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映画『ハゲタカ』

2010年08月11日 | 映像

2009年


《あらすじ》
あれから4年……世界金融危機前夜。
混迷する現代日本に、赤いハゲタカが舞い降りた!

かつて瀕死の日本企業を次々と買い叩きながらも、日本のマーケットに絶望した鷲津(大森南朋)。海外生活を送っていた彼の元へ、大手自動車メーカー「アカマ自動車」を、中国系巨大ファンドによる買収危機から救ってほしいと、かつての盟友・芝野(柴田恭兵)が頼みに訪れる。名門「アカマ」の前に突然現われたのは、赤いハゲタカこと劉一華(玉山鉄二)。巨額の資金を背景に鷲津を圧倒し続ける劉。彼の本当の狙いとは何か? 世界金融危機前夜に幕を開けたハゲタカVS赤いハゲタカの壮絶なる買収戦争。「日本が中国に買い叩かれる!?」という未曾有の危機に、鷲津はどう立ち向かうのか?


《この一言》

“ 地獄だね、日本は。なまぬるい地獄だ。”







日本はいつからこんな修羅の国になってしまったんだーーッ!
アアーーッ!



さて、土曜ドラマの『ハゲタカ』があまりに面白かったので、劇場版のほうも観てみました。

私の正直な感想としては、やはりドラマ版の方が面白かったかなーというところです。映画の方は新しい状況と登場人物が出てくるにもかかわらず、ドラマのシナリオをちょっとだけ構造を変えて焼き直してみた、というふうにしか感じられませんでした。そこは残念。というか、芝野さんにもっと活躍してほしかった!!!(ToT)今回も心を打つような、ものすごく良いことは言ってたけど! もうちょっと!!

まあ、2時間ほどでまとめなければならないという制約がありますから、ある程度急ぎ足で断片的になってしまうのは仕方がないのかもしれません。

しかし、じっくり観ればもちろん映画版の方にも興味深いところは多々あります。今回も問題提起が多くなされていますしね。後味のスッキリしなさ加減は健在です。優れた社会派ドラマといえましょう。今回は中国という国の不可思議さから生じるサスペンス要素も加わったり、その中華系ハゲタカを演じる玉山くんは恐ろしく格好いいし、見所もたくさんありましたしね。面白かったです。

でもやっぱ、劉さんのあの最後の場面はナイよなー。いつから日本はあんな修羅の国になってしまったんだ。たしかに物騒なニュースは飽きるほど耳に飛び込んではきますが……。ただ、「ああなったら、おしまいだ」というメッセージとしては成功している場面だったのかもしれません。金(カネ)さえ手に入ればいい。金さえ持っていれば、あとは何でもいい。手っ取り早く金が手に入るなら、何だってやる――。金に対して、人間はどのように振る舞うべきかを問われますね。恐ろしいですね。


 誰かが言った。
 人生の悲劇はふたつしかない。
 ひとつは、金のない悲劇。
 そしてもうひとつは、金のある悲劇。


ドラマ版、映画版を通して、一連のドラマは、こんな言葉から始まる素晴らしい作品でした。
「金だけがすべてではない!」なんていう人もいるかもしれませんが、「金がなければ話にならない」という現実が、ここに、確固としてあらわれてしまっている以上、人は金とどう付き合うかを考えていかなければならないのかもしれません。金なしで、かつ人間らしく生きていこうとするには、ひとりの人間は今はまだあまりにも弱すぎるでしょうから(人間らしく、というのをどのように考えるかもまた重大な問題ですが)。
同時に、金というものに、血と肉を、魂を、夢と希望を、金にそういうものを込めることは可能なのか。もし可能なら、もうすこしこの社会は多くの人にとって過ごしやすいものになるだろうか。


そういうことについて考えさせられるドラマでした。まだまだ考えたいことはありますが、とりあえず私は満足です!!
たまにはこういう骨のあるドラマもいいもんですね。




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