日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
http://onimimicola.jimdofree.com

◎本日の想像話「秘密の共有」

2017年02月27日 | ◎これまでの「OM君」
アキヒロは最近はまっているネットのオークションサイトをチェックしていた。
自分の足で探すよりも効率よく、しかも安く入手できるところがアキヒロは大好きだった。

出品物が目に留まった。
自分の目を疑う。

出品物:「アキヒロの秘密」
(落札者以外には秘密厳守いたします)
現在入札額:10000円
新手の詐欺かなにかなのか?
気にはなったが、放置する事にした。


次の日、会社のデスクで書類を書いていると、後輩のユキオが話しかけてきた。
なんだか上機嫌だ。
「先輩、おはようございます。またパチンコに勝っちゃったんですよ。だからこれ思い切って買ったんです」
ずいっと腕を差し出した。
そこには王冠の印が燦然と輝く銀色の機械式時計がはまっていた。
「おまえこれ高かっただろう」
「ええ、まあ、でもパチンコに勝ったんで…」
2回同じことをユキオが言った。
とても一回パチンコに勝っただけで買える金額ではない。
金使いが荒いとは前々から感じていたが、この会社の安月給でやっていけるのかとこっちが心配になる。

その日の夜、ユキオの腕時計の価格を調べながらため息をつく。
今の給料の5倍くらいあったら購入も検討してもいいかな。
そうぼんやりと考えながら缶ビールをすする。
ため息をつく。
いやいや欲望は無限だ。
自分の器の見極めが大事だ。
そう思いながらも昨日のサイトをチェックしてみる。
あいかわらずアキヒロの秘密は出品されていた。
ただ落札額が3万円になっていた。
心臓が少しきゅっとなった。
いったい誰が落札しているのか。

新着の出品があった。
出品物:「ユキオの秘密」
現在入札額:「100円」
落札締め切り2分後
(入札額100円って…締め切りが2分後っていうのも急だな…)
この秘密シリーズの内容も気になった俺はキーボードを手元に引き寄せた。
そして「200円」と打ち込んだ。



「おめでとうございます。商品が落札されました」
商品はメールで送られてきた。
添付ファイルが添えられていた。
大きく丸が描かれた帳簿の写しと思われるページが数枚。
大きく×が描かれた先ほどと同じページの帳簿らしき書類数枚。
同じページの数字をよく見比べる。
あったものが消えている。
売り上げが消えているのだ。
そしてその商品の在庫が書類上消えている。
棚卸しをしたときセンターの在庫の数字と現物の数字が狂ってくる細工だ。
これはまず商品を持ち出す。
その持ち出した商品の入庫処理を消す。
その商品を現金で売る。
自分の懐に入れる。
まあ、横領だ。
これはユキオが横領を行っている証拠だ。
どうしてやろうか。
そう思うと同時に俺の秘密とはいったい何なのかという恐怖に襲われる。

次の日、俺はユキオと一緒に外回りに出かけた。
「あのヒゲ部長、秘密ですけど受付のおねえチャンが愛人らしいですよ。やりますよね。僕調べてるんですけどどうも不自然に羽振りが良すぎるんですよ、あのヒゲ」
ユキオはハンドルを握りながら上機嫌でこれから向かうお客さんの噂話を始めた。
車は赤信号で止まる。
俺は無言だ。
AMラジオからは何を売っているのか「今ならなんと、8980円。安い」
車内にアナウンサーの声がうつろに流れる。
俺は口を開く。
「お前、伝票操作してねえか」
ユキオの上半身がビクリとかすかに動いた。
「え、先輩、何言ってるんですか」
「とぼけるなよ。たとえば3日前たしか納品に行ったよな。お前あの伝票どうしたんだよ」
信号が青に変わった。
車は動かない。
しびれを切らした後続車が怒りのクラクションを鳴らし、あわててユキオはアクセルを踏んだ。
目をウロウロと泳がせながらユキオは言った。
「ああ、そういえばまだ伝票打ってなかったかも、うっかりしてました」
「うっかりってお前、お金もらってきたんだろう。入金した形跡がないのはどういうことなんだよ」
「……」
ユキオは黙った。
「その沈黙は横領を認めたということでいいな」
ユキオの顔面はみるみる真っ青になる。
「まあ、正直俺はどうでもいいんだ。正義感ぶるわけでもない。かってにすればいい。でも人間知ってしまったものを忘れる事はできなんだよな」
おれはユキオの目の前で右手の親指と人差し指をゆっくりと擦り合わせた。
「まあ、気持ちを見せてくれればいいから」
ユキオは目を見開いて助手席の俺を見た。
「ゆする気ですか」
「いやいや、そんな事は一言も言ってないよ」
おれはまた親指と人差し指をゆっくりと擦った。
「まあ、定期的に気持ちを見せてくれればいいから」
二人の思惑を乗せて車はわずかに蛇行しながら進んでいく。


出品物:「アキヒロの秘密」
現在入札額:「50000円」
スマホの画面を見て俺は正直めまいがした。
誰が入札しているのか知らないが金額が上がっている。
ユキオの件もある。
どんな重要な秘密が語られるの心配になった俺は慌てて入札に参加することにした。
「55000円」と俺は入力した。
そうするとすぐに入札額は「60000円」になった。
誰なんだ。
「65000円」
「70000円」
「75000円」
「80000円」
金額が上がり続ける。
最終的に150000円で落札する事が出来た。
「おまでとうございます。商品が落札されました」
添付ファイルとして画像データが送られてきた。
ダブルクリックする。
血にまみれたナイフを握りしめた俺が死体の横で立っている。
「撮られたのか…」
絶句した。
握ったナイフの感触が手によみがえる。
あいつが悪いんだ。
ユキオがおとなしく金を出さないから。
いやそれ以上に俺に襲いかかってきた。
「殺してやる!」
そう叫んだユキオの声が耳から離れない。
路上深夜の出来事だった。
俺は逃げ帰った。
次の日は怪しまれないようにいつもと同じように出社した。
ユキオの無断欠席を上司が不審がっていたが連絡がつかない以上しょうがない。
1週間が過ぎてもユキオの行方が分からなかった。
俺は内心こう思っていた。
(死体が発見されないのはどうしてなんだ?)
少し田舎道に入ったところでユキオとはあの夜、落ち合ったが、道下に死体を転がしただけで、日中であれば死体は容易に発見されるはずだ。
何故だ?
その直後新たな出品があった。
出品物:「アキヒロの秘密その2」
現在入札額:「50万」

出品者の陰が俺の背後にひたひたと忍び寄る。






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◎英一と健吾のゲーム・カメラ話(ダブルドラゴン ネオン、mz5・mz7・eos7)

2017年02月18日 | ◎これまでの「OM君」
理系の大学に通う英一と健吾。
今夜はその他多数の同級生と共に居酒屋で飲んでいた。
お金は無いはずなのに飲みに誘われるとついつい出かけてしまう。
集まった理由は本日をもってテスト週間が終わったから。
結果はわからない。
というか考えたくない。
とにかく激闘の睡眠不足地獄から解放されたのだ。

後ほど、テストの結果発表が教科ごとに行われる。簡素なA4の紙一枚の名前だけが書かれた名簿が掲示板に張り出される。
合格の場合は「可」不合格の場合は「不可」と名前の横に書かれる。
「不可」の場合は単位収得失敗となる。
後ほど救済措置としてもう一度だけ再試験が行われる。
この再試験からは有料となる。
財布が傷む。
再試験も落としてしまうと未収得確定となり、次年度に持ち上がる。
こうなってしまうと単位収得は来年のチャレンジとなる。
ちなみに持ち上がれる未収得単位の個数は決まっており、オーバーしてしまうと留年となる。
各々は留年のプレッシャーを嫌ってなるべく一度の試験で単位収得できるよう願っている。
それならば普段から勉強するのが学生の本文だが、それでも勉強をしないのだからたちが悪い。

お会計の都合でつまみは極力控える。
へたすると最初に出されるお通しだけで宴が終了することもある。
注文はお酒を中心に頼むのが暗黙のルールだった。
死線を乗り越えた戦友達との再会のように、テスト終わりの宴は悪のりへと向かうのが恒例となっていた。
英一もかつて友人を肩車した状態でダンスを始めた過去がある。
ダンスまではギリセーフだったが、決めのジャンプを思い切りしてしまい、友人の頭を天井にめり込ませた過去があった。
まるで、リアルキン肉マンだ。

深夜、徒歩で2次会のカラオケに向かう。
その道中、健吾からいつもの問い。
ゲームのことだ。
英一は答える。
「今やってるのはダウンロードソフトのダブルドラゴンネオン。ダブルドラゴンの続編。ダブルドラゴンに関してはリアルタイムでゲームセンターでやってた。レバーと三角に配置された3つのボタンで攻撃したね。技は「肘鉄」
これ一個でラストまでいけるから、暇さえあれば当時やってたんよ。
で、ネオンやねんけど、テーマソングが初代ダブルドラゴンと同じなんが、感涙なんよ。
そしてゲームスタートしたら、また彼女がさらわれるんよ。そしたら主人公ビリーが慌ててガレージから登場して言うんよ「また、これかよ」って、これだけでもう最高でしょう」

英一は健吾に聞いた。カメラのことを。
「もう最近はタガがはずれた。悪のり。完全な悪のり。90年代から2000年初めのカメラを買いあさってるんよ。最近買ったのだけで
ペンタックスmz5ボディ(シルバー)
ペンタックスm5ボディ(黒)
ペンタックスmz7ボディ(シルバー)
キヤノンイオス7ボディ
どうよこの節操のなさ。
もう目的が違ってるよね。
写真とるためじゃなくて収集したいだけやねこれは」
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◎学校のタイヤで遊ぶフィギュアその2

2017年02月18日 | ◎これまでの「OM君」
学校のタイヤで遊ぶドクロ
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◎コップのふち子さん学校のタイヤにぴったり座る。

2017年02月17日 | ◎これまでの「OM君」
コップのふち子さんを学校のタイヤに座らせると驚くほど座りが良かった。
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◎立体駐車場あるある(床にはオイル漏れの跡が必ずある)

2017年02月14日 | ◎これまでの「OM君」
立体駐車場あるある。
コンクリート床には過去の停車車両のオイル漏れの跡が必ずある。
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◎英一と健吾のゲーム、カメラ話(グラディウスⅤ&PENーFT編)

2017年02月04日 | ◎これまでの「OM君」
 理系の大学に通う英一と健吾は今日も実習という名の実験と取り組んでいた。
この二人は客観的に見ても実験というものに向かない二人だった。
化学実験は簡単に言うと料理のようなもので、下ごしらえをし、数ステップの段階を経て最終物質に持って行く行為だ。
当然、実習前には教授からの説明もあり、多くの学生は理解して実験にのぞんでいる。
出来の悪い二人はいつも理解していない状態で実験にのぞむ。
そして人に聞きまくり何とか及第点をいただいて単位を取得するのだった。

本日の実験は「滴定」
例えばA液とB液があったとき、A液を落としていくとある瞬間でB液の色(赤紫色)が一瞬で消える。
A液の投入量を書き留める。
書き留めたA液の投入量を換算式に入れて計算する。
この実験の興味深いところは色の消え方。
色が消失する、消失しないの境目は液1滴もしくは半滴。
魔法の様に色が消える。
この現象がおもしろいと思えるか、思えないかで実験に向いている向いていないが決まると言ってもよい。
とにかく多くの学生がまじめに取り組む中、この二人が画策するのはやはり「人に聞くこと」
A液の投入量をあらかじめ聞く。
そしてあたりをつけてから、適当にどんどんA液を投入する。
そうすると、色の消失を確認しながら一滴一滴液を投入するという醍醐味を味わうことなく、消失点を大きく過ぎた後、「あっ…、消えた」「うん、消えた」
二人は顔を見合わせて、先ほど人に聞いたA液の消費量を書き込む。
本日の実験終了。


二人は実験器具を洗いながら世間話を始めた。
「なあ、英一、ゲームは最近どうなの」
「うん、今やってるのはダウンロードでゲットしたPS2用ソフト「グラディウス5」難易度設定もあるし、やられてもその場で復活してくれるから、難しくてぜんぜん遊べないというわけでもないんだ。うれしいことにオプションがサラマンダ方式なの。
自機がやられた後、その場で少し残留してくれるの。画面から流れて消えてしまう前に拾えば、またオプションとしてくっついてくれるの」
英一は握っているガラス製の冷却管を見て、このぐるぐるはどうやって作るのだろうと思いながら答えた。
「で、健吾のカメラはどうなの」
「うん、前言ってただろう、お金を貯めてからしか買わないって」
「うん」
「今から思うと、カメラの本を読んだのがいけなかったんだな」
「と言うと?」
「次から次にゲットしたくなるカメラが目白押し状態になって、ネットをさまよってしまったんだ。そうしたら、もうこの色でこの価格のものは出ないだろうっていうのを見つけてしまったんだ。標準レンズ付きの黒のPENーFT。思わずポチッとね、買っちゃったんだ」
「だめだね~」
「そうなんだよね。ハーフサイズカメラっていうんだけど、フィルムの使う量が半分なの。だから24枚撮りのフィルムなら、倍の48枚撮影できるの。結果的にプリント時、1枚1枚は引き延ばされる事になるの。
機械的にはセルフタイマーが調子悪い。
これは使わない仕様でいきます。まあ、このPENーFTはまだ修理を引き受けてくれる業者もあるみたいだから、ゆくゆくは一度オーバーホールに出しても良いのかなとも思ってるんだ。何しろお金がかかりますよ」
その時、カシャーン!
英一の手から冷却管が滑り落ちた。
砕けた冷却管を見て青ざめる二人。
なんて値段の張りそうな実験器具なのだろう。
実験器具を壊すと、その実習チーム全員の割り勘で請求がくるのだった。
ああ、またお金がかかると思った二人だった。
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