”SOLITUDE CREEK”
ジェフリー・ディーヴァー 「扇動者」 ”Solitude Creek”
池田真紀子訳 文芸春秋
発売日:2016年10月14日
ジェフリー・ディーバ―著のキャサリン・ダンス シリーズ4作目です。
好みから言えば、リンカーン・ライム シリーズの方が好きなのですが、やはり全部読んで
いたジェフリー・ディーバ―ですから外す事は出来ません。
リンカーン・ライムは微細な証拠をしらみつぶしにして行く、正に”藁の中から針を探す”様な
捜査方法であるので読んでいて気が抜けない面もあるが キャサリン・ダンスは「人間ウソ発
見器」と言われるように キネシクス(行動心理学)を用いた取り調べ方で前者に比べればや
や気を抜いて 或は気楽に読むことが出来ます。
リンカーン・ライムシリーズの登場人物は皆キャラクターがかなり濃いのに対し、キャサリン
シリーズはやや薄い感じもするのです(私見)
ただ、ジェフリー・ディーバ―と言えば二転三転の大どんでん返しを展開するのが必至なので、
今回も展開には注意して読まなければなりません。
原題の”Solitude Creek” 訳せば「孤独な入り江」といった意味になりますが、地名でもあり、
最初に事件が起きるライブハウスの名前にもなっています。ただこれだけではなく作中に述
べられている別の事柄にも関連がある様ですね。
この”Solitude Creek” をそのまま日本語に訳したタイトルではなく『扇動者』とした意図が
理解できます。
この作品では冒頭からいきなりキャサリン・ダンスがミスをして容疑者を取り逃がしてしま
い その結果民事部に異動させられ拳銃も取り上げられてしまうのです。
その為事件には直接加われないものの手を尽くし、周囲の協力を得ながら事件を調査してい
きます。
ライブハウスでの火災事件を発端にいくつかの事件が交錯しながら描かれますが それぞれ
がどの様に関連して進んでいくのか・・・・
今回はキャサリン・ダンスの特性であるキネシクスはあまり顕著に見られないもののそれと
は別に彼女のプライベートな生活 -シングルマザーとして難しい年ごろの2人の子供に関す
る悩み、又2人の男性の間で揺れ動く女性としての悩み等が描かれています。
こういった描き方でリンカーン・ライムシリーズとの書き分けをしているのかな、と感じます。
今回のストーリーで何より怖ろしいのは、『パニック』 : 犯人が仕掛けた小さなきっかけ
を元に閉鎖された空間にいる大勢の人々の不安を煽り立て、その結果恐怖から理性を失い暴走
する集団の恐ろしさ。 周りが見えなくなり逃げ惑う人間達は まるでレミングやヌーの群れ
を思い出させられました。 この種のパニックは何処にでも有り得る事ではないかという怖ろ
しさを感じます。
この『パニック』を武器とする犯罪者の物語が主軸になりますが色々な伏線を張り巡らされ、
そして最後に2つの大きなどんでん返し。
あ~そういうことだったのね! と思わされる結末になっていました。
そして 途中にあちこち伏線が散りばめられていた事に気付くのです。
もう一度読み直して細部を確認したくなる事必至ですね。
中盤中だるみがあったものの 後半から終盤にかけての盛り上がりは再度集中して読み進め
られるし 帯に「読者に背負い投げを食わせる」とある様に、正に”ディーバ―”です。
今回の作品中、内容とは直接関係ないのですが 個人的に一番のツボ入りは、
冒頭 オークランドの麻薬取締局のベテラン捜査官であるキャロル・アラ―トンのキャサリン
ダンスがボディーランゲージを読めることに関して述べられている言葉
↓
『まるでシャーロック・ホームズみたい。 あのイギリスのドラマ、すごく面白いわ。ほら、変わった
名前の俳優がホームズを演じてるドラマです。カマーバンドとか、何かそんな名前の俳優』
(文中そのまま引用)
これを読んで、ヒエ~~!!”カマーバンド ”ですって? Cumberbatch! カンバーバッチですよ!
お願いしますよ、キャロルさん。
と1人でひっくり返りながら叫びました。
まさかジェフリー・ディーバ―がシャーロックに触れて下るとは思いもしなかったのでかなり感動
しましたデス。
有難う、ディーバーさん!(名前違ってたけどね)
本文とは関係ない部分に一番嵌ってしまって申し訳ありません、ディーバ―さん(ちゃんと名前言って
もらえなかったけどね)←まだ言ってる。
好みは分かれるかも知れませんが、やはり個人的にはリンカーンシリーズの方が好きです。
次の作品を楽しみに待ちたいと思っています。
ジェフリー・ディーヴァー 「扇動者」 ”Solitude Creek”
池田真紀子訳 文芸春秋
発売日:2016年10月14日
ジェフリー・ディーバ―著のキャサリン・ダンス シリーズ4作目です。
好みから言えば、リンカーン・ライム シリーズの方が好きなのですが、やはり全部読んで
いたジェフリー・ディーバ―ですから外す事は出来ません。
リンカーン・ライムは微細な証拠をしらみつぶしにして行く、正に”藁の中から針を探す”様な
捜査方法であるので読んでいて気が抜けない面もあるが キャサリン・ダンスは「人間ウソ発
見器」と言われるように キネシクス(行動心理学)を用いた取り調べ方で前者に比べればや
や気を抜いて 或は気楽に読むことが出来ます。
リンカーン・ライムシリーズの登場人物は皆キャラクターがかなり濃いのに対し、キャサリン
シリーズはやや薄い感じもするのです(私見)
ただ、ジェフリー・ディーバ―と言えば二転三転の大どんでん返しを展開するのが必至なので、
今回も展開には注意して読まなければなりません。
原題の”Solitude Creek” 訳せば「孤独な入り江」といった意味になりますが、地名でもあり、
最初に事件が起きるライブハウスの名前にもなっています。ただこれだけではなく作中に述
べられている別の事柄にも関連がある様ですね。
この”Solitude Creek” をそのまま日本語に訳したタイトルではなく『扇動者』とした意図が
理解できます。
この作品では冒頭からいきなりキャサリン・ダンスがミスをして容疑者を取り逃がしてしま
い その結果民事部に異動させられ拳銃も取り上げられてしまうのです。
その為事件には直接加われないものの手を尽くし、周囲の協力を得ながら事件を調査してい
きます。
ライブハウスでの火災事件を発端にいくつかの事件が交錯しながら描かれますが それぞれ
がどの様に関連して進んでいくのか・・・・
今回はキャサリン・ダンスの特性であるキネシクスはあまり顕著に見られないもののそれと
は別に彼女のプライベートな生活 -シングルマザーとして難しい年ごろの2人の子供に関す
る悩み、又2人の男性の間で揺れ動く女性としての悩み等が描かれています。
こういった描き方でリンカーン・ライムシリーズとの書き分けをしているのかな、と感じます。
今回のストーリーで何より怖ろしいのは、『パニック』 : 犯人が仕掛けた小さなきっかけ
を元に閉鎖された空間にいる大勢の人々の不安を煽り立て、その結果恐怖から理性を失い暴走
する集団の恐ろしさ。 周りが見えなくなり逃げ惑う人間達は まるでレミングやヌーの群れ
を思い出させられました。 この種のパニックは何処にでも有り得る事ではないかという怖ろ
しさを感じます。
この『パニック』を武器とする犯罪者の物語が主軸になりますが色々な伏線を張り巡らされ、
そして最後に2つの大きなどんでん返し。
あ~そういうことだったのね! と思わされる結末になっていました。
そして 途中にあちこち伏線が散りばめられていた事に気付くのです。
もう一度読み直して細部を確認したくなる事必至ですね。
中盤中だるみがあったものの 後半から終盤にかけての盛り上がりは再度集中して読み進め
られるし 帯に「読者に背負い投げを食わせる」とある様に、正に”ディーバ―”です。
今回の作品中、内容とは直接関係ないのですが 個人的に一番のツボ入りは、
冒頭 オークランドの麻薬取締局のベテラン捜査官であるキャロル・アラ―トンのキャサリン
ダンスがボディーランゲージを読めることに関して述べられている言葉
↓
『まるでシャーロック・ホームズみたい。 あのイギリスのドラマ、すごく面白いわ。ほら、変わった
名前の俳優がホームズを演じてるドラマです。カマーバンドとか、何かそんな名前の俳優』
(文中そのまま引用)
これを読んで、ヒエ~~!!”カマーバンド ”ですって? Cumberbatch! カンバーバッチですよ!
お願いしますよ、キャロルさん。
と1人でひっくり返りながら叫びました。
まさかジェフリー・ディーバ―がシャーロックに触れて下るとは思いもしなかったのでかなり感動
しましたデス。
有難う、ディーバーさん!(名前違ってたけどね)
本文とは関係ない部分に一番嵌ってしまって申し訳ありません、ディーバ―さん(ちゃんと名前言って
もらえなかったけどね)←まだ言ってる。
好みは分かれるかも知れませんが、やはり個人的にはリンカーンシリーズの方が好きです。
次の作品を楽しみに待ちたいと思っています。