原卓也訳 (東京創元社)
《収録作品》
深夜の幻影(ミハイル・アルツィバーシェフ)/犠牲(アレクセイ・レミゾフ)/妖女ヴィイ (ニコライ・ゴーゴリ)/黒衣の僧(アントン・チェーホフ)/カリオストロ(アレクセイ・トルストイ)
《この一文》
” 「おまえは知りたいというのか?」何者かの声がたずねた。その声は四方八方から響いてくるように思われた。「だが、深い知識は悲しみを増すものだぞ。悲しみは賢人の受けねばならぬ定めなのだ!」
「わかっている……知りたいんだ!」歓喜にふるえる人間の声が必死に答えた。
--「深夜の幻影」より ”
”が、不意に彼女は赤くなった。「あなたをお見かけしたとたんに、心があたくしに囁きましたのよ、幸せになれって……」
--「カリオストロ」より ”
さて、ロシア編の「ヴィイ」と「黒衣の僧」はそれを目当てにこの本を買ったくらいですから、文句なく面白いです。しかし、その他の短篇も、まったくハズレなしでした。面白い!
収められた5編は、いずれも、主人公は正気と狂気のはざまをかけぬけています。私はそういうのが好きなので、どうにもたまりません。なぜこんなにも面白いのでしょうか。
アルツィバーシェフは青空文庫でもなにか読んだことがあると記憶していますが、内容はすっかり忘れてしまったので、あらためて読み直そうっと。
アレクセイ・トルストイの「カリオストロ」は滅茶苦茶に楽しめました(ちなみにロシアにはトルストイという作家が幾人もいるようで、このアレクセイさんは、A.N.トルストイであるらしい。他にA.K.トルストイ(河出文庫『ロシア怪談集』所収の「吸血鬼の家族」はこの人かしら?)や、レフ・トルストイ(一般的にトルストイというのはこの人)もいる。複雑です、ややこしいです)。それにしても、この「カリオストロ」はなんという面白さ。ロマンチックだし、それでいて気色悪いし。ああ、この人の作品はほかのも読んでみたいと思って、さっそく『ロシア・ソヴィエトSF傑作集』も注文してしまいました。「五人同盟」というのが読めるらしい。わくわく。
そんな感じで、期待を上回る品揃えのこの『怪奇小説傑作集5』は、買って良かった。さあ、4巻の「フランス編」も読むぞー!
《収録作品》
深夜の幻影(ミハイル・アルツィバーシェフ)/犠牲(アレクセイ・レミゾフ)/妖女ヴィイ (ニコライ・ゴーゴリ)/黒衣の僧(アントン・チェーホフ)/カリオストロ(アレクセイ・トルストイ)
《この一文》
” 「おまえは知りたいというのか?」何者かの声がたずねた。その声は四方八方から響いてくるように思われた。「だが、深い知識は悲しみを増すものだぞ。悲しみは賢人の受けねばならぬ定めなのだ!」
「わかっている……知りたいんだ!」歓喜にふるえる人間の声が必死に答えた。
--「深夜の幻影」より ”
”が、不意に彼女は赤くなった。「あなたをお見かけしたとたんに、心があたくしに囁きましたのよ、幸せになれって……」
--「カリオストロ」より ”
さて、ロシア編の「ヴィイ」と「黒衣の僧」はそれを目当てにこの本を買ったくらいですから、文句なく面白いです。しかし、その他の短篇も、まったくハズレなしでした。面白い!
収められた5編は、いずれも、主人公は正気と狂気のはざまをかけぬけています。私はそういうのが好きなので、どうにもたまりません。なぜこんなにも面白いのでしょうか。
アルツィバーシェフは青空文庫でもなにか読んだことがあると記憶していますが、内容はすっかり忘れてしまったので、あらためて読み直そうっと。
アレクセイ・トルストイの「カリオストロ」は滅茶苦茶に楽しめました(ちなみにロシアにはトルストイという作家が幾人もいるようで、このアレクセイさんは、A.N.トルストイであるらしい。他にA.K.トルストイ(河出文庫『ロシア怪談集』所収の「吸血鬼の家族」はこの人かしら?)や、レフ・トルストイ(一般的にトルストイというのはこの人)もいる。複雑です、ややこしいです)。それにしても、この「カリオストロ」はなんという面白さ。ロマンチックだし、それでいて気色悪いし。ああ、この人の作品はほかのも読んでみたいと思って、さっそく『ロシア・ソヴィエトSF傑作集』も注文してしまいました。「五人同盟」というのが読めるらしい。わくわく。
そんな感じで、期待を上回る品揃えのこの『怪奇小説傑作集5』は、買って良かった。さあ、4巻の「フランス編」も読むぞー!