「僕の英語学習~焦りと苦悩、そして挫折の日々~」(第四話)
<ほろ酔い学習法(Part 2)>

さて、お酒(アルコール)が英語学習の助けになるか、効果があるかどうかについてですが、前回その答えを一応Yesと書きました。その理由は二つ。物理的なものと心理的なものがあります。まず、物理的理由から。お酒を適度に飲むとどうなるでしょう? そう、ふあっと気持ちよくなる。そして、なんとなく何かから解放された気分になる。お酒を飲むとおしゃべりになる人、明るくなる人結構多いですよね(その反対の人もいますが…)。ここでのキーワードは、relax(リラックス)です。
リラックスした状態は心身にいい影響を与えます。身体的リラックス状態は、筋肉のこわばり、緊張を緩和します。肩、首、そして、顔の筋肉も例外ではありません。私達が外国語、特に英語を話す時に苦労すること。その一つに発音があります。前にも話しましたが、英語の場合は日本語と違い、多くは子音の固まり(cluster)が母音と一緒になって単語を作り、イントネーション(抑揚)を伴って発声されます。個々の単語の発音だけでもけっこう苦労するのに、それらを繋いでイントネーションもつけて話す(発声する)となると、これは日本人にとって並大抵のことではありません。でも、我々はどうして英語の発音が難しいと感じるのか?
その大きな原因として、英語を話す時に使う顔の筋肉と、日本語を話す時に使う顔の筋肉の違いがあります。英語をはっきり話そうとすると、顔の表情、変わりません?変わってない人は、まだまだ英語の勉強が足りない!唇を平たくしたり、丸くしたり、擦れるような音を出したり、英語の音を正確に出すためには普段使っていない筋肉を動かさなければなりません。音は知っている、聞けるけどうまく発音できない。これは、脳が音を正しく認識していても、それを再生するよう指令を出した時に、その関連する筋肉が適切に動かないのが原因です。
日本語は顔の筋肉をあまり動かさなくても、母音さえはっきり発音すれば、それなりに話せます。そして、使わない筋肉は歳を重ねるにつれて硬くなり、柔軟性を失います。英語を話そうとその筋肉を無理に動かすと、こわばり、また、緊張することで余計に動きが鈍くなり、うまく発音が出来なくなるのです。小さい子供が英語を話す国にしばらく住むと、その発音がネィティブっぽくなりますよね。日本でも英語を勉強している子供達は、大人に比べて発音がいい。これは、子供の筋肉が柔軟性に富んでいて、耳から得た情報(音)に基づく脳の同音再生指令を柔軟な筋肉が高い精度で再現するからです。あ、そうそう、女性の発音も男性よりきれいですよね。これも同様の理由があてはまります(もちろん、それがすべてではありませんが)。
では、お酒の効用とは?もう、わかりましたよね。そう、音を作り出す器官、筋肉の緊張をほぐし、その本来持っている柔軟性を引き出してくれること。その結果、「あ、何かいつも発音しにくかった単語の発音が、めちゃ自然に出るやん」とか「文の流れがなんかよくなってる。すごい~」とか、自分を褒めるコメントが生まれるわけです。つまり、お酒が持っているリラックス効果の賜物というわけですね。
では、お酒の心理的な効用とは何でしょう?最初のところで、お酒を飲むとおしゃべりになる人、明るくなる人が多いと言いましたよね。これは言い換えると、お酒を飲むと、人は多かれ少なかれ社交的になるとも言えます。そして、社交的になるとは、他人に自分の心を開き、意思疎通しようとする前向きな姿勢を持ち、そのために自分の本来持つエゴ(自我)を抑制することを意味します。ここでのキーワードは、エゴ(自我)です。
エゴが英語学習と関係あるのか、ですか?はい、すっごくあります。一般にエゴが強い人はエゴが弱い人に比べて英語の進歩が遅いです。エゴが強い人は、人の真似などしたくない(そんなことは格好悪い)、何か人前で間違ったことをしたら恥だ、自尊心が傷つく、といった傾向性を持っています。さて、そんな考えをもっている人が英語うまくなると思いますか?
答えは、もちろんノーです。英語は日本人にとってはしょせん外国語。その文化も共有してなければ、日常のコミュニケーションで使うこともない。そんな英語を流暢に話すようになるには、最初のうちは人まね(ネイティブの真似)するしかありません。音も文も、それらに付随する文化的要素も、すべて人まねから始めて脳にその情報(音素、文法、文化的規則等)を刷り込み、まずは英語で自分の言いたいことを言えるようになることが大事です。そして、ある程度自分なりの英語を確立すれば、後は自分なりの日本語英語でも構いません。結論。人まねのできない、ビッグエゴを持っている人は、bad learnerである。
次に、間違ったら恥と感じるようなら、外国語の勉強なんかやっても時間の無駄です。言葉は間違って覚えていくものです。私達は幼児の頃から日本語を話し始め、多くの間違いを繰り返し、でも親のおかげ、多くの情報のインプットのおかげで日本語のネィティブ話者となりました。新しい言語を習得したければ、同様の道を経なければその言語のネィティブに近づくことはできません。つまり、risk taker(リスクを恐れずに取組む人)でなければ、いい学習者(good learner)にはなれないということです。また、リスクを恐れないという態度は、自ら相手に反応を求める行動を取るわけですから、その結果、多くのインプット(情報、刺激)をもらいます。そして、脳が鍛えられます。結論。ビッグエゴを持っている人は、risk taker になれないため、bad learnerである。
お酒は人の気持ちをオープンにし、エゴのレベルを下げ、恥の概念を弱めることで、人をrisk takerにする。その結果、多くの言語的試行錯誤を可能にし、またその結果得られる多くのインプットは言語的刺激となり、脳を鍛える。ね、お酒を飲んで英語を勉強するって、いいこといっぱいあるでしょ。でも、本当はお酒なんてどうでもいいんです。要は、英語を発音する時の器官、筋肉を柔軟にするよう日頃から練習すること。また、真似するのは嫌だとか、間違ったら恥だとかいう概念を捨てて、たくさん人まねをして、たくさん間違って、多くのインプットを頭に入れてほしい、そして学んでいってほしい。今回はそれを言いたいためのお酒のお話でした。もちろん、たまにはお酒を飲んで英語を言ってみる、話してみるというのも一興ですけどね。では、今回はこのへんで。Happy English learning, guys! Bye!
(End of Story)
<ほろ酔い学習法(Part 2)>


さて、お酒(アルコール)が英語学習の助けになるか、効果があるかどうかについてですが、前回その答えを一応Yesと書きました。その理由は二つ。物理的なものと心理的なものがあります。まず、物理的理由から。お酒を適度に飲むとどうなるでしょう? そう、ふあっと気持ちよくなる。そして、なんとなく何かから解放された気分になる。お酒を飲むとおしゃべりになる人、明るくなる人結構多いですよね(その反対の人もいますが…)。ここでのキーワードは、relax(リラックス)です。
リラックスした状態は心身にいい影響を与えます。身体的リラックス状態は、筋肉のこわばり、緊張を緩和します。肩、首、そして、顔の筋肉も例外ではありません。私達が外国語、特に英語を話す時に苦労すること。その一つに発音があります。前にも話しましたが、英語の場合は日本語と違い、多くは子音の固まり(cluster)が母音と一緒になって単語を作り、イントネーション(抑揚)を伴って発声されます。個々の単語の発音だけでもけっこう苦労するのに、それらを繋いでイントネーションもつけて話す(発声する)となると、これは日本人にとって並大抵のことではありません。でも、我々はどうして英語の発音が難しいと感じるのか?
その大きな原因として、英語を話す時に使う顔の筋肉と、日本語を話す時に使う顔の筋肉の違いがあります。英語をはっきり話そうとすると、顔の表情、変わりません?変わってない人は、まだまだ英語の勉強が足りない!唇を平たくしたり、丸くしたり、擦れるような音を出したり、英語の音を正確に出すためには普段使っていない筋肉を動かさなければなりません。音は知っている、聞けるけどうまく発音できない。これは、脳が音を正しく認識していても、それを再生するよう指令を出した時に、その関連する筋肉が適切に動かないのが原因です。
日本語は顔の筋肉をあまり動かさなくても、母音さえはっきり発音すれば、それなりに話せます。そして、使わない筋肉は歳を重ねるにつれて硬くなり、柔軟性を失います。英語を話そうとその筋肉を無理に動かすと、こわばり、また、緊張することで余計に動きが鈍くなり、うまく発音が出来なくなるのです。小さい子供が英語を話す国にしばらく住むと、その発音がネィティブっぽくなりますよね。日本でも英語を勉強している子供達は、大人に比べて発音がいい。これは、子供の筋肉が柔軟性に富んでいて、耳から得た情報(音)に基づく脳の同音再生指令を柔軟な筋肉が高い精度で再現するからです。あ、そうそう、女性の発音も男性よりきれいですよね。これも同様の理由があてはまります(もちろん、それがすべてではありませんが)。
では、お酒の効用とは?もう、わかりましたよね。そう、音を作り出す器官、筋肉の緊張をほぐし、その本来持っている柔軟性を引き出してくれること。その結果、「あ、何かいつも発音しにくかった単語の発音が、めちゃ自然に出るやん」とか「文の流れがなんかよくなってる。すごい~」とか、自分を褒めるコメントが生まれるわけです。つまり、お酒が持っているリラックス効果の賜物というわけですね。
では、お酒の心理的な効用とは何でしょう?最初のところで、お酒を飲むとおしゃべりになる人、明るくなる人が多いと言いましたよね。これは言い換えると、お酒を飲むと、人は多かれ少なかれ社交的になるとも言えます。そして、社交的になるとは、他人に自分の心を開き、意思疎通しようとする前向きな姿勢を持ち、そのために自分の本来持つエゴ(自我)を抑制することを意味します。ここでのキーワードは、エゴ(自我)です。
エゴが英語学習と関係あるのか、ですか?はい、すっごくあります。一般にエゴが強い人はエゴが弱い人に比べて英語の進歩が遅いです。エゴが強い人は、人の真似などしたくない(そんなことは格好悪い)、何か人前で間違ったことをしたら恥だ、自尊心が傷つく、といった傾向性を持っています。さて、そんな考えをもっている人が英語うまくなると思いますか?
答えは、もちろんノーです。英語は日本人にとってはしょせん外国語。その文化も共有してなければ、日常のコミュニケーションで使うこともない。そんな英語を流暢に話すようになるには、最初のうちは人まね(ネイティブの真似)するしかありません。音も文も、それらに付随する文化的要素も、すべて人まねから始めて脳にその情報(音素、文法、文化的規則等)を刷り込み、まずは英語で自分の言いたいことを言えるようになることが大事です。そして、ある程度自分なりの英語を確立すれば、後は自分なりの日本語英語でも構いません。結論。人まねのできない、ビッグエゴを持っている人は、bad learnerである。
次に、間違ったら恥と感じるようなら、外国語の勉強なんかやっても時間の無駄です。言葉は間違って覚えていくものです。私達は幼児の頃から日本語を話し始め、多くの間違いを繰り返し、でも親のおかげ、多くの情報のインプットのおかげで日本語のネィティブ話者となりました。新しい言語を習得したければ、同様の道を経なければその言語のネィティブに近づくことはできません。つまり、risk taker(リスクを恐れずに取組む人)でなければ、いい学習者(good learner)にはなれないということです。また、リスクを恐れないという態度は、自ら相手に反応を求める行動を取るわけですから、その結果、多くのインプット(情報、刺激)をもらいます。そして、脳が鍛えられます。結論。ビッグエゴを持っている人は、risk taker になれないため、bad learnerである。
お酒は人の気持ちをオープンにし、エゴのレベルを下げ、恥の概念を弱めることで、人をrisk takerにする。その結果、多くの言語的試行錯誤を可能にし、またその結果得られる多くのインプットは言語的刺激となり、脳を鍛える。ね、お酒を飲んで英語を勉強するって、いいこといっぱいあるでしょ。でも、本当はお酒なんてどうでもいいんです。要は、英語を発音する時の器官、筋肉を柔軟にするよう日頃から練習すること。また、真似するのは嫌だとか、間違ったら恥だとかいう概念を捨てて、たくさん人まねをして、たくさん間違って、多くのインプットを頭に入れてほしい、そして学んでいってほしい。今回はそれを言いたいためのお酒のお話でした。もちろん、たまにはお酒を飲んで英語を言ってみる、話してみるというのも一興ですけどね。では、今回はこのへんで。Happy English learning, guys! Bye!
(End of Story)
