田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

詩10 あなたに〈美智子〉さん 麻屋与志夫

2023-04-20 15:25:06 | 
詩10 あなたに〈美智子〉さん

象のように 巨大でないから

やさしい象の目をしていないから

ぼくは 象にはかなわないから

あなたの髪で故郷につなぎとめられた

というのは ぼくの詭弁だ

あなたの豊旗雲の黒髪は でも

あなたの華奢で 大きな存在は

あなたの好きな切り子細工のグラスの

空にすかすと 刻々とかわる光の波動

のように

歳月が変転したが

あなたと過ごした時は

黒髪につながれた

象でない 象である

ぼくには

楽しいものでした

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