ババは少々ムカついている。3年4カ月ぶりに解放されたフリージャーナリストの安田純平さんの発言についてである。
彼は拘束前、日本政府を批判する発言をツイッター上で展開し、そしてシリアへも反対を押し切って入国、武装勢力に拘束された。彼は過去にも複数回人質として拘束され、開放されたという経験があるそうだ。だから、今回も高をくくっていたのではないか。
そして武装勢力からの指示か、本人の意思かは知らないが、彼は救出を訴えた。そのため日本政府はさまざまな外交ルートを駆使して救出に当たった。聞くところによれば、カタールが身代金300万ドル(約3億3700万円)を支払ったことが解放の決め手になったとも言われている。どういう経緯であっても無事に解放されたのはよかったと思う。
しかし彼は、機内での記者会見で「あたかも日本政府が何か動いて解放されたかのように思う人がおそらくいるんじゃないか。それだけは避けたかったので、ああいう形の解放のされ方というのは望まない解放のされ方だった」と語った。なんとい言い草だろう!
不本意な解放のされ方であっても、日本政府やカタールの協力があってこそ命を救われたのである。だとしたら彼はまず、迷惑や心配を掛けたことへの謝罪と感謝の気持ちを述べるべきだった。それが人としての道理だと思うし、謙虚に反省する態度を示していれば、こうまで批判されることはなかっただろう。日本人は謙虚な人が好きなのである。
そんな折、テレ朝の情報番組で解説委員の玉川徹さんが「安田さんを英雄として迎えるべきだ」と述べた。それが火に油を注ぐ結果となって、バッシングは激しさを増した。
私もあの言葉にはびっくり。彼が危険なところへ行って人の命を救ったとか、有益な情報を得て帰って来たというのならともかく、武装勢力に3年4ヶ月も拘束され、挙句の果ては日本政府やカタールに迷惑を掛けて解放され帰国した、ただそれだけのことだろう。それで英雄視されるのなら、フリージャーナリストはみんな行きたがるよ。だって知名度が上がること間違いなしだもんネ
一方、たけしさんは「フリージャーナリストっていうのは現地へ行って記事を書いて、それを出版社に売って儲けるわけでしょ? 戦場カメラマンと同じで、危険を冒してもいい写真を撮りたいわけじゃん。仕事のために危険を冒すのはリスクだから、それに政府がお金を出したのかどうかはわからないけど…どうなんだろうね」と語ったそうだ。私もそう思う。
1日、テレ朝の番組で橋下徹さんと玉川さんが議論を交わす場があった。橋下さんは、「理由や経緯はどうであれ、政府には、どんな状況にある国民も助ける責任がある。安田さんはそれを踏まえて、帰国時に『すみません。ご迷惑をおかけしました』という一言は絶対必要だった。そうすればみんな『生きて帰れてよかったね』と、ごく普通に迎えてくれたのではないか」と言った。まさに正論である。
一時期からアンチ橋下になっていた私だが、今回ばかりは橋下さんの意見に賛成。彼の歯に衣着せぬ物言いで、時に不快に思うこともあるが、さすが弁護士! いつもは弁舌巧みな玉川さんも叶わなかったようだ。
でもこの論戦に決着をつけたのは、高木さんの「情報がはっきりしないうちに玉川さんが断定的に言ったのがこの流れを生み出した」という「フライング」発言だった。ああいう論戦はいい、面白かったよ。
最近コメンテーターって何物?という批判もありますね。
こういう事件が起きるたびに「自己責任論」が沸き起こります。本人は自己責任だ、何が起きても自業自得といいますが、かといって日本政府は放っておくわけにはいかないのです。
また私たちはそれほど微細な情報を求めているわけではありません。だれにも迷惑を掛けないように慎重に行動し、得られた情報で十分です。
玉川さんは解説委員だそうですが、今回はちょっと…。