田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

詩5  いまは黄泉の国にいるともだちに 麻屋与志夫

2023-04-19 09:07:06 | 
詩5   いまは黄泉の国にいるともだちに

ことしも葉桜の季節になった
どうして花をみずに葉をみにくるのだろう
花が咲くころは華やかすぎてきらいだ
人ごみのなかで花など見上げてたのしくなるなんておかしなことだ
いつもきみたちと会っていたのはここだ
千手山公園の天辺のベンチ
葉桜の下で故郷の街を見下して青春の夢を語り合った
政治家に、なりたかったきみ
お金もちになりたかったきみ
女の子にモテタクテいたきみ
演劇にうちこみたかったきみ
絵かきに、なりたかったきみ
小学校の先生になりたかったきみ
成功したものも挫折したものも
いまはみんな泉下のひと
さびしいよ さびしいよ
桜の葉をみあげながらいまぼくは言の葉をつむいでいる
いつになっても完成しない小説をかいている
いちばんひ弱だったぼくが長生きして
こうして言の葉を茂らせているなんて
不公平だよな
過去った遠い盛夏のアブラゼミの鳴き声
でも でもいますこし猶予をくれ
ぼくらの生きた
この街でのぼくらの青春を
ぼくがきみらとのことを書きとめるまで
いますこしそこでまっていてくれ
そのうち会いにいくから

2017,4

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