職時期が偶然重なったため、弾劾訴追を提案した」と説明した。裁判官弾劾訴追案が発議されれば、在籍議員過半数の賛成があれば議決される。

 イム部長判事とイ部長判事は、朴前大統領がセウォル号救助に積極的でなかった疑惑を提起した日本の記者の判決文を流出させ、内容を修正した容疑で裁判を受けている。ソウル中央地裁は昨年2月、イム部長判事の職権乱用容疑で無罪を言い渡したが、判決文では裁判介入行為を「違憲」だとしている。

 イ議員は「各党が(裁判官弾劾のための)意思決定手続きを進めてほしい」とし、「今回の弾劾提案に民主党からは96人の議員が参加した。民主党所属議員の過半数が提案した案件であるため、議員総会が近く召集されるのではないかと期待している」と述べた。

チョン・ファンボン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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今年は全世界が新型コロナの退治とまた別のパンデミック(感染拡散)予防、自由貿易擁護、カーボンニュートラルを通じた気候変動への対応および第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)などの目標に・・・

2021-01-23 08:23:55 | 尹大統領は、おかしいね!

英国首相、6月のG7首脳会議に文大統領を招請

登録:2021-01-22 20:01 修正:2021-01-23 06:38
 
文在寅大統領=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 英国のボリス・ジョンソン首相が22日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に書簡を送り、6月に英国で開かれる主要7カ国(G7)首脳会議に公式招請したと、大統領府が明らかにした。

 ジョンソン首相は「主要7カ国首脳会議に文大統領を迎えることになったことをうれしく思う」という内容の書簡を送ったと、大統領府のカン・ミンソク報道官がこの日伝えた。ジョンソン首相はまた書簡で「今年は全世界が新型コロナの退治とまた別のパンデミック(感染拡散)予防、自由貿易擁護、カーボンニュートラルを通じた気候変動への対応および第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)などの目標に邁進しなければならない」として「こうした議論に韓国の声が反映されることが重要だ」と明らかにした。ジョンソン首相は5月にソウルで開かれる「グリーン成長およびグローバル目標2030のための連帯(P4G)」首脳会議と関連しては、「招請に感謝申し上げ、参加を確約する。この会議はCOP26に進む重要な道しるべになるだろう」と話したとカン報道官が伝えた。

 カン報道官は「韓国は包容的で持続可能なポストコロナ時代を切り開き、気候変動に積極的に対応していくために韓国版ニューディールを発表した」として「2050カーボンニュートラルを宣言した経験を基に、今年のG7首脳会議が重要な成果を上げられるよう積極的に寄与していくという要旨の返事をジョンソン首相に送る予定」だと話した。

ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

 

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韓米間の対話で最も重要な課題は、アジア政策と北朝鮮核問題の関心の差を埋め、タイムラグによるズレを防ぎ、衝突ではなく調和を模索することだ。

2021-01-23 08:23:55 | 世界平和を実現するために

[寄稿]バイデン時代、南北米中の4者会談を始動すべき時

登録:2021-01-22 09:18 修正:2021-01-22 10:05
 
キム・ヨンチョル仁済大学教授・前統一部長官 
 
同盟協力を強調する「バイデン時代」 
対話・コミュニケーションの機会は開かれた 
我々の戦略を整備していこう 
 
米国の目指す多国的アプローチに中国を参加させ 
朝鮮半島を米中対決の緩衝空間に 
 
具体的な移行計画と信頼構築を通じて 
北朝鮮核問題の解決策づくりを急ぐべき 
早期交渉で核能力の凍結を進めよう
 
ジョー・バイデン米大統領が今月20日(現地時間)、ワシントンのホワイトハウスでテレビ電話で開催した職員宣誓行事に出席している。バイデン大統領は同日、「同僚愛と尊重」を強調した=ワシントン/ロイター・聯合ニュース

 ジョー・バイデン政権が発足した。ドナルド・トランプ政権の負の遺産を清算し、混線から秩序へ、対立から統合へ、孤立から協力への転換を宣言した。同盟国との協力を強調する「バイデン時代」は、果たしてトランプ政権で崩壊した利益調和の原則を修復することができるだろうか。対話とコミュニケーションの機会が開かれたので、これから韓国の戦略を整備しなければならない。

 バイデン政権のアジア政策の中核は中国を牽制することにある。トランプ政権の対中国政策を継承するものの、運営システムを革新し、米国が軸となって同盟国が輪となる協力体制を目指している。一方、北朝鮮核問題は原点に立ち戻って見直す計画だ。中国への牽制は具体的であるが、北朝鮮核問題は曖昧だ。韓米間の対話で最も重要な課題は、アジア政策と北朝鮮核問題の関心の差を埋め、タイムラグによるズレを防ぎ、衝突ではなく調和を模索することだ。

 第一に、米中競争から北朝鮮核問題の解決を切り離さなければならない。2019年2月のハノイ会談が物別れに終わってから、朝中は近づいた一方、南北は遠ざかり、北朝鮮の対米要求は強硬になった。変化した秩序の中、中国の役割が重要になった。米国と中国が協力しなければ、北朝鮮核問題は解決困難な構造になっている。米国が目指す多国的アプローチに中国を参加させ、朝鮮半島を米中対決の緩衝空間にしなければならない。もはや南北米中の4者協議を始動すべき時である。

 第二に、安保ジレンマの悪循環から抜け出さなければならない。北朝鮮の核武力の高度化は、朝鮮半島全体に軍拡競争をもたらすだろう。北東アジアでも、中国の接近阻止(Anti Access)戦略の具体化とバイデン政権の軍事的対応戦略が姿を現わすだろう。朝鮮半島と北東アジアで同時に安保ジレンマが否定的な相乗作用を起こす可能性が高くなった。北朝鮮核問題の解決策は結局、安保ジレンマの罠から抜け出さない限り始まらない。堅固な安保の基盤がなければ、朝鮮半島の平和を守ることはできない。しかし、平和を作り出さない限り、平和そのものを守るのが難しくなるのもまた事実だ。現在の状況に合わせた適正な抑止力のレベルを検討すべき時である。

 第三に、サプライチェーンの分断を阻止しなければならない。北朝鮮は第8回党大会で「自力更生戦略」を選択し、中国は国内循環が中心になる「双循環戦略」を宣言した。北朝鮮と中国いずれも情勢の予測可能性が低くなったことを受け、経済分野で長期戦に備えている。しかし、今もこれからも朝中両国の経済協力は維持されるだろう。中国は北朝鮮に食糧と肥料を支援している。制裁が長期化すれば、非制裁品目を中心に朝中経済圏が構造されるだろう。サプライチェーンの分断は軍拡競争とともに南北関係の遠心力として作用する。北朝鮮核問題の解決策において経済的手段の重要性を認識し、その実現が困難であっても、南北と中国、南北とロシアの三カ国協力を放棄してはならない。

 結局、北朝鮮核問題の解決策を早めに講じなければならない。解決は失敗した地点から始めなければならない。北朝鮮核問題の解決策で重要なのは次の二点だ。まず、原則的な合意ではなく、具体的な履行計画が必要だ。バイデン政権の外交安保チームは、大半がイラン核合意の主役たちだ。イラン核合意は本文が100ページ近い詳細な履行計画によって構成されている。むろん北朝鮮とイランの核開発の水準が異なるため、全過程の履行計画書を作成するにはかなり時間がかかるだろう。それでもバイデン政権の交渉チームは、一定レベルの初期措置については詳細な履行計画書の作成を目指すと見られる。それに備えなければならない。

 次に、信頼構築の重要性である。イラン核合意での制裁解除は合意を破れば取り消すという「スナップバック方式」を活用した。スナップバック条項は信頼できない状況下での条件付き合意だ。もしハノイ会談で、寧辺(ヨンビョン)の核施設を廃棄する見返りとして制裁緩和をスナップバック方式で合意していたなら、この2年間少なからぬ成果があっただろう。さらに残念なのは、トランプ政権がスナップバック条項をイラン核合意を破棄する根拠に活用したため、スナップバックに対する北朝鮮の不信感が以前にもまして深くなったという点だ。しかし、スナップバックは信頼が足りない状況での安全装置であり、合意を履行すれば何の問題もない。重要なのは信頼構築の重要性だ。信頼は約束の履行を通じて築かれるため、時間がかかる。スナップバックは一時的な措置であるが、信頼の構築は持続可能性を担保する履行の動力である。交渉の全過程で地道に信頼を築く努力が必要だ。

 北朝鮮の核能力を考えれば、交渉も履行も長期戦が避けられない。早めに交渉を始め、まず北朝鮮の核能力を凍結しなければならない。(北朝鮮の核開発を)止めてこそ、悪化から解決に転じることができるからだ。

 だからこそ、北朝鮮核問題(の解決)はいつも今日が明日より容易である。時間が経過するほど、北朝鮮の核能力が高まり、内容が複雑になるためだ。時には楽観より悲観が現実的だ。過去の古い期待から抜け出し、状況の厳しさを認めてこそ、解決策を講じることができる。朝鮮半島の秩序の変化を深く理解し、進むべき道は険しいと考え、国際的にも国内的にも共感を深めていく努力が必要である。

 
//ハンギョレ新聞社
キム・ヨンチョル|仁済大学教授・前統一部長官 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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