円安・株高で明けた年初、私も少し恩恵にあずかって「こいつは春から縁起がいいやあー」と喜んでいた。が、松が明けるやいなや、桜宮高校の体罰問題、アルジェリア人質事件、公務員の退職金減額問題などと、私の正月ボケも吹っ飛んだ年の始まりであった。
安倍政権の本格始動直後に発生したアルジェリア人質事件は、死者10人という最悪の結果となったが、その対応に対する評価は63.3%と良好。また、安倍内閣支持率は66.7%と上昇、世論調査による評価はおおむね良好で、安倍政権に大きな期待を抱いていることが分かる。
ところで、教職員の「駆け込み退職」の話だが、そもそも、国家公務員の退職金減額は、昨年11月16日に自民・公明・民主が衆院解散当日のどさくさに、まともな審議もせず強行可決した法令で、総務省は地方公務員も国と同様に減額するよう自治体に対して要請。それにより自治体の条例改正で退職金が引き下げられることになったのである。そうなると、退職金の減額を避けようと定年を待たずに年度途中で学校を辞める教職員や警察官が増大、埼玉県を皮切りに、今や教職員の「駆け込み退職」は全国に広がっているという。
埼玉県を例に取ると、退職手当は14年8月までに段階的に引き下げられ、平均で現行の約2700万円から約400万円が減額されるという。今年度の定年退職者(勤続35年以上、月給約40万円)が3月末まで勤める場合、退職金は約150万円の減額となる。が、定年を待たず1月末で退職すれば、2〜3月分の月給約80万円を差し引いても約70万円多くもらえる。一方、3月末まで勤めるとしたら、2ヶ月分の給与80万円を受け取っても約70万円の減額となる。
70万円多くもらうか、70万円損するか、どちらを選択するかは個々の教師の矜持の問題だろう。が、人間だれしもお金には弱いもので、サラリーマン教師ならなおさらのこと、2ヶ月早く辞めても70万円多くもらえるなら早期退職を選択するに決まっている。しかし、一旦は早期退職を申し出ながら、児童・生徒への責任感から3月末まで勤務すると決めた教師もいるという。毎年1~3月は特に忙しく、普通の感覚を持つ先生ならどんな理由があっても辞めない、そういう良識ある教師でも気持ちは相当揺れたであろう。
音声だけのインタビューで「これからは年金生活なので…」と言い訳した教師がいたが、教職員の共済年金は、一般の厚生年金のモデルとされる夫婦で23万円超は、共済年金では教師1人分の金額に相当すると聞いている。それに退職金が2千万円を超えるのは大企業の役職についている人くらいだろう。「金が敵の世の中」だが、教師も「聖職」ではなくなったということか。
早期退職を選んだ教職員を責めるつもりはないが、それでも問うてみたい。35年以上の教師生活を損得勘定で選択したことに後ろめたさは感じないか。「児童・生徒への愛情や責任よりお金を選んだ教師」という烙印を押され、教え子たちの記憶に残ることになっても平気でいられるか。これから同窓会があってもお呼びがあるだろうか。道で教え子に会ったとき何のわだかまりもなく声が掛けられるか、また、生徒の方から声を掛けてくれるだろうか。同僚や周囲からねぎらいの言葉や拍手で送られ胸を張って退職する幸せ、教師の誇りを、2千何百万円のうちのたった70万円と引き換えにして悔いはないか。私が当事者として考えると、70万円より35年間の教員生活に誇りをもち、これからの人生を堂々と生きてゆきたい、そう思う。
わが岡山県は当初、3月末の退職者から減額を適用する方針だったが、埼玉県などで早期退職の希望者が相次ぎ混乱が出ていることから、実施を4月からにする方針に転換した。県職労や県教組などとの交渉で方針転換を説明し合意。県は条例改正案を2月開会予定の県議会定例会に提出するという。各自治体も県条例を改正して4月からとしていれば、これほど混乱することもなかったろう。何でもかんでも杓子定規にやろうとする行政の責任は大きい。
この体たらく。70万円は痛いですが、長い教員生活で最後に汚点を残して「契約先生」ですか。
施行する自治体も事前に予想出来る事なのに、無為無策
ばかりで困りますね。
教師も今はサラリーマンの1人、我々の頃の教師像とは全く違いますね。
今でも記憶に残る教師が2人います。いたずらをすると、おでこを指ではじく体罰をした小学校の先生。また家に遊びに行ったり、仲間のような感覚で接してくれた中学校教師、どちらもすごく好きでしたね。60年近くたっても顔も名前も忘れていません。
サラリーマン教師になってしまったのはいつ頃からでしょうか。今の子ども達はかわいそうですね。