市民団体による抗議行動について・・・

 １３日の記事より。【陸上自衛隊のレンジャー課程の訓練生による行進訓練が１２日、東京都練馬区と板橋区で行われ、迷彩服で小銃を携行した隊員が市街地の中を行進した。　レンジャー訓練生が都内の市街地で訓練するのは約４０年ぶり。周辺住民らが訓練中止を求める仮処分申請をしたが、東京地裁が１１日、退けていた。
　行進訓練を行ったのは、第１普通科連隊（練馬駐屯地）の隊員ら１７人。静岡県内の演習場での３日間にわたる訓練を終え、締めくくりとして同駐屯地まで駅前や住宅街を歩いた。小銃には実弾は装てんされていないという。沿道では、訓練に反対する団体などによる抗議活動が繰り広げられた。陸自は「テロや災害派遣に備える意味でも市街地の行進訓練は意義がある」としている。】
　　
　写真には、沿道でプラカードや横断幕で抗議する人たちの姿が見える。が、この訓練の何が悪いのか、抗議するほどのことなのかと思う。街中で銃をぶっ放すわけでもなく、住民に被害を及ぼすような危険な訓練でもない。いつ、どこで、テロや災害が起こるか分からない昨今、山中や野っ原だけでなく都会のど真ん中での訓練も必要であろう。　　　　　　　

　昨今の自衛隊は、自然災害や大きな事故が発生すると、自治体の要請により出動し、市民生活を守るのが任務のようになっている。あの３.１１の大震災でも、どれだけ自衛隊に助けられただろうか。泥まみれになりながら不眠不休で危険な作業に当たってくれた。困難な遺体収容作業にも尽力してくれた。いわゆる「きつい、汚い、危険」の３Ｋ作業でも厭わずやってくれるのは自衛隊しかない。あの大震災の活躍には、多くの人が感謝と賞賛の拍手を送ったではないか。　　　
　今回の訓練は３日間にわたる過酷な訓練だったと聞く。厳しい訓練に耐えた隊員たちは、きっと達成感に胸を張りたい気分だったろう。沿道には暖かい声援で迎えた人たちもいたというが、これしきのことに過剰反応をして、抗議行動に走る人たちが私には理解できない。

　今年も梅雨の時期がやってきた。毎年、あちこちで豪雨による被害が発生するが、倒壊した家屋の処理、飲料水や食料の供給など、住民の生活を守ってくれるのは自衛隊である。自衛隊の存在が我々の生活に不利益をもたらしたことがあるだろうか。必要なときには自衛隊に頼り、それを当たり前のように考える。そして勝手なときは排除しようとする。そういう身勝手さは恥ずべきことである。　

　私は２年前までは岡山県北に住んでいたが、隣町の奈義町には「陸上自衛隊日本原駐屯地」がある。広大な原野には演習場があり、これまで何度か大規模な日米合同演習が行われた。最近は近隣の住民感情に配慮してか、大掛かりな移動は夜半に行われるようだが、昔は、隊員が分乗したトラックや戦車が列をなして国道を走るのを何度も目にしている。
　毎度のことだが、演習が始まると、どこからともなくプラカードや横断幕、拡声器を持った集団が現れ、抗議行動を起こす。マスコミはこの人たちを市民団体というが、この中に地元住人はほとんどいないのが実情である。というのも、原発が立地する市町村が交付金に頼っているのと同じで、この奈義町も自衛隊駐屯地のおかげで町財政が潤い、隊員たちの落とす金は商売人の生活を支えているからである。
　基地問題で揺れる沖縄でもそうだが、ことあるごとに市民団体と称する人たちの抗議行動がニュースになる。が、ここでも米軍基地絡みで生計を立てている人も少なくないし、地元住民の関心はマスコミが騒ぐほど高くはないという。したがって、参加者も地元住民より他県からやってくる人たちの方が多いとも聞く。　　　

　ちなみに、市民団体とは、公益的活動を行う民間の非営利団体の別称であり、市民活動とは、政治についての知識をある程度身に着けている者、若しくは初心者が、問題意識を持って政治などについて議論や集会などの活動を行うものであるという。しかし、本当に自分の信念に基づいて参加する人ばかりではなく、何らかの利益誘導を目的とする人たちに扇動され、その気になって参加する人も少なくないようである。
　私の偏見だろうか、市民団体と聞くと、なにやら思想的な偏りがあるように思えてならない。実際に自分たちの生活が脅かされるようであれば抗議行動もありだが、何の関係もないのに首をつっこんで住民を扇動し、騒ぎを大きくさせることが目的の「プロ市民団体」もあると聞く。