
35年くらい前、仕事の打ち合わせの場で、当時シンガーソングライターとしてブレイクし始めていた大江千里さんの手書き生原稿を目にする機会があった。
字がうまい! 真面目くさった達筆とは違う、デザイン畑の人が書くような、絵ゴコロを感じる読みやすい字。実際、端っこの署名の下には自身の似顔絵イラストまで。
直感した。この人って、ものすごく器用で多才な人なんだろうなぁ。。。
デザイン関係はもちろん、雑誌の編集者とかも向いてそう。ファッションやアパレル分野でも成功するような…?
直後に、やはり仕事の流れでライブも見た。たしか渋公。歌の合間のMCの面白おかしく軽妙なこと。落語家みたい。
時は過ぎ、20年ほど前、大江さんの住居遍歴を綴った本を読んだ。これがまたグイグイ読ませてくれる、笑わせてくれる。文才炸裂。今後も新刊が出たら必ず読まなくちゃ!
と思ったわりには、その後2冊出版されていたのを知らず、遅ればせながら最新刊(といっても2018年刊)を読みました。
一編一編にジャズナンバーのタイトルがついたエッセイ集。相変わらず言葉のセンスがハンパない。一言一句が絵を見せてくれる。ニューヨークに行ったこともない自分にも、ニューヨークの情景が浮かぶって、どゆこっちゃ?笑。ユーモアとペーソスの塩梅も絶妙で、短編小説のような味わいもある。
日本での華々しいキャリアを捨てNYに渡り、今やジャズの本場でも認められるジャズマンに。
「器用で多才」なんて言葉じゃ追いつかないほど、才人は進化を続けている。
順番が逆になったけど、前作エッセイ集も読まなくちゃ!