田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

玉藻と翔太の恋5  麻屋与志夫

2010-04-18 09:01:18 | Weblog
part13 玉藻と翔太の恋5 栃木芙蓉高校文芸部(小説)


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「一番ハイランクの九尾の術のひとつなの。
体内からプラズマを放電して周囲に狐火の結界をはる。
でもね、この術をつかうと寿命が確実に百年は縮まるというのよ」
「お九さんはそんなすごい技をもっていたの?」
「感心している場合でないシ。
身の危険に陥ったときでないと使わない技なの」
なにがGにおきたのだろう。
龍之介は不安で身体がふるえてきた。
敵に襲われてもひるむようなGではない。
龍之介は山の斜面を走りだした。
いまいくからG、
どうしたの?
敵は浮遊霊なのか!!
Gが負けるわけがない。
甲源一刀流免許皆伝。
幼くして鬼神をもしのぐ太刀筋を約束されたGが、
いまは老いたりといえども、
まいにち鍛錬を欠かさないGが後れをとるわけがない。
書に明け暮れる生活をしていても密かに素振りをくりかえしている。
そのGの剣士としての技はどうなっているのだ。
みえた。
狐火のともるサークルの外側に浮遊霊が分厚い層をなして群れている。
そして下野高の黒い制服の軍団が、
得物をひっさげて、
狐火の結界に挑んでいる。
サークルのなかに飛びこんだ黒服がバチッとショートした。
青白い焔が学生服の袖からたちのぼっている。
それでも無事だ。
白刃をきらめかせてGにきりつける。
Gの剣が男の腕をしたから切り上げた。
ウギャアと絶叫が上がる。
白刃を持った腕がどさっと大地におちた。

「つぎ」

Gが気合いをかける。
足もとには下野軍団の猛者たちの腕がつみかさなっている。
Gの背後にお九さんがよこたわっている。

「おう、龍之介か。よく来た!!!」
「玉藻さんしっかりして」
文子が玉藻を引き起こした。
「油断した。
九尾族の生き残りのものに声をかけられたと思い、
油断した、すきに」
「噛まれたのね???」



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