竹宮恵子(白泉社)
《内容》
美形でクールな女殺し、あの姫(ひめ)クンが地下鉄のホームから、突然、つき落された……!! いくら反逆児の姫クンでも、通りすがりに殺されちゃたまらない。表題作の他「ザ・Shy-ing」「姫くずし」など6編を同時収録。シャイでコミカルな、姫クンの魅力あふれる作品群。
あまりにすごいタイトルなので、田舎のブックオフで目に入った瞬間に買いました。表題作だけでなく他の作品のタイトルもすごい。「ごめんね今夜は(グンナイ)」とか。竹宮先生ったらタイトルセンスが光り過ぎ……☆ それともこの時代はそういう時代だったんですかねー。
さて、この漫画はタイトルもすごいのですが、内容もすごかったです。姫川くんという超絶美形の高校生が主人公。父親は政界の大物、母親はその愛人で、姫川くんは「自分を生み出したことに対する慰謝料」を両親から得て、青山のマンションに一人暮らし。女の子にはモテモテ。時には男にもモテてしまうという、とにかく目立って目立って仕方がない男の子です。
まあ、女のように美しく、知性も飛び抜けている超人的な男の子という設定自体はそんなに珍しくもないのですが、物語のそれぞれがそれぞれに面白く描かれているあたりはさすがに竹宮恵子という感じがしました。年上の女性への憧れがあり、同性愛へのニアミスがあり、見知らぬ人間から殺されかかるサスペンスあり、禁じられた淡い恋があり、複雑な友情の物語があり、と盛りだくさんです。短い物語のひとつひとつに、魅力が溢れています。すごい!
収録されている作品はすべて昭和50年代のものばかりなので、今となっては時代を感じさせますが、主人公の姫川くんの服装はなるほど古いものの、物腰や姿形自体は現代の私が見てもやっぱり美しい。美形っていいものですね! 時代を超えますね!
同じく竹宮先生の不朽の名作『風と木の詩』とかも凄かったですし。ジルベールの美しさは異常。あれももう一度読み返したいけど、凹むんだよなぁ。
昔の漫画も面白い。
ちょっと京都の漫画ミュージアムでも行って読み漁ってこようかしら……。