田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

木枯らしの街をあるく。 麻屋与志夫

2015-11-08 11:59:18 | ブログ
11月8日 日曜日

●雨の日曜日。
初冬の雨が静かに降っている。
晩秋から初冬にかけて降る雨はいつも閑静なきぶんにしてくれる。
木々は葉をおとす。
渇水期にはいるので、川の流れも細々となってくる。
川床がみえるようになる。
豪雨のときの、洪水の爪痕はそのままだ。
河川敷を散歩する楽しみはとうぶんお預けだろう。

●「せせらぎ公園」を流れる「木島掘り」は枯山水のようになっている。
水は流れていない。
川床が干上がっている。
あまり見慣れない土砂が底にたまっていた。
茶色っぽいさらさらした砂だ。
上流の山腹から流れ落ちてきたので茶色味をおびているのだ。

●木枯らしの中、買い物にでかけた。
安喜亭の前を老婆があるいていた。
腰が曲がり足もO脚に曲がってしまい、
あるくのがとても難儀の様子だった。
カミさんがその老婆を追い越すときに驚いたように「あら――」と声をかけた。
同級生だった。
病気をしたので、と声だけは元気に老婆が応えている。
「あるくことをすすめられているの」

●すたすたあるいて、
老婆から遠ざかることがはばかられた。
ゆっくりとあるき、
曲がらなくてもいいところで右折した。
遠回りすることになるが、
あまりにも落差がはげしすぎる歩調を、
元気なわたしたちをみせるのには忍びなかった。

●この歳になると、病におかされた友人が多くなる。
健康でいることのありがたみを、
カミさんとしみじみとあじわいながら、
木枯らしの街をあるきつづけた。

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