これからの通常国会は・・・

　５日午後１時、第１７１通常国会が召集され、第２次補正予算案などを焦点に、各党の代表質問が行われた。
　民主党の鳩山幹事長が「この生活の危機は、まさに麻生内閣による人災、政治災害であります」と述べると、麻生首相は「私は今回、世界でも最大規模の経済対策をまとめたと思っております」と、自信満々。一体、この自信はどこから来るのだろうか。
　さらに、鳩山幹事長は定額給付金について、「究極の大愚策と言われ、国民のほとんどが批判しています」と述べ、第２次補正予算案から定額給付金を切り離すよう求めた。これに対し、麻生首相は「国民からは、給付を待っているという声もあり、第２次補正予算から切り離すことは考えておりません」と相変わらずの強気で、笑みさえ浮かべる余裕だ。
　しかし、鳩山幹事長が消費税引上げについて、「３年後に消費税を引き上げるというが、３年後にあなたが首相の座にいる可能性はゼロ以下だ」と皮肉ると、さすがに憮然とした表情で、もう笑みは失せていた。
　この「定額給付金」を切り離せ、離さないの論議はどこまで行っても平行線のままだろう。お坊ちゃん宰相の麻生首相、今さら自論を引っ込めるのはプライドが許さないのだろうが、世論の空気が読めていない。支持率が２０％を切ったということはどういうことか再認識すべきである。

　素人考えだが私はこう思う。麻生首相は予算成立後の解散・総選挙を念頭に置いていると言う。野党が定額給付金を切り離せば第２次補正予算を通すというなら、ここは一歩譲ってとにかく予算を成立させ、迅速に経済対策ができたことをアピールして、一気に解散・総選挙に持ってゆく。元々不評を買っている定額給付金が白紙になったとしてもそれほどダメージはないと思うが、万一、選挙に負けたとしても、それはもう自民党自体が弱体化したからに他ならないのであり、潔く下野して再起を図るべきであろう。
　また、野党にしても、いたずらに強硬姿勢を貫き、これ以上政治空白が続くようでは国民の批判を浴びることになる。ここはすんなり予算成立に協力し、定額給付金はくれるというものを拒む者はいないのだから一時は国民も喜ぶかもしれない。だが、それで思惑通り解散・総選挙に持ち込めるならチャンス到来、願ったり叶ったりではないか。今なら、政権交代も夢ではないかもしれない。
　そして、政権を得た暁には、かねてより豪語している重点政策、「税の無駄遣いを根絶」、「天下り根絶」、「特殊法人や独立行政法人の原則廃止」、「公務員制度の改革」、「国会議員定数の1割以上削減」などすみやかに断行し、『国民の生活が第一』の政治が実現できればバンバンザイである。が、できなければ、また与党に政権を返上し、野党は野党らしくあればいい。そうなれば次の参議院選挙で“ねじれ国会”も解消されよう。
　私ごときが考えるほど簡単に解決することではないと百も承知だが、いずれにせよ、今、国民はアメリカと同じく「ＣＨＡＮＧＥ」を求めているのである。このまま現状が変わらなければ、いずれは与野党のどちらにも失望してしまうだろう。
　アンチ自民党全員が、民主党に全幅の信頼を寄せて支持しているとは限らない。国民の本音を言えば、自民党がダメだから、仕方なく民主党にやらせてみようと思っているに過ぎないのだと思う。だから、今、どちらが先に世論の空気を読み、いち早い方向転換をするかが勝負の分かれ目だと思えてならない。
　最近、麻生首相がピエロ、もしくは「裸の王様」に見えて仕方ないのだが…。