Naoの誰でもわかる!英語の話

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「英語一問一答」(理論編/No.1)ヒトはどうやって言葉を学ぶの?

2007-09-14 | Weblog
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Question 18: 英語を勉強していて、ふと思ったのですが、人はどうやって言葉を学んでいくのですか?(19歳大学生男子(のつもり)
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Answer:
なかなか難しい問題ですね。でも、英語を勉強していたら、たしかに思いますよね、そんなこと。自分の勉強方法って、自然な言葉の学び方とどう違って、それでいいのかな、ってね。では今回は、子供(幼児)が母語(第一言語)である英語をどうやって習得するのか、その方法について考えてみましょう。人はどうやって言葉を学ぶのか?きみはどう思う?

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え、僕ですか。そうですね~、やっぱ、耳に入ってくる言葉を真似して、それでいろいろな言葉を覚えていくんじゃないですかね~?
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なるほど。たしかに言葉を覚えるってことはありますよね。「人(子供)は回りの言葉を聞いて、真似して言葉を習得していく」という考えを、模倣説(Imitation Theory)と言います。でも、子供が大人の真似をして言葉を学んでいくなら、ありえない言葉を使うことはないはずですよね。ところが、子供は大人なら絶対に言わない言葉を使います。以下がその例です。
allgone milk(ないミルク) allgone sock(ないくつした)
it ball(それボール)goed to(~に行った)
また、子供によっては人まねをよくする子、しない子といますが、その言語発達に変わりはありません。しかも、子供は言語の発達過程において、それなりのパターンを持った言葉を使います。なので、この模倣説は、あまり正しい説とは見られていません。では次の説(theory)を考えてみましょう。それは、強化説(Reinforcement Theory)と言われます。

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え?何を強化するんですか?筋肉、とか(笑)?
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もちろん、言葉を、です。つまり、子供が正しい(文法的な)言葉を言ったら、ほめる。そして、その言葉を強化する。そうすれば子供はその言葉を強く頭に刻み、覚える。でももし間違ったら、直してあげる。そうすれば、子供は間違いに気づき、正しい言葉だけを覚えていく。そんな学習過程を経て人は言葉を習得していく、というのが、強化説(Reinforcement Theory)です。でも、実はこの説も弱い。なぜならば、両親は間違った情報(意味)については訂正しても、文法の間違いなどはめったに直さないし、また、子供も、たとえ間違って直されても、そんなもの、全然気にしていないというのが研究でわかっているからです。以下がその一例です。

幼児:Nobody don't like me.
母親:違うの。Nobody likes meと言ってごらん。
幼児:Nobody don't like me.
(これが8回繰り返される)
母親:いいかい、よく聞いてごらん。Nobody likes me.
幼児:あ~そうか。Nobody don't likes me.
(「言語とは何か」(翻訳本/アポロン社)ビクトリア•フロムキン、ロバート•ロッドマン著、P.313より)

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ん~、じゃあ他にどんな説があるんですか?一番正しそうなやつは?
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一番事実に近いと思われる説。それは、Little Linguist Theory(小さな言語学者説)と言われます。つまり、幼児、子供は、小さいながらも言語学者のようなことをして言語を学んでいく、というものです。つまり、無意識のうちに十分なデータを得て、そのなかから規則を見いだし、また、それらを合成し、組み立て、大人の文法に近づいていく、というものです。

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え~、でも、大人ならともかく、幼児とか子供とかだと、そんなことができるだけの知能がないんじゃないですか?
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ん~、でもそれは「知能」の定義によりますよね。数学の問題とか、ややこしいパズルを解くとかの知能は、幼児や小さい子供は持っていません。でも、言語についてはその複雑な規則を理解していく知能を持っている。

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それはおかしいんじゃないですか?数学とか、パズルって、その解き方を学びますよね。つまり、学習した結果、問題を解くことができるわけですよね。でも、幼児や小さい子供はそんな学習してないんだから、そんなややこしい文法を解くことができるわけないじゃないですか。
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いい指摘ですね。そこで生まれた考えが、「人は生まれながらにして言語を身につける能力が備わっている」「言語は遺伝子の中に組み込まれている」というものです。この考えを始めて説いたのが、ノーム•チョムスキー(Noam Chomsky)と言う人です。世界的に有名な言語学者です。つまり、鳥が羽を持つように、ヒトは言語を持っている、ということです。僕もこの説が最も説得力があると思います。もちろん、遺伝子の中にあるという言語は、決まったものではなく、子供がどこで生まれるか、どこで育つかによってその言語は決まります。でも、どんな言語であっても、ヒトはそれを自然と身につけることができる能力を持っているということです。そしてそれは、我々の脳の中にあります。

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その能力は、新しい言語、いや、英語をマスターするのにも使えるんでしょうか?
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僕の答えは、Yesです。第二言語である英語を習得するためにもその能力は使えるはずです。ただ、一度母語(日本語)を習得してきた脳は、その習得の仕方を忘れています。その能力は長く使っていないし、母語のような環境ももう存在しない。なので、自動的には起動しないわけです。その能力を目覚せてフルに活用するようにすれば、英語の習得もそう難しいものにはならないはずです。そのための方法、ですか?簡単です。意味のある(わかる)言葉(英語)をできるだけ多く脳にインプットして、それを意味のある文脈でアウトプットしていく。後は自分の脳を信じる(^^)。そうすれば、脳はしっかり答えを出してくれるはずです。わからない?いいです。また、このことについては話す機会もあると思います。今回は、とりあえず言語習得のいろいろな理論を知っていただければ…。では、次回まで。See you all next time. Bye-bye!

(End of Story)